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彫刻家、哲学者、サラリーマン

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  • 「APO理論」

  • アリストテレスの幸福論

  • ゲームの現象学

最近の記事

資本主義とは何なのかという事を改めて考えている。

    • 日本人はアリストテレスから学べる事が多い

      アリストテレスが日本を救うと言ったら大袈裟だろうか。 そもそも日本というか東洋人に欠けているのが「アリストテレス成分」なのである。 ヘーゲルは「東洋には自由の概念がない」と言った。これは当たらずとも遠からずで、日本を含めて現在でもアジアで自由や民主主義が根付いているかと言うと怪しいものがある。 これは、東洋に置いて、西洋哲学の古典中の古典であるアリストテレスが積極的に学ばれてこなかった事とも関係があると思う。 ソクラテスやプラトンについてはある程度知られていてもアリス

      • 「対等」なコミュニケーションの難しさ

        近年は「ダイバーシティ」などということが言われ、多様な人材が同じ空間で活動するような場面が増えてきた。しかし、人間には男女の性別だけではなく、年齢、人種、職歴、学歴、資格など様々な「違い」があるのも事実である。 例えば、現在もある程度そうだが、日本社会では「先輩と後輩」というような特殊な秩序が存在している。 これは「入社した年次による差別」というようなものだが、善いか悪いかは別として、ある種の「秩序」であることは間違いない。 また、学歴や資格、性別、年齢というような要素

        • メリトクラシーについて

          《メリトクラシー(meritocracy) とは、メリット(merit、「業績、功績」)とクラシー(cracy、ギリシャ語で「支配、統治」を意味するクラトスより)を組み合わせた造語。イギリスの社会学者マイケル・ヤングによる1958年の著書『Rise of the Meritocracy』にて初出した。個人の持っている能力によってその地位が決まり、能力の高い者が統治する社会を指す。(wikipedia)》と言う。お気に入り登録しているTaejun氏の記事を読んで知った言葉なのだ

        資本主義とは何なのかという事を改めて考えている。

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        • 「APO理論」
          3本
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        記事

          自由主義について

          自由主義は元々はキリスト教のfreedomから生まれたという考え方がある。freedomの伝統が無い日本で自由主義を唱えても、anomy(アノミー/無連帯)に陥るだけで、長い目で見ると社会が崩壊していくというような考え方がある。そこで三島由紀夫や小室直樹のような碩学たちは「神道の復活」ということに期待した。というのも、キリスト教と神道は、宗教として似ている部分があり、特に明治維新以来は、キリスト教に積極的に寄せに行ったところがある。神道という宗教にはそういう所があり、仏教全盛

          自由主義について

          【コラム】日本人は「効率化」を悪だと考えている?

          こんなことを書くと、多くの「日本人」を敵に回すことになるかもしれないい。なにせ、私は日本語で文章を書いているのだから、読者の大多数は日本人のはずである。今から書こうとしているのは、読者の殆どを不快に気持ちにさせるようなコラムなのである。(なので不愉快な気持ちになりたくない人は、ここで引き返してもらいたい・・。) さて、ビジネス書などを読むと「業務の効率化」というのはマネジメントに置ける最も重要な要素=イノベーションの一つであるなどということが書かれている。しかし、日本社会に

          【コラム】日本人は「効率化」を悪だと考えている?

          アリストテレス『政治学』を読む

          この本は『ニコマコス倫理学』の結論を発展させる形で書かれたと述べられている。アリストテレスの倫理学の結論とは何だろうか?それは「人生の究極的な目的は幸福にあり、幸福な人生とは自律的な知性の発揮にある」というものである。勇気や倹約といった美徳は、知性によって秩序付けられた行為であって、その本質は知にある。人間は知性を根本に置いた生活を送ることで幸福を実現するという論旨である。 そして、人間というものがこのような本質を持つ存在者であるとすると、国家には、人間が哲学をしたり中庸の

          アリストテレス『政治学』を読む

          Consider the "APO strategy" (pseudonym) that integrates the Aristotle philosophy, the PDCA cycle, and the OODA loop. (English edition)

          APO strategy is my coined word. As you can see, it is an acronym for Aristotle's Philosophy (Ethics / Political Science) PDCA cycle, OODA loop. This is because I happened to know these three practical ideas, and now that I know them, I nee

          Consider the "APO strategy" (pseudonym) that integrates the Aristotle philosophy, the PDCA cycle, and the OODA loop. (English edition)

          アリストテレス哲学とPDCAサイクルとOODAループを総合した「APO戦略」(仮名)を考える。その3

          さて、PDCAやOODAループが「軍事的勝利」や「企業利益最大化」の為に使われてきたし、今もそうであるという事と、医療・福祉・介護で働く人々の倫理観とが矛盾するものであるものなのかどうかを検討してみよう。 経営者はどうしても「会社の利益最大化」ということを目標にしがちである。一方で福祉職従事者は「患者さんの利益最大化」というようなことを行動原理として持っている。しかし、よく考えればわかるが「患者さんの利益を最大化」するためには「会社が存続していなくてはならない」し、「会社の

          アリストテレス哲学とPDCAサイクルとOODAループを総合した「APO戦略」(仮名)を考える。その3

          アリストテレス哲学とPDCAサイクルとOODAループを総合した「APO戦略」(仮名)を考える。その2

          所で、私の活動フィールドは「介護福祉」の現場である。介護福祉という分野は、厚生労働省の統制によって、すでにPDCAサイクルが制度としてガッチリ組み込まれている。ケアマネが事前調査をして会議をし「居宅支援計画」とか「リハビリテーション計画」作成する(P)そのプランを施設職員などが実施する(D) 三か月ごとにサービス担当者会議を開いて評価する(C) 問題点などを見直しし、新たなプランを作成する(A) 福祉現場の仕事は、一応このようなサイクルに従って行われることになっているのである

          アリストテレス哲学とPDCAサイクルとOODAループを総合した「APO戦略」(仮名)を考える。その2

          アリストテレス哲学とPDCAサイクルとOODAループを総合した「APO戦略」(仮名)を考える。

          APO戦略とは私の造語である。見た通りだが、アリストテレス哲学(倫理学・政治学)PDCAサイクル、OODAループの頭文字を取った。 これは、たまたま、私がこの三つの実践思想を知ったので、知ったからには使えるようにする必要が生まれたということがある。 PDACサイクルとOODAループを併用するべきという意見はネット上でも散見される。ではアリストテレス哲学がどうかかわってくるのか?ということだが、アリストテレスは、その実践論の究極目標として「幸福」ということを上げた。要はPD

          アリストテレス哲学とPDCAサイクルとOODAループを総合した「APO戦略」(仮名)を考える。

          『ゲームは楽しいのに、なぜ現実は糞つまらないのか』~ゲームの現象学~その3

          ハイデガーは『存在と時間』の中で、いわば私が高校生の頃「余りにもゲームに没頭してしまい、自分が誰だか忘れてしまった」と言う経験と良く似た構造が現実社会の人間にも存在すると指摘している。この現象をハイデガーは「頽落」(Verfallen)と名付けた。 どう言うことかと言うと、例えば「学生」と言う身分は一種の虚構であり、そういった存在が実在するわけではないが、 当人が学生であることに熱中する余り、その在り方が自己の本性であるかのように信じられてしまっているような状態である。 例え

          『ゲームは楽しいのに、なぜ現実は糞つまらないのか』~ゲームの現象学~その3

          『ゲームは楽しいのに、なぜ現実は糞つまらないのか』 ~ゲームの現象学~その2

          「ゲームは楽しいのに何故現実はつまらないのか」その疑問にある程度答えていた先人にM・ハイデガーと言う人が居る。彼の主著に『存在と時間』と言う有名な本があるのだが、私は若い頃この本が全く理解できなかった。難解で有名な哲学書の代表のような書物なのだが、ハイデガーがこの本を書いた37歳の時に、その内容が一気に理解できるように成った。この本は「現象学」と言う方法を使った「存在論」の著作なのだが、現象学と言うのは、主観と客観の「あいだ」に成立するような学問である。その意味で、書いた人の

          『ゲームは楽しいのに、なぜ現実は糞つまらないのか』 ~ゲームの現象学~その2

          『ゲームは楽しいのに、なぜ現実は糞つまらないのか』~ゲームの現象学~その1

          コンピューターゲームをしていると、時間があっという間に過ぎていく。5時間、6時間など当たり前、家族が文句を言わなければ1日2日、眠らずにゲームが出来る、と言うような人はいまや珍しくも無いかもしれない。かく言う著者も高校生の頃まではかなりのゲーマーで、余りにもゲームにのめり込み過ぎて、自分が誰だから分からなくなってしまう「急性認知症」のような症状が出るまでゲームをしていた事があった。しかし、余りにもゲームに親和性が高い自分を鑑みて、大学受験を契機にゲームから距離を取るようになっ

          『ゲームは楽しいのに、なぜ現実は糞つまらないのか』~ゲームの現象学~その1

          現場介護職員から見た「企業の社会的責任」について その1

          こんにちは。私は日々介護現場で働いている介護福祉士ですが、介護職員として働く中で、日々感じる日常の疑問点・改善点などを書いてみたいと思います。同じく福祉施設で働いている介護職員さんや、現場リーダー、経営者さんなど、何らかの形で参考になれば幸いです。 突然ですが、私はライフワークとして、①哲学②社会福祉③芸術表現の3点を追求しています。30代まではこれらを別々のテーマとして追及してきましたが、40代を迎えてから、3つのテーマが統合され、重なり出すようになりました。哲学に「弁証

          現場介護職員から見た「企業の社会的責任」について その1

          幸せな人生を生きるには?

          では、早速アリストテレスの倫理学の内容に入っていきましょう。詳細は原典を参照して頂くとして、この記事では本質をがっつり取り出して紹介します。 善とは何か アリストテレスは、まず、我々の日々の行動に探求の目を向けます。すると我々が、ある出来事や行動を「善い」「悪い」と判断していることが見てとれますが、そもそも何を善いとし、何を悪いとしているのでしょうか?例えば、酒を飲みすぎる事は「悪いこと」とされますが、何が悪いかと言うと、体に悪いのだと、体に悪いと何故悪いのかとさらに突き

          幸せな人生を生きるには?