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進路の話・油絵科をやめて日本画科にした話


これは確か、高2の夏期講習で描いた油画科対策の木炭デッサン。
モチーフはなく、テーマを与えられて自分で想定して描く課題でした。

テーマは「エゴイズム」。
多分言葉の意味をよく分かってなくてズレてるところが、嫌いじゃないです笑



地元に一つだけあった小さな美術予備校。


とても小さいところで人数も大手予備校と比べるとかなり少ないですが、ちゃんと予備校で、そこから藝大に入る人も数年に一人ほどいました。

藝大以外なら私大など毎年色々なところに合格する人が何人もいました。
学科も教えてもらっていました。



少人数の予備校ならではのアットホームな雰囲気がありつつも、先生の指導は結構厳しめ!

この地元の予備校での思い出が、また濃すぎる!!
独特で、あまりにも濃すぎる!!

語り尽くせぬそこでの思い出は別でいつか書きたいと思います。



高校を辞めて高校2年の歳の春から夜間週3で通い始めて、最初は油画科を目指していました。



ちなみにこの時、日本画科の存在は完全に忘れていました。
途中で日本画科の存在を思い出したんですが、日本画なんて全く興味がなかったんです。


「日本画って言ったら、浮世絵?とか屏風とか掛け軸とかでしょ……?全く興味ないわ〜」


と思っていました笑


絵といったら油画科しか頭になく、予備校の人たちも大半が油画科を目指している人たちでした。

これは油画科を目指していたときに描いたもの

静物油彩
人生で初めて描いた石膏デッサン(木炭)先生の加筆も多分入ってる




でも油絵具を使っていくなかで、どうも油絵は自分に合っていないと感じるようになりました。

油絵の絵具の表情が、別に好きでもなかったのです。
油絵を描いていて楽しい、とは思えませんでした。


なんといっても、困ったのが「ドローイング」でした。

油画科の受験では、木炭デッサンと油絵に加えて、ドローイングも出さなくてはなりません。

予備校の油画科を目指している先輩達が、謎めいていて何を描いてるのかよく分からないけどカッコいいドローイングを描きまくるなか、自分はどうしても「かわいいイラスト」になってしまっていました。


先生からは「かわいいねぇ」とか「趣味っぽい」と言われてばかりでした。

とにかくこの、ドローイングというものが全く理解できなかったんですね。


綺麗、かわいい、上手い、以外の絵が当時は全く理解できませんでした。

今では「なんかよく分からない謎めいた絵」、詩的な広がりがあってとても好きです。
私はそういうのを描けないんですが。


(ちなみに最近は、この時は全く理解できなかったドローイングもたまに水彩絵具を使ってやるようになりました。)



それに、油画科の受験絵画では、ユニークな視点や発想が求められます。


「普通に綺麗な絵」を描くと先生にボロボロに言われてしまうんですね。




そして思いました。思ったというか、怒りが込み上げてきたのです。笑


「美しいと思ったものを、どうしてそのまま描いてはいけないんだろう?」



油絵科は、やめました。



さて。どうしようかなぁ……

先端もいいけどなぁ……うーん……


あっ。日本画あるじゃん。


日本画だったら、綺麗だと思ったものをそのまま描いていいじゃん。

といった感じで、今まで存在を忘れていた日本画科に興味が湧き、日本画のことを色々調べ始めました。


ふと、中学生の時に美術室で読んだ、「美術の窓」という雑誌で見た絵を思い出しました。

作家さんの作品の制作過程などが解説されている面白い雑誌です。

そのなかでも
2012年6月号、阿部千鶴さんと蓬田阿哉さんという作家さんの、ファンタジックで絵本のような、優しい色合いの絵の制作プロセスがとても印象に残っていたのです。

その頃は何も知らず、ただ素敵な作品だなぁと思っていたのですが、そういえば制作過程の解説の写真に、白いお皿に入った絵具や、小さな袋に入った粉状の絵具が写っていた……
解説文にも何やら難しい漢字の色の名前が書いてあった……



あれ日本画だったのか!!!


今思い返せば、これが始まりでした。

日本画と言ったら、昔の屏風や絵巻物のイメージしか無かったのですが、この時初めて「現代日本画」を知り、日本画でファンタジックで絵本のような、温かみのある絵が描けることを知りました。

「日本画」のイメージがひっくり返りました。

うん、日本画にしよう。



油絵科の先生にはなぜか色々反対されましたが


「とりあえずやってみたいです、やってみてから考えます(もう決めてるけど)」


と言って日本画科に転科しました。
高2の年の秋でした。


元々水彩絵具が好きで、日本画の受験では水彩絵具を使うので、その辺りも描いていて心地よかったです。



そして美大は全国にありますが、なぜ藝大なのかというところです。

一つは、これはあるあるだと思いますが、予備校の雰囲気や先生、周りの受験生に影響されてか、自然とみんな藝大を目指すようになる……というところです。


二つ目は、とにかく東京に行きたかった。
東京以外にも美大はありますが、全く考えませんでした。とにかく田舎から出たかった。


三つ目は、国立だから。学費の面はやはり大きいと思いました。

四つ目は、私の性格として「どうせやるなら、一番上を目指したい」と思ったからです。
行けるところまで行って自分を試したい、挑戦したい。

……そうじゃないと、なんか納得できない。
と思ったからです。


そうして藝大の日本画専攻を目指すことになったのでした。


しかし、地元の小さな予備校から藝大の日本画を目指すにあたって、様々な困難に直面することになりました……という話はまた次回に。


次回は地方からの藝大受験で直面したことと初めての東京留学について書いてみようかと思います。



つづく。

(いやまだ続くんかい!)



今回も凄い個人的な思い出話にもかかわらず記事を読んでくださり、本当にありがとうございました!

それではまた。



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