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30年前に自分が書いた手紙を読み返しながらのタイムトラベル 〜イギリス生活事情編(その2)〜

前回から、30年前にイギリスに住んでいたときに両親に宛てた20通の手紙を2022年の今読んで面白いと思ったこと、気づいたことなどをご紹介しています。手紙には昔と変わらないイギリスの姿や今とは全く違う姿などが、若い自分の目を通して描かれていて、今あらためて読み直してみると、新たな発見がたくさんあることがわかりました。

今回は前回に引き続き、90年代初頭のイギリスの生活事情などを現在の様子と照らし合わせながらご紹介します。

30年前のイギリスの物価にため息

 
その頃一人旅をする自分が、お食事代や宿代について書いている部分を読むと、物価がずいぶん高騰してしまったことをあらためて実感します。下記は週末に思い立ってシェークスピアの生誕地と言われるストラットフォード・アポン・エイボンに一泊してきたときの手紙からの抜粋です;
 
<・・・ベッド&ブレックファーストとは、普通の家が自宅の何室かを宿として提供するもので、日本の民宿のようなものです。シャワーやトイレは共同ですが、部屋に洗面台とベッド、テレビ、机などがあり、朝食(イングリッシュ・ブレックファストと言って、卵、ベーコン、ソーセージ、豆、トースト、紅茶という豪華なもの)付きで、一泊£12=2600円くらいです。>
 

このB&Bでは可愛い8歳くらいのお嬢ちゃんがお手伝いをしていて、かしこまって「コーヒー&トーストとフル・イングリッシュ・ブレックファスト、どちらになさいますか?」と聞いてくれました。これで、軽い朝食が良い人は前者を選べるということを学んだのでした。

ちなみにこの場所にはロンドンからコーチという大型バスで往復券を買って行ったのですが、それも往復で5ポンドくらいだったと記憶しています。こういうシステムを利用して、割と低予算でどんどん一人旅ができた時代が懐かしい。

そして、初めてB&B(ベッド&ブレックファスト)で朝食を食べたときにとても感動した私。朝お腹いっぱい食べるので、ランチは要らなくて、夕食だけ外食、というのも若者の貧乏旅行にはありがたかったです。

こんな風に朝から思い思いのテーブルセットで迎えてくれるのも嬉しい。

手紙にあるB&Bの宿代はその頃の換算率なので、今だと2000円くらい。イギリスで暮らしていると、実は(個人的には)1ポンド=100円みたいな金銭感覚なので、12ポンドというと1200円くらいな感じです。

30年前は「息子の部屋が空いたから」とか生活感そのままのB&Bも多かったですが、今はほとんどの宿が経営のために改装して、バスルーム付きのお部屋なども多く快適です。その代わり、お値段はその頃の5、6倍、もしくはそれ以上になっていて、ホテルと変わりません。

ピーク・ディストリクトのB&Bにて


外食代もお手頃でした


外食も、特にロンドンを一歩離れると安かったように記憶しています。数ヶ月前に行ったヘイスティングスという海辺を、20代の私も訪れていたのだけど、その時パブでお食事をした時のことが手紙に書かれていました。
 

<・・この町はリゾートタウンな上、海辺なのでお魚が美味しいことでも有名です。ワインとカクテル・サラダ(エビとカニ)、メインのカレイのムニエルと付け合わせの野菜、山盛りのフライドポテト、デザート、コーヒーで8ポンドとお値段も手頃でお腹がはち切れそう・・そういえば最近食べ過ぎで太り気味なのでまた来週あたりからダイエットを始めようかと思っています。>
 

それにしても若い頃の私、すごい食欲(笑)。この日の夕食のことはよく覚えています。夜、嵐に近い大雨になってしまって飛び込んだお食事も出すパブは、悪天候のせいでお客さんは私だけ。薄暗いパブでウェイトレスさんとおしゃべりしながら食べた一人ディナーです。ヘイスティングスなのでドーバー・ソールのムニエルを食べようと思ったのだと思います。記憶では上記の定食のセットが5ポンドで、安いなーと思った覚えがあるので、ワインが3ポンドだったのでしょう。ちなみに今ならワインか前菜だけで8ポンドするのが悲しい。

先日も上記の町に近いイーストボーンに住む友人が、「最近はパブでのビールが1杯7、8ポンドするのでやってられないよー」と嘆くことしきりでした。お給料はたいして上がらないのに、物価が年々上がっていくイギリス。世界経済が大きな転換期を迎えているこのタイミングで、30年前の描写を読んでみて、色々と考えさせられました。

*   *   *

次回は、イギリスの住宅事情今むかしに絡めて、ロンドンで初めてのアパート生活が始まったこと、ちょっと珍しい体験をしたことなどを綴ってみます。ここまでお読みくださりありがとうございました。






ロンドンの中の日本










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