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1万日連続という数字の裏に隠された、ひとりの男としての心を伝えたい。

昨日から新日本橋にあるego-Art and Entertainment Galleryで写真展がスタート。

展示は、1万日連速登山を目指し、達成寸前の9738日で倒れ、そのまま他界してしまった東浦奈良男さんを撮影した写真やショートムービーだ。

そういうと、山に登った記録の紹介と思われることが多いし、これまでの展示はそれを伝えるものが多かった。しかし、今回伝えたいことは、父として、夫として生きたひとりの男の姿だ。

奈良男さんについて書いた書籍『信念 東浦奈良男 一万日連続登山への挑戦』(山と渓谷社)も、実は、記録そのものより、どうして山へ向かわなければならなかったのか、その時、家族とはどう関わって来たのか、また、何が起きて、何を起こすことができなかったのか。。。という生き様そのものだった。
ストイックに山へ向かった大正生まれの、ほとんど胸の内を語らなかった頑固ものの奈良男さんが父としての家族内での存在は、あまりにも大きく、奈良男さんが何を思い、山へ向かっているかを理解している子どもはいなかった。
その分断を、なんとか繋げたいと思って、奈良男さん自身とお子さん達に向けて書いたものだ。

喜ばしいことではないが、奈良男さんが記録達成前に倒れたため、ぼくは見舞いに伊勢へ何度かお邪魔した。その時に、本を書き上げるために取材した内容を娘さんたちにいろいろ伝えた。
そして、かなり偏った想い・・・というか、不器用だけれど、奈良男さんがどれだけ家族を想っているかを伝えた。

娘さんたちは、その内容が思いも寄らなかった様子で、本当に驚いていた。

そして、半年くらいだったが、娘さんは奈良男さんと向き合い、会話が出来るようになったという。また、奈良男さんも娘さん達に甘えるような態度を見せたりもしたと、後日、娘さんから聞いて、「信念」を書いて、本当に良かったと思った。

そうした、「不器用な父の思い」(言わずして伝わっていたりするのだけれど、ご本人は気づかないままそれが身についていたりする)を、この展示で伝えたい。

一万日連続登山という看板からするとかなり変化球だと思う。けれど、それを目指した奈良男さんだからこそ、その父の不器用さは際立つのではないだろうか。

だから、それをやりたかった。

そして、初日はトークイベントもあり、来てくれた人たちと、みなさんが持つ父論や、また、自分の中の奈良男さん度のようなものを話すことが出来て、本当に面白かった。

ギャラリーのある場所がオフィス街のど真ん中ということもあり、2日目の土曜日は、13時から18時と開催時間が短く、あっという間に過ぎていったが、思いがけに人が来てくれたりして、展示の醍醐味を味わった。

この連休中は、今日と同じ13時から18時の開催で時間は短いけれどギャラリーにおります。

山好きな方はもちろん、お父さんについて、家族について見つめ直したい方がいらしたら、是非、お越し下さい。

お待ちしております。

*ego-Art and Entertainment Gallery アクセス
https://egox.jp/access/



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