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絵画・映画 鑑賞の楽しみ

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心に響いた絵画や映画(TVドラマも時折含めて)のご案内コーナーです。
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記事一覧

【映画】ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 (字幕版)

日本国の通貨「円」の価値は下がり続け、本年4月26日には、危機的ともいえる$=156円となり、今後、その価値が再度高まることへの目途が全く立たない状況となった。 円安という状況は、日本国通貨の評価が外国通貨に対し相対的に低下していることを表す。 一般に相手国との金利差により為替レートは変動すると報道される。これは正確ではない。なぜなら、アベノミクスによってマイナス金利を保った約10年近く、為替レートは$=108円程度で推移していたのは記憶に新しい。 単なる金利差は為替レート

映画:「バベットの晩餐会」

デンマークにて制作された、この心洗われる映画は、AmazonPrimeでは 長いこと「このタイトルは現在ご利用いただけません」と表示されていて、視聴できませんでした。最近それが、HDニューマスター版として再掲され、現在は(プライム会員は)無料で視聴可能となっています。 この映画を初めて見たのは、1990年代初頭。すぐにマイ・ベスト・セレクションの一つとなり、以来、何度も視聴していますが、なぜ好きなのかを 文字にすることが極めて困難でした。私スピンは文章表現にはまるで向いてい

【絵画】ベアトリーチェ・チェンチの肖像

ブログによくお越し頂く方が『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』という 絵画の存在を教えて下さった。 早速、グーグルを駆使して探しまくり、なんとも心に突き刺さる「少女の絵」に向かい合い、ネット上の、沢山の記事・解説を読み漁った。 ローマ市街バルベリーニ宮殿中の一室にグイド・レーニという人の作になるその 「絵」 があるそう。 濃い薄茶色の空間に独りの少女が、深い哀しみを湛え、まるで最後の挨拶をするかのように振り返っている。 伝説によると、 この少女は極悪非道な父親によって郊

【文学】A. ランボー:いちばん高い塔の歌

先日、神田神保町の古本屋街を歩いて、アルチュール・ランボーの詩集を やっと探し出してきました。 19歳だった時分のちょうどいまごろの季節、耽読した詩です。 なぜか、読みたくて、読みたくて。  *** いちばん高い塔の歌 ***  束縛されて手も足も出ない、うつろな青春。  こまかい気づかいゆえに、僕は自分の生涯をふいにした。  ああ、心がただ一筋に打ち込める、そんな時代は、再び来ないものか?  僕は、ひとりでつぶやいた。 「いいよ。会わなくたって。  君と語

【映画】パリに見出されたピアニスト

原題: Au bout des doigts( フランス語:この指で(未来を) ) 封切:2018年 監督:ルドヴィク・バーナード 主な出演者:  マチュー・マリンスキー:ジュール・ベンシェトリ  ピエール・ゲイトナー:ランベール・ウィルソン  女伯爵エリザベス: クリスティン・スコット・トーマス 他 パリ北駅の出勤時間帯の喧騒の中、パーカーと穴のあいたジーンズを着た20歳の青年マチュー・マリンスキーが、駅構内の駅ピアノでバッハの「前奏曲とフーガ第2番ハ短調」を弾く映像から

【映画】夜の来訪者 - An Inspector Calls (2015年版 BBC)

今を去ること、数十年前、大学の演劇部に所属していた私スピンは、この「夜の来訪者」、イギリスの劇作家 J・B・プリーストリー(1894年‐1984年)による著名な舞台劇を演じたことがあります。 AmazonのPrimeVideoにてこの作品を見つけた時、息もつかせぬ展開と最後に仕掛けられた大どんでん返しの舞台風景が、鮮やかに蘇り、とても懐かしく思い出されました。 何度も上演され、映画化された、イギリスの劇作家プリーストリーの代表作で、ご紹介する本編は、2015年に英国BBC

【ドラマ】未生(ミセン)

弊記事をお読み頂いた方の記事を拝読して、ふと、あるTVドラマのことを 思い出しました。数ある韓国ドラマ中、私スピンの中での最高評価のドラマ『未生(ミセン)』をご紹介いたします。 『未生(ミセン)』とは、韓国の囲碁用語で、未だ陣地として確定していない状態の 石 (相手に攻められる状態) の集団 のことを指します。 ご存じではない方のために、先ずは囲碁の基本的なルールを簡単にご説明。 囲碁は、白黒それぞれの石を二人の対局者が持ち、縦横それぞれ19本の線が引かれた碁盤上の、線

【映画】プライドと偏見( "高慢と偏見" 2005年版 )

ご存じ、ジェーン・オースティンの小説「高慢と偏見 ( Pride & Prejudice )」を、キーラ・ナイトレイとマシュー・マクファディンのコンビで2005年に 映像化したものです。 その10年前、1995年に、英国BBCが ジェニファー・イーリーとコリン・ ファースのコンビでテレビドラマ化したものが、全部で約6時間かかって いたものを、更に約2時間に縮めて制作していますので、やはりダイジェスト版的な、舌足らずの印象は否めません。 ですが、映像と音楽が、とても美しく、

【映画】鑑定士と顔のない依頼人 - ザ・ベスト・オファー

「ニュー・シネマ・パラダイス」・「海の上のピアニスト」などの名作で有名な、イタリアの名匠 ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、2013年に公開 した話題作です。 日本ではさほどの人気は得られなかったと記憶していますが、なかなかの 秀作だと思います。 「この映画の結末は、非常にポジティブなものだと思っています」 「愛を信じる人たちには理解可能でしょう。ですが、愛を信じない人には、  暗いエンディングに思えることでしょう」という、 トルナトーレ監督の言葉を、頭の隅っこに置きつつご

【ミュージカル】Anything goes (エニシング・ゴーズ!) 公開リハーサル

2011年でしたか、ミュージカル「エニシング・ゴーズ ( Anything goes ! )」が、第65回トニー賞のリバイバル・ミュージカル賞を受賞した授賞式での舞台です。 主演のサットン・フォスター(中央の黒のパンタロンの女性)も、ミュージカル主演女優賞を受賞しました。 その授賞式での舞台が、一番目の映像です。 軽快で一糸乱れぬ見事なタップダンス! そして、アメリカン・ショービジネスに共通する底抜けの明るさ!! ( ちなみに、Anything goes は「 何でもあり

【映画】オール・ユー・ニード・イズ・キル(All you need is kill)

明けましておめでとうございます。新春早々、弊記事にお立ち寄り頂き、 誠に有難く存じあげます。 昨年8月末よりnoteを始めさせて頂いた初心者ですが、本年もますます精進致したく存じ居りますので、よろしくお引き回しの程お願い申し上げます。 本年最初にご紹介いたします この映画、「トム・クルーズ主演」というキャッチコピーにつられて、3年前の2019年1月に NHK・BSで初めて観て、自分の足元が吹っ飛んだかのような、強い衝撃を受けた作品であります。 素晴らしい想像力・息をのむ奇

【映画】黄金のアデーレ 名画の帰還

「黄金のアデーレ」とは、オーストリアのユダヤ人実業家フェルディナント・ブロッホ・バウアーが、グスタフ・クリムトに制作を依頼した妻の肖像画、『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 Ⅰ』のことです。 この絵は、第二次世界大戦中、オーストリアに侵攻したナチス・ドイツに より収奪され、戦後もオーストリア政府によりウィーンのベルヴェデーレ 宮殿内にあるオーストリア絵画館にて展示され続け、オーストリアの国の 宝とされていました。 この絵を、アデーレ・ブロッホ=バウアーの姪で、戦火とホロ

【映画】シービスケット

2003年に公開された映画です。あちこちで溢れる出す涙を、私スピンは止める事ができませんでした。 大恐慌時代、1930年代のアメリカに実在した競走馬 シービスケット と、 それを取り巻く3人の実在の男達のドラマを描いた、感動の名画です。 (シービスケットと3人の男たち、それぞれが、Wikipediaに紹介ページが あるという、珍しい映画でもあります) 一人目: 1898年の米西戦争の後、ニューヨークで自転車修理工として働いていたが、 職人気質のためか、大流行の”合理的