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青春の後ろ姿のその先10 〜東京トンガリキッズ〜

 サブカルの旗手、中森明夫氏のショートショートなストーリーが約50話収録されています。80年代当時、純粋なバンド&サブカル雑誌だった「宝島」に連載していたものを単行本化しました。
 80年代当時に青春時代真っ只中を過ごしていた私のような世代の中で、ある種の人たちにとっては、このストーリーたちは優れているとかつまらないとかではなくて、うまくいえませんが、あの頃の日本中に漂っていた世紀末的な空気感とか、経済成長が終わって社会が成熟して次のステージに入ってしまったことへの寂しさとか喪失感とか、自分自身の中で無意識に感受していた切なさのようなものが描かれていて、なぜか読み返してしまう不思議な本です。
 単行本で出たとき、欲しくて買おうと思っていたら、当日つきあっていた彼女にプレゼントされた思い出があります。でも、包みを開けると、その本はカバーも外されていて、某図書館のハンコやシールが貼られてありました。なんていうか、そういうちょっとエキセントリックな人でした。

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 その本はいつのまにかなくなってしまい、もう二度と読めないなあと思っていたら、20年余りを経て文庫本で発刊されてすぐに買いました。奥付を見ると「平成十六年」となっているので2004年のことです。
 どのストーリーも甲乙つけ難く好きですが、一番好きなのは「新宿駅最終出口」です。そして、序文です。

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「新しいアソビを始めようぜ!」
という言葉はずっと、いつも心の中にそのまま残っているフレーズです。





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