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2020年まで生きてるとは思わなかった。

2020年、ご挨拶に代えて。

さて、あけましておめでとうございます。

という時期もとっくに過ぎて、

あけましておめでとうございました。

って感じの今日この頃になってしまいました。
どうも横浜優勝、鈴木素肌です。

今年は2020年。
世間的にも色々な意味で節目の年でありますよね。
世間がそうであるなら、やっぱりこの私も「節目の年だな」と感じている1人でありまして。
「2020年」という年に特別な感覚抱いています。

今回は遅い新年のご挨拶代わりに、随筆なんぞを書いてみる事にします。

さて、2020年という年を特別視するようになったのは、
今を遡る事7年前の出来事。
私は羽田空港で北海道行きの飛行機を待っていました。
当時、私は大学生。
といっても、私は親の稼業とバイトとバイトを掛け持ちして、そのついでに大学に行っていたような生活だったので、あんまり真面目な学生ではなかったのです。
ただ、ゼミだけは楽しかったので、
どうにか研修の日程の時間を合わせました。
しかし、前日夜まで仕事をしていたせいで、荷造りも当日の朝になり、
かなり適当に荷造りをして慌てて家を飛び出した事を覚えています。
なんとか遅刻せずに到着し、ゼミの仲間達と合流し、一息ついて談笑していると、
妙に皆が厚着をしている事に気付きます。
そして理解しました。

これは、皆が厚着しているのではない。
自分が異様に薄着なだけだ。

季節は夏がちょっと過ぎた頃。
関東ではTシャツに短パンでも平気でしょうが、北海道ではそうはいかないかもしれない。
皆は向こうの気温をキチンと下調べして服装を選んでいるようです。
まぁ普通、大人ってそういうもんだと思うし、
そういうことが出来る人を個人的には「大人だなあ」と感じるのですが、
そう感じるということは自分は全然、この点に関しては未だに大人ではないです。

話を元に戻して、

こりゃあ、まいったな。
と、自分の着の身着のままな状態が急に恥づかしくなった私は、
一丁、この場でジャケットの一つ購入してきてネタにしてやろうと思い立ちました。
学生ノリと言うやつですね。
いやはや寒い。

早速、携帯電話で空港内の服屋を調べ、仲間をけしかけて財布を手に出発しようとしたときにまた気付きたくもない事に気付きます。

そう、財布に金がない。

どの角度から見ても財布の中には千円札が2枚と安楽亭の割引券が3000円分しか入っていません。
ただし、そこはバイト戦士。
単に準備不足だっただけで全くの無一文という訳ではございません。
幸い、飛行機の出発まで時間の余裕はあったので、仲間達から離れてATMへと向かいます。

ちょっと品のない話になりますが、
当時の私の月収は、奨学金を除いても30〜40万円ほどありました。
バイトと短期バイトをいくつも掛け持ちしていたりしたからです。
(大学なんざ行ってる暇がないね。)
カレンダーを確認すると、偶然にも給料日を少し過ぎたくらいだったので、
「ゼミの研修とはいえ、久々の旅行なのだからジャケットだけと言わずちょっと贅沢しちゃおうかな。」
などと考えながら、ATMで自分の口座を確認しました。
口座を確認して、

「あ」

と、絶句した事を今でも思い出します。
というのも、
何度見返しても口座には三桁程の小銭の額しか表示されていないのです。
秒速で様々な考えが交差しました。
そしてやはり秒速で色々な答えが浮かび上がります。
当時、私の奨学金とバイトの銀行口座は、両親も自由に利用できるようにしていました。
(カードや通帳も保管場所を教えていた。)
はっきり言ってしまうと、
両親が営む会社は2011年の震災以降、二進も三進も行かなくなっていて、
今までも何度か入用の際に、私の口座から一時貸し出すという事をしていたのです。
頭の中では、
「そういや、アルバイトに給料払えないとか言ってたな。」
とか、
「車のローンもきついとか言ってたな。」
とか、次々に回答が見つかります。
勿論、このままお金を取られた訳ではなく、
後日、口座にはしっかりと元あった額が戻されてはいたのですが、
余りにもタイミングが悪過ぎました。

私はこれから北海道に行くのに。
いまから行くのに。

銀行の口座を眺めていても何も変わりません。
かといって財布の中を見返しても、千円札が2枚と安楽亭の割引券が3枚しか入っていないのです。
繰り返しますが、あと三十分もすれば北海道へ行かなければならないのです。

ただ、もうどうすれば良いか分からず、情けなくて恥づかしくて、
うつ向きながら仲間のもとへ戻りました。

仲間達の元へ近づくと、遠目で見ても皆がはしゃいでいるのが分かります。

まぁ、そりゃあはしゃぐよな、と。

これから北海道だもんな、と。

ふらつきながらさらに近寄ると、
皆が一方向を見てはしゃいでいる事に気づきました。
皆が見ていたのは、空港のロビーに据え付けてあった大型TV。
その大画面に大きく、

「2020年、東京オリンピック決定」

と、映し出されていました。

ゼミの仲間や周りの人々は「2020年、どんな立場、場所でオリンピックを見ることになるんだろうね。」
なんて事を口々に言っていました。
私のジャケットの話しなんて、もうどっかにいってます。

ああだろうか、
こうだろうか、

和気藹々と話すゼミの仲間たちは、凄くキラキラして見えました。

それに比べて自分ときたら。
ジャケット一つ買えず、
あるのは焼肉屋の割引券だけ。

猛烈な眩暈を我慢しながら、雰囲気を壊さないように作り笑顔で仲間内に戻り、
決して話題には加わらないようにしながら大人しくしてやり過ごそうとしましたが、
やはり、そうは行きませんでした。

「鈴木くんは2020年はどうしてると思う?」

今で言う清楚系ビッチみたいな服装したゼミの同期が私に聞きます。

「えぇ?」

何と答えたか、
その時どんな顔をしていたのか、
自分ではもう分からなくなってしまいました。

2020年、どうしてると思う?

その問いに対して、いの一番に考えついたのは、

首を吊っている自分の姿。

でした。

二番目に思いついたのは路上生活してる自分です。

だってしょうがないじゃんね。
財布の中に二千円しか入ってないし、残高は682円しかないんだもん。
これから北海道いくのに。

飛行機の中で耐えられず、一筋だけ涙がでましたが、仲間には「気圧のせいだ。」と誤魔化しました。

さて、翻って現在。
2020年を迎えてみた訳ですが、
残念ながら(?)7年前の予想は外れて、今のところは首を吊ってはいません。
あと、一応は屋根がある家に住んでいます。
まぁ、つまり「生き延びる事はできた。」と言ったところでしょうか。
しかし、生き延びた以外の状況はだいぶ変わってしまいました。
少々、悲しい事もあったかもしれません。

あの空港での談笑から、各々が各々なりにこれまでの時間を過ごして来たことになりますが、
私含め、自らの思い描いた未来へと辿り着けた人はいるのでしょうか。

どうか、居て欲しいな。と、
明るい充実した2020年を迎えていて欲しいものだな、
と。

素直に思うのが、いま現在の心境であります。

私自身は、2020年の自分のイメージとだいぶ想像とかけ離れてしまった為か、(だって生きちゃってるし)
特別視していた割には、この2020年をどう迎えて良いのか、正直よくわからないままこの文章を書いています。
ふわふわしてます。
めっちゃ。
もう2020年になって1ヶ月経つのに何を言っているのかと自分自身思うのですが、実際そうなのだから仕方ない。
ただ、
ふわふわはしながらも、「2020年」という年をどこか特別に感じているのは事実です。

それは2020年を生きて迎えられている喜びなのか、あるいはその逆か。
書いているうちに分かるかなと思いましたが、やっぱり最後まで分かりませんでした。

未来を迎えていても、未来って分からないのかもしれないですね。

とりあえず言えることは、いま現在は首は吊っていないという事と(この後は分からないけど)7年前の空港の時よりは幾らか生活が安定しているという事です。

あれ以上の絶望や惨めさは無いだろうと、
あの時は思っていましたが、生きていれば「それ以上」の事もありました。
だけど、首を吊ってはいないのです。不思議なものですね。
もしかしたら、あの時の感情がここまで生き延びて来れた原動力なのかもしれません。
そうだとしたら、随分と人間って根本から潔く無い惨めな生き物だなと痛感するのですが、
まぁ、実際のところはやっぱりよく分かりません。

ただ、一つ言えるのは、
私は未だに生きている。
という事だけです。

私が2020年を特別だと思うのは、
7年前イメージしていた「首を吊っている自分」が現実にならなかったからなのかもしれません。

予想が外れて良かったって事になるんですかね。
でも困った事に、2020年にはそういう事になると思っていたものなので、
この後のビジョンが全く描けていないのですよ。
それこそ、良い大人なのに。

ここからは本当に手探りになってしまいます。
決して絶望が希望に変わった訳では無いし、まだまだ余裕がある生活ではありません。
その状態からの手探りです。
だって生きてるとは思わなかったし。

まぁ、でも。
この2020年の特別感というものが、何となく心の中にあるうちは、どうにかなるような気がしています。

せっかく生きているのだから、東京オリンピックを見るのも悪く無いかもしれないし。

ぼろぼろだけど、
ここまで来たのだから、もう少し先へ行けるような気もしてしまう。

手探り状態なので不確かな事しか言えませんが、
現状、2020年という年に対して特別にそういった感覚を抱いています。

とりあえず、生きてみるかと。

そんな感じで新年のご挨拶でございました。
今更ではありますが、皆様どうぞ今年もよろしくお願いします。

うん、最後までふわふわしとるな。

横浜優勝。(バイバイ。)

追伸、
俺が今年中に首吊ったらやっぱり予想は当たってたって事になるのかね。笑

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