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ロマンチック・ネガティビスト〜鈴木素肌詩集〜

【前書き】
読めば明日が暗くなる。笑

そんな鈴木素肌の詩集、「ロマンチック・ネガティビスト」をお手に取っていただき誠にありがとうございます。
この詩集は、2019年にTwitterで発表した詩を独断と偏見で30作品集め、まとめたものです。
のっけから何ですが暗いです。すごく。
あまり前向きな雰囲気の作品集ではありませんが、どうにかこうにか考えて作ったものではあります。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
後書き等も追加して行く予定ですので、ちょいちょい覗いていただけたらと、
フォローもよろしくお願いしますね。
感想コメントもくれたら嬉しいな。笑

それでは、本編をどうぞ。

2019年12月30日、鈴木素肌

詩集「ロマンチック・ネガティビスト」


「私たちは許されている」

地獄みたいな人生を、
毎日どうにか過ごしていけるのは、
最後の最後にだけ越えて良い一線を、
いつの日か越える事を許容されているからだ。

そういう勘違いをしたまま、今日も線の縁を歩いている。


「鼻唄」

何もかも失っちまって手放した。
壊したかったのか、逃げたかったのか。
とにかく今はもう何もない。

がらんどうの人生に鼻唄だけがよく響く。


「走りながら枯れていく」

見失ったもの一つ取り返せやしないのに、

足掻いて、足掻いて、
かつて目にした何かに似たモノを追ってしまう。

これも一つの枯れ方でしょうか。


「結局は何も」

「あれ」が邪魔をしてるだけ、
「これ」が無ければ上手くいく。

あれもこれもを退かしてみても、
一番駄目な私が消えない。


「等身大の悪魔」

どこからも、誰からも好かれるような面構えを整えて、
誰よりも何者にも見えるよう繕ってみせる。

意地でも敵は作らずに、
かといって腹を見せる仲間もいない。

そして今日も何事もなかったように生きようとする。

貴方は等身大の悪魔。


「真相はフラッシュの中に」

洒落にならない程の自己嫌悪の夜。
吸い寄せられるように外へ出て、
缶コーヒー片手に煙草を一服。

誰も何も来ない車道に飛び出して、
この煙草が終わるうち
コーヒーを飲み切る頃に、

全ての不安が消えてくれやしないかと、
少し目を瞑った。


「そうして、いしころになるのさ」

誰にも刺さらないんじゃなくて、
刺さらないようにしてしまったんだ。

丸く磨いてしまった。
尖った若さを。


「穴ぼこ」

穴ぼこだらけの感性一つを携えて、
まさに「抜けた人」として生きて行く。

底の抜けた悲しみさえも受け取れず、
ただ流れて行く感情を横目で見て生きていく。

無理をして、

無理をして、
大人になっていく。


「消息不明」

行方知れずになりたくて。

でも、何もかもが上手く行く人達がそれを止めます。

もう許してもらっても良いですかね。


「死は平等に」

拭えぬ目眩のような毎日でも、
例外なく生きようとする。
そんな誰しもが美しい。


「選択肢」

どうやったって間違うんだから、
生きていく事を選ぶしかない。

生きていく事しか選べない。

出来やしないのに。


「今はまだ選ばないだけ」

私たちはいつだってギリギリで、
誰しもが限界で、

でも、どうにかこうにか、
最期の選択はせずに、
何とか生きちまっている。


「煽り酒、依存。」

この心の寂しいを無くせる薬があるなら今すぐ下さい。

ないでしょう。

あり得ないでしょう。

だから似て非なるモノで我慢します。

確実に死に近づくけども、
これがなければ今を生きられない。


「人生の主役」

毎日キチンと生きなきゃいけないなんてこんな理不尽なことあるかよ。


「生が芽吹く」

抗う事が人間ならば、
生きようとさせる世の中に抗う今はもっとも人間染みた瞬間だ。


「本雷」

「ほんとうはこうしたかった」
「あなたとしたかった」
「きみならよかった」
「こうすべきだった」

だけれども現実は、
稲妻みたいにどこへ落っこちるか分かりません。


「ヤスリのような日常」

既に自分だけが楽しくない世界で、
それでも人生にすがりついてる。

ここではない何かに渇望を見出すことにさえ疑問を抱きながらも、

鑢のような毎日を過ごしていく。

一番ラクな、生き方。


「割れた鐘の音」

ぶっ壊れそうな人生の中で、
いつか終われる事を意識しながらも、

まだ、何か生きようと
まだ、何か探そうと、

ぎりぎりの中で「何か」を始めようとしている。


「月光は貴方の眼差しに似ている。」

恨んでいるでしょうね。
あなたの夢を壊したのは私だから。
夜道を歩くと思い出す。
月光のようなあなたの眼差しを。

月明かりは今日も私を責めます。


「兎波」

波兎が揺れている。

湘南の海の前
貴方は夢を語り、
私は現実を悟る。

波兎は揺れている。
私達はきっともう交わる事は無いと、
波兎は知っている。

波兎は揺れている。
波兎だけが揺れている。


「採点」

100点はいりません。
70点でいい。
60点でも、
50点でも、
30点でも、
10点でも、

1点でもいいんです。
誰か認めてください。


「南瓜」

言うなれば、
割れた南瓜みたいな生傷を
剥き出しにして生きて行く。

腐れども、
朽ちるとも、
素肌のままに生きて行く。

今この瞬間の痛みだけが、
生きていくことの痕跡だ。


「共生」

思えばもう何年も、
「不安」という言葉と共に暮らしてる。

消えない拭えない薄まらない無くならない。

最早、指先を動かし続けるしか、
方法が分からないのです。

理解できたのは、それだけ。


「慣れ」

世の中は悲劇慣れしてるから、
貴方の悲劇は内に向けてこそ輝く。


「独り言」

なにもかも落ち剥がれていく生き道の中で、

救われるのであれば喜んで壊れますのに。

と、呟く。


「まだまだ、まだ。」

どうせ上がり目のない生き方なのだから
もう全てを諦めてしまえば良いと気付いているのに、

なぜ卑しく惨めに生きながらえようとしがみついているのですか貴方は、

私も。


「常識」

断片的なクレイジズムを携えながら、
今日もなんとか生きていく。

みんながみんなそうだから、
社会はどんどん薄まっていってしまうんだろうな。


「人並」

私だって人並みに生きたいのに「人並みに生きたがっている人」と言われてしまえばそれで終わってしまう。

例外なく世の中は冷たい。


「前向き」

辛いことや悲しい事を糧に生きて良いなら、

とにかく貴方が嫌いだという事だけを肯定して生きていくよ。


「さよなら、英雄」

貴方の声が聞こえなくなるのは、
私の心が枯れていくからで、
決して貴方が嘘だった訳ではないの。

さよなら、英雄。

いつかまた私を救ってください。


「無感情な夜に流されて行くけれど。」

ドット絵みたいな夜の中、
無限地獄で踠いてる。
瞬く夜は眩しくて、目眩の中に生きている。

でも、流れのままにはさせまいと、
生きてる中で踠いてる。

濁流の中を生きている。

私だって、
救われたいと生きている。

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