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#49 ご機嫌はもらえる。だから、ご機嫌は贈れる。

「自分で自分の機嫌を取れてこそ大人だ」
この言葉にずっと悩んできた。

小さい頃から、ご機嫌斜めになりがち(写真は、真顔かふてくされている…笑)で、すぐ顔に出てしまう。大人になってからは、そんな自分が出てこないように押さえつけてきたけれど、いつか失敗してしまうという恐怖があった。

当たり前のことを当たり前にできる「ふつうの人」でいるために、ものすごいエネルギーを使ってきたとおもう。

どうすれば、「ご機嫌発生器」みたいなものを手に入れられるのだろう。みんな、どうやっているのだろう。

キラキラといつも笑顔で、生き生きと伸びやかに生きている(ように見えてた)人が心底うらやましかった。


波風立てずに生きたいのに、うまくいかない。

落ちこむ、傷つく、意味を見失う。その振れ幅が大きすぎて、身体が耐えきれないこともあった。

でも、心から感動することや仲間だと言える人たちとも出会う

次は、どっちが”ほんとう”の私なのか悩んだ。

昨年書いた「#8月31日の夜に」noteには、その様があらわれている。

何とか読み物として描こうとしているけれど、揺れまくっている。掴めそうだけど、掴めない。そんな時期だった。



***


あれから一年。
この夏、分かったことがある。

ご機嫌はもらえるということ。
もらっていいということ。

「誰かに、ご機嫌にしてもらってもいい」のだ。

もらったご機嫌は、素直にありがたく受けとって、その人のご機嫌を大切にしたらいいのかもしれない、とおもった。


今まで、人を信じていないって言われてきたり、自分でもそう思いこんできたりした。

どうしたら、信じられるのだろう。頼れるのだろう。その答えが、突如目の前に現れたようだった。


大切な人に、ご機嫌でいてほしい。

それだけに集中していたら、不思議と自分もご機嫌だった。

「一緒に、ご機嫌でいよう」でいいんだなあ。

私のエネルギー源はいつも「誰かを想うこと」だったし、それはそのままでもいいんだなあと気づいた。ふうっと力が抜けていった。


もちろん、今もしこりとして残っていることはある。思い出したら、ぎゅうっとなることも。でも、それはそれでいい気がしている。残っているねと、認めてあげていれば。


ご機嫌はもらえる。

だから、贈ることができる。

ご機嫌は、もしかしたら交換していくものなのかもしれない。


原点回帰の出版社「ミシマ社」の創業者である三島邦弘さんの『計画と無計画のあいだ』。

とても好きな本で、何かをはじめるときに読みたくなる。こんな一節がある。

「ものづくりの原点はあくまでも、『喜び』を交換することにある」

勝手ながら言い換えさせてもらえば、

「関係性の原点は、『ご機嫌』を交換することにある」

だろうか。


私なりのご機嫌の交換は、「言葉を贈りあうこと」だった。

言葉を拾うこと。
受けとめること。
受けいれてみること。
そして、想いを伝えてみること。

その繰り返しをしていた、2020年夏。


ご機嫌さんで生きる。誰かと一緒に。

ずっと出来ない、難しいと悩んできたことも、こうしてすこしずつできるようになっていく。それでいいんだなあとおもった。


最後に、大事にしている言葉を載せて終わります。
高野悦子さんの『二十歳の原点』より。

 未熟であること。
 人間は完全なる存在ではないのだ。不完全さをいつも背負っている。人間の存在価値は完全であることにあるのではなく、不完全でありその不完全さを克服しようとするところにあるのだ。人間は未熟なのである。ここの人間のもつ不完全さはいろいろあるにしても、人間がその不完全さを克服しようとする時点では、それぞれの人間は同じ価値をもつ。そこには生命の発露があるのだ。
 人間は誰でも、独りで生きなければならないと同時に、みんなと生きなければならない。私は「みんなと生きる」ということが良くわからない。
 「独りであること」、「未熟であること」、これが私の二十歳の原点である。

28歳になっても、ここが私の原点で、ずっと「みんなと生きる」を考え続けるのだとおもう。


このnoteを書こうとおもったのは、「言葉の企画」のみんなとのやりとりがきっかけだったから、#言葉の企画 タグをつけています。講義の内容と関係はないのだけれど、感謝が届いたらうれしいなあという想いをこめて。ありがとう。

遠くにいても、いつもそばにいてくれるみなさん、読んでくれたあなたも、ありがとう。

今夜は、蝉じゃなくて鈴虫が鳴いている。
ああ、2020年の夏が終わるなあ。

photo by 写ルンです│
わたしのご機嫌のイメージ。キリン一番搾り、クラシックラガーの次に、香るエールが好きです。あ、ハートランドもいいな。水曜日のネコも。ヒューガルデン・ホワイトも捨てがたい。つまり、ビールが大好きです。

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