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映画の話54 風の谷のナウシカ

 黙示録的で、世界の再生の始まりの始まりを描いているように思います。腐海が地球を少しずつ浄化し、さまざまな蟲や、瘴気を出す植物たちがそのプロセスを守ろうと、人間たちを寄せつけないところが、どこかリアルです。一方、世界を破滅させてまでもまだその罪の重さに気づかない人間の愚かさや傲慢さを浮き彫りにしています。
 醜い腐海の子を可愛がる幼いナウシカは、「虫愛づる姫君」そのままです。あれは成長拒否譚、成熟拒否譚として読めますが、『風の谷のナウシカ』は、成熟拒否をしてはいません。たぶん心の眼で、本当に美しいものを愛でる力を持っている者という点で共通していると思います。宮崎駿の作品群の中では一番たくさん観直した映画です。何度観ても面白い映画だと思います。

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