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down the river〜あとがき〜

本編を最後までお読みいただき誠にありがとうございます。
尚、ネタバレ等がありますので本編を全てお読みいただいてからこの先をお読みいただく事をおすすめ致します。

インスタグラムの方で何度か触れていますが本作は事実を元に制作されています。
信じられないかもしれませんが、この様な事が実際にこの日本で起こっていたのです。
私もこの主人公とその周囲の人間達が作り上げた激しい渦の中にいて、その渦が織り成す地獄の中で起きた奇跡を体感してきた訳です。
この年齢になり、そしてこの作品を書き終えてしみじみと思います。

私は極普通の人生を歩ませてもらっていると。

さて、この主人公は「普通」というものを渇望しました。
私個人の考えですが、「性」や「性的嗜好」に関して「普通」というものは存在しないと思います。
生物の起源からどれほど経過したかはわかりませんが、貝の模様に同じものが存在しないのと同じで人間も同じ人間というものは存在しません。
あなたという個体は数千年前にいましたか?
私という個体は1世紀前に存在していたでしょうか?
同じ生命体を存在させない為には性的嗜好を千差万別にしておかなくてはなりません。
ですから、同じ生命体が存在しない≒同じ性的嗜好は存在しないと言っていいのではないでしょうか。
だから「多数派」はあるかもしれませんが「普通」という言い方は存在しないというのが私の考え方です。

面倒くさそうな奴に見られそうですね(笑)
実際はそんな事ないんですよ?
腹の底の底にそんな考えがあるだけで普段はそんな面倒くさい奴じゃありません。

話を戻しますが、ただただ普通を求めていた主人公は皆様の目にどの様に写りましたか?
周囲に翻弄されっぱなしの哀れな男?
自分の欲をひたすら貫き通したクズ?
裏切りと破壊を繰り返す邪神?
近くで見ていた私の目には「純粋」という風に写っていました。

純粋に普通を求めた。
純粋に性欲に溺れた。
純粋に承認欲求を満たそうとした。
純粋にやりたい事やった。
純粋に金銭を求めた。
純粋に全てに決着を付けたかった。

彼はひたすらに純粋だった。

「そんなものどうでもいいじゃん」と思う事すら彼は純粋に追究する。
そんな人間であった様に私は感じます。

ただ本音を言わせてもらうと私は彼より歳が上です。
仮に私が彼と同い年、彼より歳下という事であれば友人にはなりたくないな(笑)
歳上、音楽キャリアも私が上、仮に彼と殴り合いになっても恐らく私の圧勝でしょう(笑)。
そんな環境であるからこそ成り立っている様な危うい友人関係なんです(笑)。

小さい奴に見られそうですね(笑)。
実際はそんな事ないんですよ?
彼とは今でも深い交流がなされ良き友人だと私は思ってますし…大きいのは図体だけじゃぁありません。…と思う。

もちろん純粋という言葉を盾に全てがまかり通る程この世界は優しいものではありません。
純粋であるが故に彼は様々なものを失った。
もう少し上手く生きていれば…そう思う部分がたくさんあった。

純粋という言葉も難しいですね。
純粋に嫌な奴。
純粋過ぎて空気読めない奴。
純粋に悪人(笑)。
皆様の廻りにもいませんか?
社交辞令だということがわからない、気が付かないフリをしているのにそれを馬鹿と揶揄して見下す、面倒くさいから何も言い返さないのに「私にこいつは何も言えない」と勘違いする、周囲の優しさに甘えてる癖に「私は一人で生きてきた」と豪語する馬鹿等々(笑)。

あれれ?主人公そのものじゃないですか(笑)。

↑織部.Black swordという人間がものすごく嫌な奴と見られそうですね(笑)。
実際はそんな事ないんですよ?
これでも普通の会社員です。
上手く立ち回れている…はずです。

さて、そんな純粋な主人公ですが彼の行動や心情はある程度理解できます。
大概の事は、よくよく考えれば「うぅん、まぁ…な…」程度の理解はできる。
彼の行動で一番私が理解出来なかった事。
それは「神美沙を壊した事」ですね。
神美沙は冷静になればきちんと話が出来る頭の良い人間でした。
そして主人公も彼女が如何に優れた人間かは理解しているはずです。
弱みや握った秘密を武器に相手を崩壊させる必要はあったのでしょうか。
しっかりとあの時、話し合いが行なわれていれば何の問題も無かった様に思う。
和解までいかなくてもお互いが理解しあえれば2人とも普通の未来が待っていたのではないだろうか。
次に頭を捻ったのは「松川との一件」ですかね。
私が彼の親であれば、松川に仕えると決心した時点で5番アイアンでタコ殴りにした後チェーンソーでこま切れにしますね。
本当にこの行動は理解できない。
わかりませんけどね。
私が彼と同様の性的嗜好を持っていて同じ環境で育ったというのであれば私もどう判断するかわかりません。
ただ第三者の視点から見たら、神美沙の一件よりも理解できない。
先に述べた様に、やっぱり「純粋」なのだろう。

無邪気に虫の手足をむしる幼子、それもまた純粋と呼ぶ。

それを咎める人間の存在が主人公の周囲に一人でもいれば…

そう思うとこの物語は本当にやるせない。

主人公は2021年現在でも様々なものと戦っています。
そして罪を償っています。
まだ道は続いています。

真の安らぎは「死」
生きている間の安らぎは「偽」
生きるということは「戦」そして「罪」
悲しみと苦しみこそ「贖」

ならばせめて手を取り合い
傷を舐め合い
終着点を目指したい

狭い狭い川を下り
輝く海へ


※あとがきまで読んでくださりありがとうございました。
余談ですが、その後が描かれていない登場人物がその後どうなったか、今何してるだとかが気になった方はコメント欄等へお気軽にどうぞ。
出来るだけ面白おかしく返信します(笑)。

それでは次回作
「風雷の門と氷炎の扉」
をお楽しみに。

更新スケジュールは調整中ですが9月10日を予定しております。

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