見出し画像

佐原さんぽ









 2022年、夏の始まり。
 今年の夏はやってくるのが早かった。
 確か6月の半ばで30度を超えた真夏がやってきて、8月には干からびてしまってるのではなかろうか?と青ざめたのをよく覚えている。(実際は青ざめるというより、茹で上がりそうだったと言った方がよさそうだけど)



 女性の浴衣は涼し気な見た目反して、実はとても暑いなとずっと感じていて。その一方で男性の浴衣って布地から女性モノと違うというか、柔らかいコットン布地で着心地としてはTシャツに近いような、そんな感じの。着こなし方だって女性とは違い胸元は開けていたって大きな問題にはならないし、腰に巻かれた帯も然程かたく結ばれてないのか、割かし大きな歩幅で下駄を鳴らして歩くことが出来る。




 イイナァ、なんて思いながらすっかり忘れてしまった浴衣の着方を思い出す為、動画サイトの検索欄に「浴衣の着付け 女性 簡単」と打ち込む私は、きっと来年の夏も全く同じことをしているのだと思う。











  去年も今年も同じ浴衣
  だってこれしか持っていないから
  でも初めて人に買って頂いた浴衣だから
  きっと、一生モノ











 上野の路地裏にある、なんだかすごそうな着物屋さんで購入した浴衣。背丈が150㎝ほどしかない私でも着やすい物を何点か選んで頂き、その中からシンプルな柄を選んだ。
 帯は差し色になるように、写真に写った時映えるように、と赤を選んだのだけど。今となっては鮮やかな真っ赤な帯が少し眩しすぎるのというか、もう少しくすみ色を含んだ赤を選んでもよかったかな、なんて思ったりもする。










 毎年同じ浴衣を着て写る私は着々と歳を重ね、あっという間にその鮮やかな赤帯に沿わない風貌になってしまうのだろうね。でもどうかその時は、優しく笑ってやってね。そうしたら私もスミマセンスミマセンって笑いながら、彩度の落ち着いた色の帯をこっそり新調するからサ。







  (真っ赤な帯はモチロンとっておくよ、
         だって一生モノだもの)













 ( 白い日傘をさして
   浴衣で歩いた夏の記憶
   綿々として続く、過去と今と )













( 変わってゆくのは時間でしょうか
            心でしょうか )


ここから先は

1,701字 / 37画像

¥ 350

この記事が参加している募集

休日フォトアルバム

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?