くしりん

4マス、インターネットで構成されるメディア産業、そして出版、音楽、映画、テレビなどのコ…

くしりん

4マス、インターネットで構成されるメディア産業、そして出版、音楽、映画、テレビなどのコンテンツ産業、それらのハイブリッドについての気になることを、中の人を渡り歩いた経験から分析、行く末を予測します。

マガジン

最近の記事

亀山君5代目相棒記念。初期相棒の素晴らしさを改めて伝えたい【傑作5選】

相棒に亀山君/薫ちゃんが帰ってくる。 土ワイ時代からの相棒ファンにとってこれがどんな意味を持つか。 ミステリードラマ好きから注目されレギュラー化し、シーズン3~4あたりから明らかに一般的な人気が高まり、シーズン6放送中に映画化、そしてシーズン7での亀山君の卒業。あの頃相棒は、毎週話題に事欠かなかった。 なにより、次のシーズンがあるかどうかもはっきりしない中、外に向けて相棒の良さを伝えシリーズを続けてもらいたい、という青臭い熱があったことを覚えている。 亀山君卒業から、右京

    • 結局サブスクってアーティストにとってプラスなのかマイナスなのか、改めて混沌としてきたので今一度整理してみた。

      山下達郎氏のインタビュー記事が、サブスクに対する是非を今改めて喚起している。 方々でも指摘の通り、インタビュー記事をしっかりと読むと、氏がサブスクそのものを完全に否定しているわけではないことがわかる。 あくまで、現時点でサブスクに自身の楽曲を出すつもりはないということで、自身がサブスクを通し様々な楽曲に触れていることも付記されている。 このインタビューに端を発して、改めてサブスクに対する是非が各識者から提起されている。誰のどれとは言わないが、それら主張や提起が、サブスク

      • 岡康道と佐々木宏と、TVCMの蜜月。

        タグボートの岡康道とシンガタの佐々木宏。二人が20世期末から21世紀にかけての日本広告界の巨人であることに異論を挟む人間はいないだろう。 電通から独立しタグボートというクリエイティブブティックをつくり上げ、秀逸なTVCMを連発しドラマ「恋のチカラ」のモデルにもなったトップクリエイターの岡、そしてソフトバンク白戸家を産み出し、リオオリンピックの閉会式でもその手腕を発揮した佐々木。 広告業界外にも知れ渡る2人の巨人だが、その作品性の違いもあり、これまであまりその接点が見えてこ

        • コロナの自粛は、日本の音楽業界に影響を及ぼしているのか?

          100年に1度の世界の危機とも言われる新型コロナウイルスの問題は、エンタテインメント業界に暗い影を落としている。 特に興行業界は軒並み延期や中止に追い込まれ、その損失は甚大だ。 コロナで苦境に立たされる音楽サブスク?そんな中、興行のみならず、今や音楽市場の要である『音楽サブスク』にも暗い影響があるということが以下の記事に書かれている。 曰く コロナウイルスの影響が最も甚大な国のひとつであるイタリアでは、2019年2月時点でのSpotify上におけるトップ200の楽曲の

        亀山君5代目相棒記念。初期相棒の素晴らしさを改めて伝えたい【傑作5選】

        • 結局サブスクってアーティストにとってプラスなのかマイナスなのか、改めて混沌としてきたので今一度整理してみた。

        • 岡康道と佐々木宏と、TVCMの蜜月。

        • コロナの自粛は、日本の音楽業界に影響を及ぼしているのか?

        マガジン

        • 新しい音楽業界の教科書
          5本
        • 優れた広告クリエイティブ
          2本

        記事

          ワニを電通案件と呼ぶにはあまりに無理があるいくつかの理由

          「100日後に死ぬワニ」の炎上問題、そのメカニズム自体は https://honeshabri.hatenablog.com/entry/cleansing_of_twitter 上記ブログの解説がしっくりきたのだが、その加速度的なバイラルに一役買ったのは、本件が"電通案件"であるとされたことにある。 しかし、タイトルの通り本件を現時点で”電通案件”と言い切るのはいささか無理がある。その理由を以下に示す。 電通案件の根拠以下のまとめを参考にすると、根拠は以下3点といえ

          ワニを電通案件と呼ぶにはあまりに無理があるいくつかの理由

          ※ネタバレ込み「仮面ライダージオウ」とは一体なんだったのか?

          2019年8月25日(日)、記念すべき平成仮面ライダー第20作品目である仮面ライダージオウが終了した。 記念作として、かつての平成仮面ライダー(を演じた役者達)がゲスト出演する非常に派手な作品であるのと同時に、1つの独立した作品としてのオリジナリティも模索した意欲的な作品であった。 ただ、説明不足な部分も多く、初期の設定が展開に合わせて変わったとしか思えなかったり、個別作品としての評価が難しい作品とも感じられた。 とはいえ、最終話を見て、説明不足に伴うモヤモヤ感とともに

          ※ネタバレ込み「仮面ライダージオウ」とは一体なんだったのか?

          邦楽アーティストは、どれくらいサブスクで聞けるか?

          小袋成彬氏がラジオで発言していたとおり、音楽ストリーミングがこれだけ世界で普及しても、日本ではまだ音楽消費のメインストリームたりえず、こんな悲しいミスマッチが起きてしまう。 なんかね、こっちの人はSpotifyユーザーの方が圧倒的に多いんですよね。僕の肌感覚では8割、9割ぐらいはSpotifyユーザーなんですよ。で、この前悲しかったのが、「日本の音楽を聞かせてくれ」って言われて。その人は「ブルースが好きだ」って言うので、なぜか僕はaikoを思い出して、aikoをAppleM

          邦楽アーティストは、どれくらいサブスクで聞けるか?

          音楽ストリーミングをハックする方法大全【さわり】

          世界各国で音楽ストリーミングが音楽産業自体を大幅に回復させている中、日本も2018年、デジタル配信売上645億円に占める音楽ストリーミングの売上比率は54%となり、初めてダウンロード(40%)を抜いた。2018年末からオリコンも自身のチャートにストリーミングを加え、CD、ダウンロード、ストリーミングの各実績を足した総合チャートもスタートした。 斯様に音楽ストリーミングは日本でもその存在感を増している。ここに記したとおり、音楽ストリーミングは楽曲が再生されるたびに一定の対価が

          音楽ストリーミングをハックする方法大全【さわり】

          HONDAステップワゴン/「こどもといっしょにどこいこう」が示した新しい欲望喚起の地平|平成の名CMが教えるマーケティング①

          平成が終わる。その総括はあらゆるジャンルであらゆるメディアにあふれている。といいつつ、TVCMをその対象にしたものは意外に少ない。 平成はとりもなおさずマーケティングの時代だ。広告会社にも「アカウントプランニング」とか「インサイト」とか、今に続くジャーゴンが跋扈した。事業会社もマーケティング科学を商品開発やプロモーションにとりいれ「ブランドマネージャー」という職制が定着した。 その結晶はTVCMに表れている。制作費、メディアコストいずれも莫大なTVCMは、その商品自体の、

          HONDAステップワゴン/「こどもといっしょにどこいこう」が示した新しい欲望喚起の地平|平成の名CMが教えるマーケティング①

          音楽サブスクの再生単価はどう決まるのか?

          音楽サブスク時代、アーティストへの還元率が低いと言われて久しい。 昨日も以下のはてな匿名ダイアリーが話題になっていた。 サブスク系音楽は1再生でいくら払われるのか? Apple Music 1.2円 LINE MUSIC 1円 Google Play Music 0.7円 AWA 0.7円 Spotify 0.4円 Amazon PrimeMusic 0.2円 上記は記事の中の1例ではあるが、1再生あたり0.2~1.2円の売上ということで還元は非常に小さく感じる。ただ、

          音楽サブスクの再生単価はどう決まるのか?

          今のフジテレビのヤバさを可視化してみる

          フジテレビの凋落が様々な媒体で記事化され、久しく経つ。 2017年末には、四半期決算でフジテレビジョンが営業赤字に転落という記事(フジテレビが赤字転落、もはや不動産会社がテレビ局を経営している状態)が、更に年明けには、年始に放送された「さんタク」や「めちゃイケ特番」の数字が芳しくなかったという記事が(『さんタク』『めちゃイケ』『都庁爆破』! 視聴者に総スカンされた正月特番3選)掲載されている。 なんというか、この手の記事にずいぶん慣れきってしまった気がするのだが、これまで

          今のフジテレビのヤバさを可視化してみる

          "LINEのお年玉"は、念願の『LINE経済圏』を生み出せるか?

          12月16日、LINEは2016年から17年にかけての年末年始キャンペーンを発表した。LINE初のTVCMキャンペーンに出演したベッキーさんがナレーションする等の情報が露出しているが、本キャンペーンの本体はLINEのお年玉キャンペーンである。 https://linecorp.com//ja/pr/news/ja/2016/1605 ユーザーは、2017年12月27日(火)に販売が開始される「お年玉つき年賀スタンプ」(公式スタンプ13種類、クリエイターズスタンプ10種類、

          "LINEのお年玉"は、念願の『LINE経済圏』を生み出せるか?

          LINE上場から考える、今後のLINEの成長に相当重要と思われる「ある要素」について。

          2016年7月15日、LINE株式会社が東証一部に上場した。前日NYSEへの上場も果たし、無事日米同時上場を果たした。LINEに対して浅からぬ縁がある身として非常に感慨深かった。 初値は大方の予想を超えて、NYSEで公開価格の2割以上、東証でも3割以上上回った。投資家からの期待値は大変大きかったようだ。 この期待値を上回る成長を出来るかは、すべてLINEのこれからの展開にかかっている。その成長ドライバーは、ひとつには世界市場でのユーザー数の伸長、そしてもうひとつは既存市場

          LINE上場から考える、今後のLINEの成長に相当重要と思われる「ある要素」について。

          松本人志のインターネットとの近接、あるいは和解について

          2014年27時間テレビ、SMAPが司会の今年、深夜に放送されたワイドナショー特別版でのダウンタウン、松本人志の発言がまとめサイト界隈で話題を呼んでいる。 松本人志「2ちゃんは俺の悪口ばかり、松ちゃんねるに名前変更しろ」 http://waranote.livedoor.biz/archives/40053606.html ダウンタウン、特に松ちゃんの笑いの型の一つの特徴として 地上波のテレビという”公共性の高い(はずの)”空間に、極めて固有性の高い単語を放り込むことで起

          松本人志のインターネットとの近接、あるいは和解について