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デザイナーの職種についても分かりやすく整理された「デザイン組織のつくりかた」の感想をメモ

個人的にデザイン組織について考えることがあり、何か良い本がないかなと思っていた時に出会った本。
この本は、米国の有名なUXデザイン/サービスデザインエージェンシーの方が書かれた本で、和訳でコンセントの長谷川さんが監修をされている。

ソフトウェアやサービス関連のデザイン領域が広がり、デザイン方法も変化している中で、デザイン組織をどう構成していくべきかを、主に人材の視点で解説している。

デザイナーの職種や役割の分類が秀逸

本のタイトルからして組織論的な内容を期待していたのだか、組織の構成要員として語られているデザイナーの職種を分類した部分がとてもわかりやすくて、個人的この内容が気になった。

プロダクトデザイナーやサービスデザイナーなどの職種を明確に分類し、それぞれの役割や関係性、どういった組織や状況において必要な職種なのかが細かく整理されている。

デザイン視点を「全体像」「戦略」「構造」「外観」という段階に分けて説明しているのが分かりやすくて、それぞれのデザイナーが主に担う段階を明示にすることで、具体的なデザイン活動への理解もしやすい。

一部、個人的な解釈も混ざっているが、デザイン組織を構成する要員の分類を一枚にまとめてみた。

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例えば、プロダクトデザイナーといっても、構造的思考が強いインタラクションデザインもあれば、外観的思考のグラフィックデザインもあるといった、段階の違いによる職種内での多様なデザイン活動も理解しやすい。

また、サービスデザイナーは小規模組織においてはプロダクトデザイナーのスキルで補完できるといった、組織規模や業界による組織構成要員の違いも言及している点も納得感が深い。


リーダーやマネージャーの分類も明確

組織のリーダーといっても色々な段階があり、その役割や責任範囲もかわってくる。組織が大きくなればリーダーの種類を増やした方が効率的になり、その分役割の明確化が必要になる。

またよくある話だか、デザイナーとしての優秀な人がそのままマネージャーになりチームがうまく回らなくなるといったように、「デザインのマネジメント」と「デザイナーのマネジメント」が混同されることもある。

そういった組織のマネジメント的な内容も簡潔に整理されている。

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集権的組織と分権的組織の両方の良さを活かす組織モデル

デザイン組織モデルとしていくつか例があげられているが、中でもより効果的な組織モデルとして「集権的パートナーシップ」というモデルが定義されている。

デザイナーは全員1つの組織に所属しながら、他のプロダクト/機能/ビジネスチームとの信頼関係を持ったデザインチームによって構成される。チームリーダーやシニアデザイナーはプロダクトマネージャーとの直接的な関係をもつ。

デザインチームの編成は、他部門の構造にただ合わせるのではなく、例えば、ユーザー別に編成したり、カスタマージャーニー別に編成するなど、その時に最適な編成にする必要がある。

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多様な人が集まった組織の中で、それぞれの特性を強引に統合しても機械的なマネジメントはしやすいかもしれないが、組織としてのパフォーマンスは上がりにくい。
それぞれの特性に対して柔軟性も持たせつつ、ほどよくカテゴライズされた職種に分類して組織を構成していくというバランスの良さみたいなものをこの本から感じた。

実際にデザイン組織を作ろうとしている人だけでなく、デザインチームの一員としてもリーダーとしても刺激を得られる本ではないかと思う。
デザインチームと仕事をしている非デザインな人としても、デザイナーはこういう職種なんだなということを知れる内容でもあると思う。


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