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一人でお寿司を食べた話

お寿司が半額で売られていた。
お寿司には醤油とガリの小袋が付いていた。
普段私はガリを食べないのだけど、そのまま捨てるのももったいなくて、袋を破って一つ食べてみた。
あれ?意外とイケる
辛さと甘さがちょうど良くて、お寿司とお寿司の間に食べると良い感じに味変ができて美味しかった。
お寿司、ガリ、お寿司、お寿司、ガリ、お寿司……。
ヒョイパクヒョイパクと食べてしまい、気づけば全部食べ切っていた。

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家族でお寿司を取った時はいつも、ガリの山をそのまま箸でつまんで母の寿司桶に移していた。
母はガリが好きで、二つになったその山をムシャムシャと食べていた。
あまりに美味しそうに食べるもんだから、たまに一つだけ返してもらって食べてみるんだけど、子供だった私にはやっぱり辛くて「ゔっ」としかめ面になって、食べたことを後悔したものだった。

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今、私は一人暮らしで、ガリを食べてくれる母は隣にいないけど、ガリを美味しく食べられるようになった。
次に実家でお寿司を食べることがあっても、ガリの山を母にあげることはもうしないだろう。

お母さん、ごめんね。
でも、
ガリが食べられるようになる、それが大人になるってことなんだと思う。

ねぇお母さん、今はなかなか実家に帰れなくて、久しく会えないけど。次実家に帰ったら、今度は一緒にガリの山を食べようね。きっと楽しい食事の時間になると思うんだ。

あ、そうだ。
実は、ワサビ入りのお寿司も食べられるようになったんだよ。


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