「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」は死と愛の物語だ

こちらの作品は2008年の米国アカデミー賞で、美術賞、視覚効果賞、メイクアップ賞で受賞し、その年の最多13部門にノミネートされた注目作!!
いつかみようみようと思っていたのだが、時間が167分とちょっと長かったので後回しにしてしまいました。コロナ状況下で時間もあったのでやっとみれました。
いやーこれは超絶良作です。なにがってテーマがはっきりしており、話もある男と女の話であり、すごく見やすかったです!
どんなテーマだったのか、感じたことを書いていきたいと想います。

作品概要
日本公開年:2009年
配給:ワーナーブラザーズ
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、タラジ・P・ヘンソン、ジュリア・オーモンド、ジェイソン・フレミング、イライアス・コティーズ、ティルダ・スウィントン、ジャレッド・ハリス、エル・ファニング、マハーシャラ・アリ

ストーリー
80歳の老人で生まれ、年をとるごとに若がえるという不思議な人生を歩む男性の物語。
1918年のニューオリンズ。第一次世界大戦が終わった日の夜に生まれた赤ん坊。しかしその姿はまるで老人のような姿をした醜い赤ん坊であった。醜い姿に父親は老人施設の前に捨てていく。だが、そこの施設の運営者はとても優しくて、まるで自分の子供のようにその子を育てていく。
その子供は年を取るごとに若返っていく不思議な人であった。彼はやがて一人の女性に惹かれていくー

感想
いやー、切ない。非常に切ないけど普遍的なテーマでかつわかりやすかった。
テーマの1つ目は何度も出てくる「死」なんだよなー。
ベンジャミンは他の人と違って、年を取るごとに若返る。見た目が同じ老人たちは日に日に年老いていくのに対して彼はどんどん元気に若返る。当たり前だが周りの人はどんどん死んでいく。
彼の働く船の船長が死ぬ間際に言う一言がある。それが象徴していると思う。
「はらわたが煮えくり返る。運命の女神を呪いたい。だが迎えが来たら行くしかない。」
そう、人は運命に定められて、みんな「死」に向かっていく。
本作はベンジャミンがどんどん若返っていくので、「死」というものが特別に描かれているように見えるが、実際は彼は80年しか生きておらず、私たちと同じように寿命は同じなのである。不死身ではないのである。つまり彼が経験する周りの「死」の数は我々と基本的には同じはずである。(老人施設に住んでいるので、実際には多いが。。。)
「死」とは身近な存在であり、誰にでも隣り合わせのものであり、自分から悔いのないよう行動すべきなのだ。ベンジャミンがロシアで出会うホテルでの恋仲の女性。彼女が言うのだ。「 後悔だらけよ。過ちを正せたらいいのに。私は待ってばかり。この状況を変えるためにやり遂げたい。時間のムダだった過ぎた時間は戻らない」と。妙に印象にに残っている。

もう一つのテーマが「愛」ですね。
彼とデイジーの恋、いや愛はとても美しかった。
これはもうただの感想なのですが、大好きな、愛している人と一緒の時間を過ごせないというのはどれだけ切ない、悲しいことなのか。
それでも、彼女、娘のことを想い旅立つベンジャミンの心境を思うと涙なしには見れません。
子供の姿になって認知症になった彼を面倒見るデイジー。彼女が子供の姿の彼にもそっとキスしている姿をみると「永遠の愛はあるよ。」とそっと心で悟りました。

最後、ベンジャミンが死ぬときに
走馬灯のように、かつて出会ったいろんな人が出てきます。
しかし、名前が出てこずダンサーとか母親とか職業で出てくるわけです。
ここであえて名前が出てこないのは、みんなの物語だよと問いかけているんだと勝手に思いました。
自分の母親、恋人、いろんな人との大切な時間をしっかり過ごしてくださいと。

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