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【詩】あたらしくない朝が来ても

 

仄暗い水槽のような部屋にも欠かさず光は注がれる
午前5時、白んでいくガラスの向こうに小鳥の囀り
のっぺらぼうな月を寝ぼけ眼で見上げてあくびをひとつ
これからの時間を退屈にしないように
ぼんやりと霞んだ意識をゆっくりかき分けたら
ダイニングテーブルに積み上げられた本たちの下から三番目
きらめく詞(ことば)が詰まったあの詩集を持って
洗ったばかりの水色のスニーカーでバスに乗ろう

いつもどおりに廻る街を いつもどおりに踏み締めて
この狭い水槽に還ってこよう そして、眠ろう


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