ヨーロッパ大学院の出願手続き

はじめまして
この記事では去年の今頃私がしていたヨーロッパ大学院の出願手続きをできる限り詳細に、思い出せる限りのことを書こうと思います
出願手続きは本当に煩雑で情報も少なく大変だったので将来海外の大学院に進学したいと思っている方の手続きが少しでも楽になるような記事になったら嬉しいです
去年の私もこういった投稿にとても助けられました
ただこういう投稿はたいていいくつかのオファーを貰ってハッピーエンド✨な記事が多く、全落ちしたらどうしようと不安だった出願手続き前はそれらの記事を読むだけで精神的に削られたのも確かです
この記事もそれらと同類で結果的に合格しましたが、私がこの記事で書きたいのはそこではなく、今読んでいる不安で押しつぶされそうな去年の私のような"あなた"を助けたいからです


読むのがめんどくさい方のために簡潔にまとめると、出願スケジュールは以下のようになります
 
大学院出願を決める
英語の試験を受け始める
勉強したい分野を決める
奨学金を申請したい人は奨学金についての情報を調べる
プログラムを探す
出願要件を調べる
手に入れることができる書類は手に入れ始める(高校の成績など)
疑問があれば大学やコーディネーターの人に聞く
書類を集める
モチベーションレターをかく
出願
(面接)

出願締め切りはノルウェーは12月くらいフィンランドは1月くらいエストニアは4月くらいだったように思います
つまり早い国で大体10月くらいから次の年の秋始まりの出願が始まるということです

では興味のある方はぜひ😊


私がヨーロッパの大学院進学に興味を持ったのは、学部時代の留学中に友人が参加しているプログラムについて話を聞いてからです
その子のプログラムは2年のマスター(大学院生)期間中、1年をヨーロッパのある国で、もう1年をヨーロッパの他の国で過ごすというジョイントマスターディグリーと呼ばれるものでした
もっと正確にいうとエラスムスムンドゥスというプログラムです  
https://ec.europa.eu/programmes/erasmus-plus/opportunities/individuals/students/erasmus-mundus-joint-master-degrees_en
1年ごとに国が変わるそんな夢みたいなプログラムがあるのか!ということが第1の衝撃でした
次に驚いたのが学費免除と生活費をもらえる奨学金があると言うことです
奨学金は確か月1000€と言っていた気がするので13万円くらいでしょうか
大学院に行く=お金がかかるだと思っていたのでこのようなプログラムが世の中に存在すると知ってから大学院進学に興味を持ちました
もし奨学金が貰えなかったとしても、学費がかからないなら、2年間の生活費だけなら、大学院進学という選択肢はありなのではないか、と
ここから少しずつ大学院について調べ始めました

調べる時にいつも頭にちらついたのは自分は大学院に行くに値する人間なのか、という疑問です
私の勝手なイメージだと、大学院に行く人はとても優秀で賢い人で、私なんかが言って良い場所ではない気がしていました
この考えは割と半年くらいずっとまとわりついていたのですが、こればっかりは割り切るしかないと思います
誰かなんと言おうと私は大学院に行きたいと思ったから出願する
この精神で行くべきです

そうして留学中、時は過ぎていき漠然と大学院に進学したいなぁと思いながら4年生の6月くらいに帰国しました 
大体大学3年生から4年生の1年間に留学した人は留学中に就活、帰国してから就活、休学して卒業を一年延期、大学院進学という選択肢があると思います
留学中に就活は全くしてなかったのでこの選択肢は論外、帰国して就活は6月の時点で自分が将来何をしたいかも分からず就活について何も知らない状態だったのでこれも現実的ではないと思いました
私の友達には1年休学して就活してる人が多かったように思います(留学した人が就活のために1年休学しないといけない日本の就活システムはどうかと思いますが……)
そんなわけで、大学院進学が割と現実的な選択肢になっていました

6月は帰国後大学に提出する書類の作成やバイト探しなど日本での生活に慣れるためにバタバタとしていたらあっという間に過ぎました。
私の学部は専攻分野が割と広くなんでもありな学部であったため、自分が大学院で具体的に何を専攻したいか分からずまずそれらを決めることから始めました
本当にこんな状態から大学院進学の質問や相談に応えてくださった先生方には感謝しかありません
帰国してストレスの一つだったのが、日本は自分が思っていたよりも何もしていない人への当たりが強かったことです。例えば私が帰国して知り合いに会うとかなりの確率で、「4年生なんだよね。で、今何しているの?就活終わった?」と聞かれました。それがかなりストレスでした。

専攻の話に戻ると、専攻が決まっていないと選択肢が多過ぎて大変だと思うのでとりあえず大学院で何を勉強したいかを早く決めた方がいいと思います
専攻する分野を決めるには英語でいくつか論文を読んでみるのも一つの方法です
またはその分野の名前(英語で)とreading listで検索すればいろいろな大学が用意したreading listを見られると思うのでその中のいくつかを読んでみるのもいいと思います
読んでみて、興味を持てたり、面白いと思ったらその分野は向いていると思います私は初めに進みたい、興味があると思っていた分野の論文を読んだ時に、全く面白いと思えませんでした
多分日本語ならまだ興味を持って読めたかもしれませんが、英語になると全く響きませんでした
そこでこの分野は自分には向いてないなと思い、違う分野を探しました。
今勉強している分野の論文は日本語はもちろん英語の論文もとても面白く興味深いものばかりです
2年間英語(または他の外国語)で勉強することになるので、自分が本当に興味を持てる分野に進学した方が良いと思います
また自分が興味を持てる分野が見つかったら私はその分野に詳しい学部の先生に話を聞きに行きました
私は先生方に恵まれていてどの先生も大学院進学良いですね、という感じで優しく相談にのっていただき、不安が少し解消されました

TOEFLの勉強を始めたのも8月の最終週です。もっと早く始めればよかったなあと思ったのでこれを読んでいる方は今すぐにでも始めた方が良いと思います

専攻する分野が決まったらプログラムを探してみましょう
プログラムはいくつかのサイトを使って探しました
以下、例を挙げます
一つ目はmaster portal というサイト
https://www.mastersportal.com
国ごとや学びたい分野別に検索できてとても便利です
また授業料が安い順で並び替えられる機能に本当に助けられました

例えばInternational Relations で検索すると世界中の1143つのプログラムが表示されます

スクリーンショット 2020-11-01 15.32.46

またLowest Tuition Feeを選択すると授業料が安い順に並び替えられます(私は今ヨーロッパにいるのでEU市民の授業料が適用されて日本人の授業料の表示とは違っていますが...)

スクリーンショット 2020-11-01 15.34.46

国別でも検索できます
例えばFinlandと入力した時の画面です
370のマスタープログラムがあることがわかります

スクリーンショット 2020-11-01 15.35.32



二つ目ははじめに挙げたエラスムスムンドゥスのプログラム
https://ec.europa.eu/programmes/erasmus-plus/opportunities/individuals/students/erasmus-mundus-joint-master-degrees_en
私の場合は残念ながら学びたい分野のプログラムがなかったのであまり詳しく見ませんでしたが、もし興味のあるプログラムを見つけたらぜひ調べてみてください
このプログラムは日本人の間でまだ知名度が低いと思うので、日本人は少し有利だと思います(確か多様性を尊重してこのプログラムには国ごとに人数制限があった気がします。なので中国などからの出願者は競争率が高い)
また合格者の上位何割かは奨学金がもらえるはずです
そして2つの国、3つの国で学べるプログラムがたくさんあると思います


三つ目は学びたい国が決まっている場合です
たいていの国にはstudy in ~~(国名)というサイトがあると思います
そこでmasterのプログラムを探すと良いと思います
例えば、フィンランド
https://www.studyinfinland.fi
https://studyinfo.fi/app/#!/haku/*?page=1&articlePage=1&organisationPage=1&itemsPerPage=25&sortCriteria=0&facetFilters=teachingLangCode_ffm:EN&facetFilters=educationType_ffm:et01.05.02&tab=los

スウェーデン 
https://studyinsweden.se
https://studyinsweden.se/programmes/


4つ目は学びたい大学が決まっている場合
この場合も大学にmaster programのサイトがあると思うのでそこをチェックすると良いと思います


授業料について少し触れたいと思います
去年私が出願した時の情報だとヨーロッパで留学生も授業料が無料の国はノルウェー、ドイツ、アイスランドだと思います(他にもあるかもしれませんが...)。フィンランドも数年前まで留学生は無料だったらしいですが、ルールが変わってしまい今は授業料を払う必要があります。上記にあげた国もいつまで留学生の授業料が無料かは分からないので、急かすつもりはありませんができる時に出願した方がいいと思います。また授業料は国や学部によってかなり変わります。エストニアなどは比較的安く1年で40万円ほどだったと思いますがフィンランドやデンマークなどは100万円、またイギリスは200万円くらいだったと思います(ただしイギリスのマスターは1年が多い)。これは私のただの概観なので詳しく知りたい方や正確な情報が知りたい方は自分で調べてみてください
また、授業料が高くても奨学金という選択肢があります
私の知り合いでフィンランドの大学院に留学している人は合格通知を受け取った際に授業料免除の奨学金ももらったと言っていました。奨学金の情報はプログラムの説明に書いてあることが多いと思います。ヨーロッパで授業料が高額な国でも、国や大学が留学生向けに奨学金を提供していることも多いので、授業料が高いからと言って諦めず調べた方が良いと思います
また日本の海外大学院生向けで一番有名なのはトビタテの奨学金だと思うのですが、私は結局時間不足と手続きの煩雑さが理由で申し込みませんでした
奨学金申請に英語試験の結果が求められることは多いと思うのでIELTSなりTOEFLなり出願を決めたら早めに受けた方が良いと思います
奨学金を申請するには申請先によって大きく変わりますが先に挙げた語学の証明書と志望理由書、リサーチプロポーサルなどが必要になると思います
私は卒論に手一杯でリサーチプロポーサルなんて全くかける気がしなかったのでこれも奨学金を諦めた理由の一つでした



プログラムを探したら出願条件や必要書類を確認しましょう
またプログラムについて何か分からないことや疑問に思ったことがあれば大学やコーディネーターの人に質問をすると良いと思います
大体プログラムのホームページには連絡先が書いてあると思うので、何かあればその人に聞いてみてください
またコーディネーターの人に連絡するだけではなく、プログラムや大学にFacebookページが存在することもあります
例えばノルウェーのNTNUにはNTNU master applicants (non-EU)というFacebookページが存在し、割とフランクに出願に関する質問が交わされているのでこう言ったグループに入って情報収集するのも良いと思います


必要書類は国やプログラムによって本当に異なるので一概には言えませんがここでは基本的なものを書いていきます
そして手に入れることができる書類は早め早めに手に入れた方がいいです(ただし書類の期限(3ヶ月以内など)が指定されていることもあるのでそこは慎重に)

全て英語または出願先の言語で書かれたものが必要です
・パスポート
有効期限に余裕があることを確認
・大学の成績
卒業前の人は今現在の成績証明書で可能なところが多いと思います(ただ、卒業前に出願できない大学もあるのでそこは出願前に大学に確認してください。私もあるノルウェーの大学で卒業前の人は出願できないので来年出願してと言われました)
・大学の卒業証明書または卒業見込み証明書
・高校の成績
高校に問い合わせれば英語の成績証明書を発行してもらえると思います
・高校の卒業証明書
上に同じ
・モチベーションレター(志望理由書)
何を書けば良いのか全く分からず苦労しました。友人が書くのに3ヶ月かかったと言っていて、そんなに大変なのか!とtoo stressful to start な状態でだらだらと時間が過ぎていきましたが私の場合3日くらいでかけたのでそんなに心配しないで大丈夫だと思います
いろいろな書き方があると思いますが私は
自分の名前、今この大学のこの学部で勉強していてこのモチベーションレターではこの大学院のプログラムを志望する理由を書きます(はじめにのような感じで数行)
大学ではこんなことを勉強しました
そしてこの分野に興味を持ちました
大学院ではこんなことを勉強したいです
特にこのプログラムを志望した理由はこんなところが他のプログラムと違って魅力的だったからです
大学時代は成績もよくこんなに頑張りました 
だから私はこのプログラムにふさわしいと思います

というようなこと2ページくらい書きました
ここでは謙遜は不要で自分がいかに優秀な人材であるかということをアピールした方がいいと思います
また一番下に自分の連絡先などを書きました
プログラムにふさわしい理由はモチベーションレターごとに変えましたが、他は少し変えて使いまわしていました
提出する前にネイティブの人に文法などをチェックしてもらってください
・銀行の残高証明書
銀行によって時間がかかると思います
また大学によっては過去何ヶ月以内に発行されたものという指定もあると思います
自分の口座に留学先での生活に必要な額のお金があるという証明で英語で発行される必要があります
大学によっては合格後そのお金を送金する必要があったりすると思うので詳しくは確認してみてください
・語学力の証明書
TOEFL ibtかIELTSです。大学によってどちらかしか受け入れていないなど微妙に条件が違うことがあります。IELTSだと6.5が普通、たまに6でも出願可能なプログラムがあり、レベルが高いところだと7以上を要求されることがあります。みなさん書かれていますが、これが曲者です。まず高い、結果が遅い、なかなか点数が上がらない。書き出したらきりがありません。早めに取り掛かることを強くお勧めします。私は九月に初めて受けましたが、遅いと思います。必要な点数に届かないと精神的にも焦ってくるので出願一年前くらいから受け始めた方がいいと思います
受験する時によく思っていたのですが、英語試験の受験料がこれほどまでに高くなる理由がわかりません。留学する人はほぼ受験する必要があり希望のスコアが一度で出ることは稀です。またこう言ったテストは TOEFLかIELTSのほぼ二択でありどちらも受験料はほぼ3万円。ましてTOEFLはコンピューターで受ける試験、人間が採点する部分は少ないはずです。よく分からないけど独占禁止法(???)とか何かの法律に違反してないのかなってよく思います。
・CV(経歴書)
これはアメリカ人の友達にとても手伝ってもらいました。日本と欧米のCVは書き方が全く違います。一度見本を見せてもらってからそれに応じて自分のものを作ると良いと思います。これも提出前にネイティブの人に文法などをチェックしてもらいました。
・リサーチプロポーサル
これは要求される大学とされない大学があります
私は卒論に手一杯でリサーチプロポーサルなんて書いている余裕は全くなかったのでこれが要求されるプログラムには出願しませんでした
もしこれを書く必要があれば、大学の先生に相談したら書き方など教えてもらえるのではないかなと思います

これらが揃ったらあとは提出するだけです
私が出願した大学院は(そしておそらく多くのヨーロッパの大学院は)書類選考とたまに面接で筆記試験はありませんでした
GPAは高いに越したことはありませんが選考基準がモチベーションレター100%のプログラムも見つけたので諦めずにいろいろなプログラムを探してみてください
逆に成績が良い人は成績重視のプログラムを選ぶといいと思います
例えばノルウェーのNTNUは選考基準がほぼ成績100%だと思います(あくまで私がFacebookコミュニティーでのやりとりを見た所感から)
書類の提出方法は全ての書類をスキャンしてインターネットのアプリケーションフォームにアップロードするだけでした
合格後原本を持ってくるようにと指示されることがあるのでこれらの書類は大切に保管しておいてください
出願してから数週間で合否がわかるプログラムもあればそれ以上かかるプログラムもあると思います
またスカイプ面接があることもあります
私は面接が嫌すぎて面接があるプログラムを敬遠していたのに本命のプログラムで書類提出後面接への招待メールがあり信じられない気持ちでした...(ホームページのどこにも面接があるとは書いてなかった)
面接はネットで 大学院 面接と検索すれば大体質問の予想がつくと思います
志望理由
今まで何を勉強したか
大学院では何を勉強したいか
どうしてこのプログラムか
卒業後は何をしたいかなど
面接前は不安で死にそうだったのでどうにか最悪のケースを避けるために考えられうる限りの全ての質問と答えをパソコンのメモ帳に英語で書き出していました


海外大学院出願は、正直にいうと卒論と両立する必要もあり本当に大変な作業でした。一つ言えることは、日本で就職という波に逆らって大学院受験、しかも海外の大学院に進学しようとすると、反対する人や足を引っ張ろうとする人、不安にさせてくる人などたくさんいます。そしてその中には自分も含まれます。自分に大学院に進学する価値があるのだろうかと悩んだことは数知れません。でも、周りの人がなんと言っても、自分のことだけは信じてあげてください。周りの人のアドバイスはどれだけ私のことを考えていてくれていたとしても、それはやはり他人の人生へのアドバイスです。他の人がなんと言おうと私ならできる、その心持ちが一番大切だと思います。
長くなりましたが、これからヨーロッパの大学院に出願しようと思っている方にこの記事が少しでも参考になったら嬉しいです!

おまけ
出願期間中の辛かった時期によく聞いていた曲を少しですが紹介します

Perfume Challenger
https://www.youtube.com/watch?v=Bs-ZC7k_1k8
これを聞くと頑張ろうと思えます
歌詞は全体的に大好きですが、時に
寝るのが怖いほど何かしてなきゃいられなくて
という歌詞は本当に当時の自分でした
不安で、自分寝てていいのかなと、寝られない夜もありました
眩しい期待がいつかキミをキミを燃やす
という歌詞も好きです 

平井堅 ノンフィクション
https://www.youtube.com/watch?v=ihMPLCNykZI
これは11月、最も私が鬱っぽかった時の、私の心境にぴったりの曲でした
なんでこんな成功されている方なのにその反対側にいる人に寄り添うような歌詞が書けるんでしょうね
惰性で見てたテレビ消すみたいに
活きることを時々やめたくなる
何のために生きてますか? 
とか当時の心境そのままでした

QUARTET NIGHT  FLY TO THE FUTURE 
https://www.youtube.com/watch?v=M2Ig9NYT5sw
これは別の記事で詳しく描こうと思っているのですが、留学から帰ってきたら私より一足早く帰国していた友人がいつの間にか、うたプリ沼の底にいて、それにつられて夏休み前の期末レポートを提出したテンションで映画を観に行ったのが始まりでした(身バレの可能性が高くなってしまう...友達へ 元気にしてる?もしこの記事を読んでたら、連絡ください。最近連絡してないけどどうしてるかなとよく考えてます。また遊ぼうね!日本でもヨーロッパでも!次に会えるの楽しみにしてる!!!) タイトルにも歌詞にもあるFly to the future っていいよね。昔はジャニーズとかアニソンは全く聞かなかったのですが、純粋に明るくて前向きにさせてくれる良い曲がとても多くてよく聴いています。そしてうたプリの映画はアニメーションがすごかった...。ほんとのライブにいるみたいで感動しました。推しはカミュです笑

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