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個性が輝く10種の冷んやり 中国アイスの世界 2022

拝啓

厳暑の折、ますますご清栄のこととお慶び申しげますが、ここ上海も夏まっ盛りです。今年は特に暑さが厳しく、最高気温44℃という高温をマークした日もあり、35℃が涼しく感じてしまうのだから慣れとは恐ろしいものです。

風呂より熱い空気

高温状態に加えてムッシリとした湿度が特徴的な上海の夏に欠かせないのが、冷んやり美味しいアイスクリームだ。暑さでぐったり気味の上海市民2600万人も、ひとたびアイスを頬張れば瞬時に生き返るのだから、14億人全体で考えれば中国のアイスクリーム市場の規模は想像より遥かに大きい。

冷凍ケースの中では商品の生き残りを賭けて、さまざまなアイスで賑わっている。イカだ肉だザリガニだと、惣菜屋かと思うほど個性が突き出た商品もゴロゴロしている中国アイスの世界を、今年も10種ほどご覧いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

※掲載価格は購入当時の情報
※1元=約20円換算(2022年8月8日レート 20.00円)




ゴロゴロしていた昨年の記事はこちら





ツートンカラーが美しい

1:海盐椰椰雪糕/海塩ココナッツアイス
17元(約340円)
ほんのり海塩が香る、青く涼しげなココナッツアイス。少し高めの価格に見合った上品で爽やかな甘さ。白い部分は練乳が効いており、しょっぱさと甘さの小々波が交互に押し寄せ、お口の中が南国のビーチ状態だ。蒸し暑い上海の夏にぴったりの味。




一層一層にワクワクがつまっている

2:千层蛋糕 提拉米苏味/ミルクレープアイス ティラミス味
12.8元(約256円)
アイスとクレープを交互に重ねた、ミルクレープ状のアイス。さっくりとした食感が、ティラミスの香りと一緒に口の中でとけ広がり、数ある中国アイスの中でも満足感高めでオススメ。クレープ生地が使われているので、食欲の落ちる夏の朝食にも良いかもしれない。




レトロ感に心が踊る
紙面端で賞味期限掲載

3:原味奶雪糕/オリジナルミルクアイス
2元(約40円)
上海大世界とチャイナドレス姿の女性のイラストが描かれた紙で、くるっと巻かれただけの簡易包装がノスタルジック。300円を超える商品が多い中で、昔ながらの価格帯がありがたい庶民派アイス。ほんわかバナナミルク味だが、バナナは入っていない。パッケージ紙面の天地左に賞味期限の年月日が配置されている独特なデザインも面白いのだが、どこにもマークされていない。でもそれでいい。




北氷洋の瓶ジュースも美味しい

4:北冰洋桔子冰棍/北氷洋みかんバー
5.8元(約116円)
みかんジュースで有名な北京の代表的ブランド「北氷洋」の氷菓。シャクシャクした濃いみかんが口の中でジュワッと広がる夏らしいアイス。ジャンルとしては氷菓にあたるので、炎天下ではどんどんとけてしまう。急いで食べなきゃ手がベトベトだ。




ひでぶ
通常の顔アイス

5:新青年雪糕/新青年アイス
7元(約140円)
レトロな新聞をモチーフにしたパッケージの、光明の現代版顔アイス。バニラとストロベリーのシャクシャクとした軽いタッチで、季節を問わず手が伸びる商品。顔の崩れ具合はこういうもので、そもそも顔アイスはこういう商品なので、ひでぶ感も醍醐味として味わうのがベストだ。




ファンタスティック
からのホラー感

6:小王子甜甜圈/プリンスリング
13.8元(約276円)
リング状の小ぶりなミントアイス。ホワイトチョコのパリパリ感が嬉しいのだが、ミントの味がとても強くクリニカを直接吸っているような感じ。どうやって棒に刺さっているのか不思議だったのだが、中から細コアラみたいのが出てきて納得。ムンクの叫びにも見えてしまう。




たっぷりマンゴー
果肉やゼリーの食感がたまらない

7:杨枝甘露雪糕/マンゴーポメロサゴアイス
6元(約120円)
今年一番のオススメ。香港発祥のスイーツ「マンゴーポメロサゴ」を再現したアイス。上海の老舗ブランド「光明乳業」と、スイーツ専門チェーン「7分甜」のコラボ商品。ねっとりしたマンゴーアイスの中に、グレープフルーツゼリーやマンゴーの果肉が練り込まれたココナッツミルクアイスが超〜おいしい。見かけたらぜひ試してみてもらいたい。




中も外もまっ赤
共産党感が力強い
こちらは通常の冰砖

8:光明小红砖/光明ミニレッドアイス
8元(約160円)
上海伝統アイスで有名な冰砖のスピンオフ版。オールド上海時代に全盛期だった、レンガ造りの建造物をモチーフにしたレトロ感ある真っ赤なパッケージに目を惹かれる。冰砖同様に、棒は無し、直接袋。中国共産党色が力強いパッケージだが、ストロベリーチーズという乙女な味でとても美味しい。男はギャップに弱いのだ。




激甘パック牛乳
また登場、通常の冰砖

9:冰淇淋风味牛奶/アイスクリーム風牛乳
5.5元(約110円)
飲む冰砖。アイスクリームではなく、バニラアイス味の牛乳。バニラシェイク的な濃厚さは無く、サラッとして甘さが強い。上海っ子がつい手に取ってしまう、光明冰砖を引き継いだパッケージデザイン。常温保存OKで手っ取り早くアイスを一気飲みしたい時に重宝するが、どういう時だそれ。




ちょっとリッチな北海道
クッキーがハリボテだった

10:千层雪 心雪杯/ビエネッタ 北海道チーズミルクアイス
16元(約320円)
中国では北海道のブランド力がとても強い。チーズ・クッキー・ミルクの四層で構成されたリッチなアイス。特に上層のチーズがまったりして美味しい。中間の茶色い層はてっきりスポンジ生地かと思っていたら、砕いたクッキーを容器にのフチ側に置いてるハリボテ状態だった。ぐぬぬ、騙された。でも美味しい。




以上10種の中国アイスはいかがだっただろうか。今年は感染症によるロックダウンの影響もあり、春先からの商品開発にかける時間が確保できなかったためか、幸か不幸か以前に比べると奇抜な商品を目にする機会が減っているように思われた。気になるあいつが去ってホッとする反面、少し寂しい気持ちも隠せない。どこか少女漫画チックだ。

その代わり、ちゃんとした高級路線アイスの品数が増えてきたようだ。SNSユーザー層を意識したウケ狙いの商品から、綺麗に映える商品へと市場がシフトしている。

価格帯は大きく分けて「2元以下のレトロアイス/6〜8元の通常品/15元以上の高級品」の三分野で構成されている。それぞれ味やコンセプトが明確に分かれているので、気になる中国アイスを目にしたら迷わず試していただきたい。イカでも肉でもザリガニでも、奇抜なアイスと目が合っても臆することなく戦ってほしい。まるで少年漫画だ。



北京五輪キャラアイスかと思ったら全然違う


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