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Strange Fruit 2 #21

 ──なるほど、姉は、南公園の桜の樹の下で死んでいた。そこは山の斜面を何段ものひな壇に切り開いて、一面に桜を植えてある所だった。見わたす限りの桜、桜、桜。きさらぎではなかったけれど。望月でもなかったけれど。桜も寒々と凍えながら、春を待ち遠しそうにしていたけれど。

 あれから、今年でちょうど10年たつ。そして同時に、母が亡くなったのと同じ年齢にもなった。30年余りかかって母に追いつき、横に並んだ。けれど、横並びで共に生きていくことはない。これから先は僕が、母を、追い越していく。そうして僕の方から遠ざかっていく。僕は立ち止まらない。母だけが、姉だけが、同じ場所でいつまでも若い。

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