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中国の壁には窓の店がある

窓のお店といえばガラス戸やサッシを販売する、いわゆる「窓リフォームに関する工務店」を思い浮かべるかもしれない、だがそうではない。お店が窓だ。意味が分からないと思うので、もっと分かりやすく言うと「お家の窓がお店」なのだ。どうだ、やっぱりよく分からないだろう。

こういうことだ

道路に面した自宅もしくはお店の一室の窓を、そのまま販売窓口として使用する、まさに窓ならではの使い方だ。

窓を開けて開店、ガララと閉じれば閉店、万引きや強盗の心配もなく実に合理的。窓の中の人に欲しい商品を伝え、窓越しに支払いを済ませれば買い物は完了。昔の日本でもよく見かけた街のタバコ屋スタイルだ。

今回はそんな「窓の店」をいくつか紹介しようと思う。先の写真は文房具店だが、業態は実にさまざまで、私も何かお店をやってみたくなる。




窓のクリーニング店

クリーニングの伝票作業と衣服保管室を、そのままお店にしたパターン。接客のため入口へ行き来せずともその場で受付作業ができるので、業務効率が格段にアップする。

踏み台から感じる親切心

窓から中をのぞくと受付台を兼ねたアイロン台が窓際に設置されており、天井にはみっちりと衣服が保管されている。壁側にはミシン台もあり、受け付け・保管・作業が全てこの部屋で行われる。

ここはアパートの一戸であるため、クリーニング設備の設置ができない。そのためクリーニング工程は外部業者に委託しており、上海ではこの「クリーニング受付店」という形式をとっている場合が多い。

中の人と一緒に自分の服を探す

中国のクリーニング技術は日本ほど高くはなく、以前ダウンジャケットのドライクリーニングをお願いした際に、洗い上がりがガソリン臭かったことがあった。いくら寒いからと言っても火だるまにはなりたくない。歩く火気厳禁だ。




窓の駄菓子屋

駄菓子やおもちゃを中心とした子供向けの窓の店だが、それ以外にも酒やつまみなど大人向け商品も取り扱っている。

よくここで冷えた瓶ビールを買って帰っていた。サントリー純生ビールが1本5元、空き瓶と王冠を返却すると0.3元戻ってくる。日本でも空き瓶を返却すると、びん補償金5円がリターンされる。試しに紹興酒の瓶も返却してみたが「それは要らない」と言われてしまった。

商品で埋め尽くされた窓

窓の左側の隙間からお爺さんに欲しいものを伝えればOK。アイスクリームや冷えたビールは、奥の自宅冷蔵庫から持って来てくれる。




窓の工務店

冒頭の「窓リフォームに関する工務店」ではなく、ネジなど工務資材の販売と、家庭内の細かな修理を行ってくれるお店だ。トイレの取り付けや排水の詰まり、電気関連のトラブルなどほとんど対応してくれる。

装飾がヨーロピアン

飲食品や生活雑貨も取り扱っており、雑貨店も兼ねている。すぐ近くに日本人向け飲食店が集まっており、私はよくここで水を買ってから帰宅している。




窓の宝くじ

日本でも宝くじは窓口販売が一般的だが、こちらは窓が窓口だ。中国ではスクラッチくじとナンバーズが人気で、この窓の中からいろんな種類の宝くじを購入することができる。

裏カジノ感
100元で20枚セットのスクラッチくじ

スクラッチくじは50%リターンされるシステムなのか、セットで買えばいつも半額は戻ってくる。当たりくじを持って窓に行き、その当選金でまた買っちゃうのだから上手いことできている。

半額ほど戻ってくる




これら窓の店は住居を兼ねた店舗の場合がほとんどなので、当然だがちゃんとした玄関が存在する。でもせっかく道路に面している窓だから、わざわざ玄関まで回らずに、ここから直接出入りすれば楽なのではないだろうか。

もちろんやる


どれも比較的古いアパートの1階を利用しているため、趣のある路地に足を踏み入れると、壁にずらっと窓の店が連なっていることもある。花屋・携帯ショップ・下着専門店など業態は無限大。

いつか中国旅行に来た際には、散歩コースに「窓の店探し」を組み込んで「窓の買い物」を楽しんでみても良い思い出になるかもしれない。


大小便するな

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