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日本のスタートアップ起業家のためにファイナンスで思ったこと、考えたことをnoteにして…

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日本のスタートアップ起業家のためにファイナンスで思ったこと、考えたことをnoteにしていきます。 ご購読、よろしくお願い致します。

最近の記事

資金調達のピッチデックの作り方

ピッチの構成 以下、Y combinatorの3分ピッチ(https://www.slideshare.net/takaumada/startup-pitch-template3min)を基に、資金調達の際によく使う、標準的なピッチデックの構成をまとめました。 ・会社概要(あってもなくても良い) 【プロダクト】 ・ユーザーの課題・ペイン ・ソリューション ・プロダクト ・マーケットサイズ ・トラクション 【事業戦略】 ・業界・ユーザーに対するインサイト ・競合分析 ・

    • ストックオプション〜ベスティングの事例研究

      前回は、「ベスティングとは何か?」について説明しました。今回は、株式会社ラクスルの新株予約権の発行事例をもとに、ベスティングの事例を研究していきたいと思います。 下記が株式会社ラクスルの第1回新株予約権の発行概要です。 ベスティングの記載例 履歴事項全部証明書の記載例を見ていきます。 新株予約権者は、上記(4)により新株予約権を行使できることを条件に、平成26年2月1日、平成27年2月1日、平成28年2月1日、平成29年2月1日に、新株予約権の25%ずつが権利行使可能

      • ストックオプション〜ベスティングって何ですか?

        ストックオプションにおける"ベスティング(権利移転)"とは、権利者が実際に権利を付与されてから、権利行使可能になるまでに期間を設けることをいいます。 "ベスティング"の目的は、ストックオプションによる権利者の利益が、短期的な株価上昇により獲得できるものではなく、"企業の業績ひいては株価に貢献した期間に応じて獲得できる報酬"であることが望ましいと考えられているためと想定されます。 ベスティングには大きく分けて2つの方法があります。 ①権利付与後一定の行使できない期間を経て

        • ストックオプション〜権利行使価額

          「ストックオプションの発行に際する検討項目」では、ストックオプションの発行に際して、何を考える必要があるのかを説明しました。ここでは、"権利行使価額の概要"について見ていきたいと思います。 権利行使価額の概要 権利行使価額をどのように設定するかに関しては、会社法上の制約はありません。しかしながら、税制上の特例措置(税制適格ストックオプション)を適用するためには、権利行使価額が"ストックオプションの割当時の株式時価に相当する金額以上"に設計する必要があります。 加えて、権

        資金調達のピッチデックの作り方

        • ストックオプション〜ベスティングの事例研究

        • ストックオプション〜ベスティングって何ですか?

        • ストックオプション〜権利行使価額

          ストックオプション〜ストックオプションの発行に際する検討項目

          前回は「ストックオプションのメリット・デメリット」について説明しました。今回は、ストックオプション制度の導入に際して、"検討すべき項目"を見ていきたいと思います。 結論から言ってしまうと、下図の○を埋めれば、ストックオプションの発行に際して考えるべきことは大まかにカバーされます。 それぞれの項目について見ていきます。 発行体 ストックオプションを発行する会社名を定義して下さい。 新株予約権ラウンド 新株予約権には回号があります。何回目に発行されるストックオプション

          ストックオプション〜ストックオプションの発行に際する検討項目

          ストックオプション〜ストックオプション制度のメリット・デメリット

          前回は、「ストックオプションが役社員に対するインセンティブになる理由」について説明しました。今回は、そんなストックオプション制度の(経営者目線からの)メリットとデメリットを説明していきたいと思います。 ストックオプション制度のメリット ①人材の確保、社外流出の防止 ストックオプションをインセンティブプランとして活用することにより、優秀な人材の確保につながります。また、ストックオプションの付与対象者に、「あなたが会社を退職した場合は、権利が喪失(なくなり)しますよ」などの条

          ストックオプション〜ストックオプション制度のメリット・デメリット

          ストックオプション〜なんで新株予約権がインセンティブになるの?

          前回の「新株予約権って何?」のところでは、「新株予約権とは、(その時の株価にかかわらず)決められた価格(権利行使価額)で、決められた数の株式を、一定期間内(権利行使期間)に、決められた条件に従って、購入できる"権利"」と説明しました。 今回は、「なんで、新株予約権はインセンティブになるのか?」について説明していきたいと思います。 簡単に言うと、①新株予約権を使うことで、過去の安い株価で株式を買って、将来時点の高い株価で株式を売却できて、株式の売却益を得ることができる。②ま

          ストックオプション〜なんで新株予約権がインセンティブになるの?

          ストックオプション〜新株予約権って何ですか?

          前回の「ストックオプションって何ですか?」では、「ストックオプションとは、新株予約権の1つの使われ方」とお話ししました。それでは、今回は、"新株予約権とは何か"について見ていきたいと思います。 新株予約権とは、「(その時の株価にかかわらず)決められた価格(権利行使価額)で、決められた数の株式を、一定期間内(権利行使期間)に、決められた条件に従って、購入できる"権利"」です。 会社が、この"権利"を対象者に”報酬”の一部として与えることにより、会社の業績向上(=株価の上昇)

          ストックオプション〜新株予約権って何ですか?

          ストックオプション〜ストックオプションって何ですか?

          「ストックオプションって何ですか?」と聞かれた時に、何と答えますか? 「ストックオプションはストックオプションやろ」と思っちゃった起業家のみなさん、この時点で単なる素人だと思われて、投資家に舐められます(笑) 「ストックオプションは、新株予約権の使われ方の”1つ”で、インセンティブ目的の新株予約権がストックオプションと呼ばれる」と覚えて帰って下さい。"使われ方の1つ"という表現から分かるように、新株予約権には、色々な使われ方があります。下記が新株予約権の大まかな概念図です。

          ストックオプション〜ストックオプションって何ですか?

          優先株式のタームシート(案)

          リード投資家が決まったら、発行する優先株式の内容を詳細に決めていくことになります。契約書ベースでやり取りをする前に、タームシートという簡易な書面で優先株式の内容を合意するようにします。 下記が一般的な(?)タームシートの内容になります。

          優先株式のタームシート(案)

          IPO準備〜形式基準とは?〜

          未上場会社が、株式を証券取引所に上場する場合には一定の要件が定められており、 証券取引所の行う審査(上場審査)を経る必要があります。 上場審査の基準には、「形式基準」と「実質審査基準」とがあります。形式基準は、上場までに一定の数値または一定の事実の有無によって充足しなければならない条件です。上場市場ごとにその内容が異なっています。 具体的な形式基準は下記の図になります。 ほとんどの数字が上場準備開始時点では、満たしていないと思いますが、最初から市場第一部を目指す以外では

          IPO準備〜形式基準とは?〜

          投資契約の実務〜投資家からの要求事項:先買権〜

          【目的】 先買権とは、株主の誰かが保有株式を第三者に売却しようとする場合、その売却条件で先買権を有するその他の株主が、前述の第三者より先に譲渡を受ける権利です。 投資家がこの権利を有することによって、売却条件が本来的な株式価値よりも安いと判断したら、先買権を行使して投資家自身の保有比率を上げることができます。 なので、先買権が投資契約・株主間契約に入っている場合、発行会社は、売却条件を先買権保有者に告げて、同一の条件で購入する意思があるかどうかを確認する必要があります。その

          投資契約の実務〜投資家からの要求事項:先買権〜

          投資契約の実務〜投資家の要求事項:優先引受権〜

          【目的】 ストックオプションプールと同様に、投資家としては、自身の持分の希薄化は極力避けたいところです。 そのため、投資契約において、発行会社が、株式等を新規発行する場合には、投資家が自己の持株比率を維持する範囲で優先的に引き受けることができる権利を定めるケースがあります。 【記載例】 ①投資家は、発行会社が株式等の発行等を行う場合には、本条に定める条件及び手続に従い、当該株式等のうち、各自の完全希釈化ベースの株式保有割合に応じた株式数(以下「引受上限株式数」という。)につ

          投資契約の実務〜投資家の要求事項:優先引受権〜

          投資契約の実務〜投資家からの要求事項:ストックオプションプール〜

          【目的】 投資家としては、投資実行後に、発行会社にストックオプションの発行を乱発されて、自身の持分を希薄化してもらいたくないと考えます。 なので、投資契約の中に「ストックオプションの発行量は発行済株式総数に対して〜%までは投資家に相談せずに、株主総会を開いて発行しても良いですよ」と明記することがあります。こうすることで、自身の希薄化をコントロールして、むやみな株式価値の低下を防ぎます。 ストックオプションプールは、一般的に10%か15%が中央値だと思います。 【記載例】

          投資契約の実務〜投資家からの要求事項:ストックオプションプール〜

          投資契約の実務〜投資家からの要求事項:オブザーバーライト〜

          【目的】 取締役の選任権と近いです。投資家が発行会社の事業進捗やコーポレートガバナンスの監視のために、経営会議等での議決権は持たない形で、経営会議等への出席を求める目的です。 発行会社側にとっては、取締役の選任権よりは軽い条件と言えます。 【記載例】 発行会社は、投資家の請求により、投資家が指名する者 1 名を発行会社 のオブザーバーとして扱うものとする。かかるオブザーバーは、発行会 社の取締役会等、経営上重要な会議に出席し、その意見を述べることが できる(ただし、かかる

          投資契約の実務〜投資家からの要求事項:オブザーバーライト〜

          投資契約の実務〜投資家が求める条項:取締役の選任権〜

          【目的】  投資家が起業家の意思決定に影響を与えたいから、もしくは経営を監視したい(コーポレートガバナンスに影響を与えたい)ことが目的になります。もちろん、取締役の選任権を持つのは、リード投資家のみです。  シリーズA以降であれば億円単位のお金を投資しているので、投資家から見れば当たり前といえば当たり前です。 【記載例】 投資者は発行会社の取締役を⚫︎名指名する権利を有する。 【論点】  投資家に取締役会や経営会議に参加してもらって意味があるのか?が全てな気がします。こ

          投資契約の実務〜投資家が求める条項:取締役の選任権〜