社労士的就業規則の作り方 3 採用
鹿児島で社労士をしています原田です。
誰もが大好き就業規則の作り方です。第二章の採用に突入です。
ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。
第二章 採用、異動等
この内容であれば、ほぼすべての企業で共通に使えます。様々な就業規則モデルでは、かなり詳細に記載しているケースもよくあります。私の作るのも詳細に書いています。しかし、そもそも前回の第2条で
と定義しているので、採用前の時点では労働者とは言い難いことを踏まえると、この規則が適用されない可能性もあります。
こうした前提から考えれば、「第4条の採用手続き」は採用時の手順や必要書類を採用担当者等に向けて記載している意味合いが強いことになります。
中小企業の多くは、採用担当者=代表者ですから、その場合忘備録のような感じになるでしょう。
採用手続き→内定→採用→書類の提出
→内定取消
という流れで、それぞれに規則を制定することもあります。中堅以上の企業や、新卒を採用する場合には「内定」が発生しますので、規則上で内定時に遵守させる規則や、禁止する規則を入れることも妥当性があります。
ただし、多くの判例により、内定は「始期付解約権留保付労働契約」として既に雇用契約が締結されていると考えられる場合があります。場合があるだけで、絶対に 内定=雇用契約締結 では無いのですが、裁判上では内定の手続きや内定者に送付する文章の内容等によって、雇用契約が締結されたものか否かが判断されています。
こうした「内定」を採用条項に出すだけで、いろいろと波及する話が出てきます。厚労省モデルでは、そこを避けていると考えるべきでしょう。そもそも内定を出す予定がない企業には関係ありません。
採用時には各種手続きや法的な義務を遵守するために、書類を提出してもらう必要があります。住民票記載事項証明書があれば、住所・氏名の確認が可能になるので、社会保険手続きや税務手続きへの必要情報は、ある程度揃います。
実際は
・前職の雇用保険番号が不明な場合は、職歴が必要になる
・現在就学中や在職中なのかで、手続きが変わる
ことから、履歴書を求めたくなります。履歴書自体の保管義務はありますが、履歴書の提出義務は無いので、モデル的には一部の履歴書を出したくない方に配慮しているのでしょう。
一般的にはマイナンバーカード、卒業見込み証明書、源泉徴収票等の必要と思われる様々な書類を求めるように記載します。そうしたものをモデルで明記すると、
「これらの書類を求めるのが当たり前だと厚労省が主張している」
と言われかねないので、問題が無いような書類だけを記載しているものと思われます。
「④ その他会社が指定するもの」があるので、何でもOKにはなっています。採用者に対して、提出書類一覧を出して揃えてもらえば、規則で明示しなくてもいいのかもしれません。
第2項で、住所や運転免許・資格者証等の期限のあるものの更新について、変更があれば必ず連絡を必要とすることを明記することは重要です。手続きにも資格を利用した業務にも多大な影響があります。
他にも電話番号や振込先や扶養家族の増減等も情報として必要なので、書いておきたいところですが、個人情報の収集について、「モデル」として全国民に示していいものかどうかを考えれば、自ずとこの部分は最小限に留めるべきという判断になるでしょう。
事業主から依頼を受けた場合は、基本的に必要なものは全て書いた方がいいでしょう。抵抗する必要性が低い書類について、個人的な感情で提出したくないと主張する方は、後々のトラブルの元になると考えた方がいいかもしれません。
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