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中国人のマインドも「日本化」してるかも

昨日のマガジンでは、中国の不動産バブルとその背景について書きました。その中でも触れたのですが、いまの中国の状況は30年ほど前の日本と似通っており、これから中国の経済が「日本化」するのかどうかが注目されています。

英語でも、経済面での中国の「日本化」(japanification)を論じる記事をよく見ます。やはり英語圏から見ても、やはり両国は同じように見えているのでしょう。ただ英語圏の記事は総じて中国に手厳しく、日本よりもっとひどくなるかも、というものが多いように見えます。

最終的に中国経済がどうなるのか、本当に日本のようになるのかは、結局のところその時になってみないとわかりません。個人的にも中国の景況感はかなり悪くなっているとは思いますが、それがただちに経済の「日本化」を意味するわけではありません。

いっぽうで、日々中国の人々と接していて思うのは、そのマインドが少しずつ日本に似通ってきているような気がする、ということです。特に若い人を中心に、(少なくとも僕が知る)日本人っぽいなーと思う言動が増えてきたように思っています。

具体的にどういうところか、書いていきます。

コスパ重視になった

中国人といえば、これまでは派手なお金の使い方が特徴でした。目に見えてわかりやすい消費が好まれていたし、「面子消費」もそれなりに盛んでした。

また、無意識に金額が高いほうがいいものだという刷り込みが働いている部分があり、同じようなグレードのものであればあえて値段が高いほうを選ぶようなところもありました。これは実物のないサービスに顕著でした(たとえば同じようなレベルの家庭教師でも、特に根拠もなく時間単価の高いほうが人気になったりとか)。

しかし、近年はそうした意識はかなり薄れてきていると感じます。中国でも「性価比xing jia bi」(性能と価格の比、つまり「コスパ」のこと)という言葉が広く使われるようになって久しく、買い物をする時にコスパのいいものを選ぼうとする傾向が見られます。このへんは、すでに長いデフレを経験するなかでコスパ意識を鍛えられた日本人に似ているような気がします。

国の経済にとっては、これはあまり好ましくはないことかもしれませんが(「中国は「低欲望社会」に入った」という言説をわざわざ官製メディアが否定するなどしている)、中国でも消費が一周し、モノやサービスに目新しさがなくなった結果でしょう。この流れは変わらないと思います。

家族主義に違和感を持つようになった

これも少し前までの中国人の間では家族主義が根強く、特に結婚や子どもに関しては「家族の期待に応えることが責務である」と考える意識が強かったように思うのですが、それも変容してきている気がします。

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