フォローしませんか?
シェア
朱珠/Suzu Inamoto
2021年2月25日 02:24
脚は、階段の高さを憶えていた。扉の重さは、今日初めて知った。待ち合わせの場所。ここで、何度も見た彼の後ろ姿をなぞる。傾けた首の角度まで鮮明に。胸がきりりと痛んで、まだ好きだということを認める。湧き上がってきそうなそれをぐっと押し込んで、ずんずんと歩みを進めた。感傷的になっている時間はない。美容院の予約時間が迫っている。今から、人生で初めて”ショートカット”にする