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自分の心を蔑ろにしない

3冊目の『満月珈琲店の星詠み』を読みました。

八月の新月、三毛猫のマスターのもとに、美しい海王星の遣い・サラが訪れた。特別に満月珈琲店を手伝うという。人に夢を与えるサラが動いたことで、気後れして母に会えずにいた沙月、自分の気持ちを蔑ろにしてきた藤子、才能の限界を感じた作家の二季草、彼らの心の扉が開かれる。イラストとともに生まれる書き下ろし小説。

文藝春秋BOOKSより

☆☆☆☆☆☆☆

著者も仰っていますが、1冊目2冊目とは趣が違いました。
前作までは、星読みの知識があるとより楽しめるかも?という感じでしたが、今作はホロスコープなんてわからなくても普通に恋愛小説として楽しめると思いました。

知識がある人は「なるほど」と思うだろうし、ない人は「海王星はそういう設定なのね」と思うだろうし。

そして、今回も泣きました。
切ない…。
でも、読後感は晴れやかな気分でした。
しかしこのシリーズ、会社では読めないなぁ…。(←もれなく読んで泣いてる人)

☆☆☆☆☆☆☆

今回は特に『薄明ラムネと川田藤子の想い』が、グッと胸にくるというか、刺さるものがありました。

「三次元はしがらみの地、土星的に言うと修行……いえ、課題の場です。どうしようもない場合や、やむをえない事情があるでしょう。不本意な選択をしなくてはならないことが往々にしてある。そういう場面に陥った時、大事なことが、三つあるんです」

本文120p〜121p

その三つというのが、

  • 本音を認めること

  • その本音を発している自分に対して事情をしっかり説明し、そして謝る

  • 自分の中で決意表明をする

「えっ、それだけ?」
「はい。こうすると、自分を蔑ろにせずに、被害者にもならず、新しい未来を歩いて行けます」
 被害者という言葉を聞いて、私の胸がちくりと痛んだ。

本文121p

「なるほどね〜」と、妙に納得してしまいました。

自分で自分の願いを叶えてあげたいけど、それが叶わない時、環境だの状況だの人のせいにして、「私は悪くないもん。むしろ被害者だもん」と思ってしまうことって、結構あるあるだと思うのです。

でも、選択権は自分にあって、結果はどうであれ、自分で決めたことには責任を持たなくてはいけないと、改めて気づかされました。

自分の気持ちに意識を向けることは多々あるけれど、自分の気持ちに従えない状況下の時は、つい被害者意識になっているように思います。

今後はきちんと、「ごめんね。今それはこういう状況で無理なんだ。だから、こっちを選ぶね」と説明して謝って、「こっちの道を選んだのは自分だろ!」と被害者ぶらない自分を目指してみます。




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