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物語1話目📕ドライフラワーの対価

この物語は3話完結となります。
文章があまり上手くないかもしれませんが
ゆるりと読んでいただければと思います。

では、どうぞ↓


ドライフラワーと花🌸




ぼくはドライフラワーを作っている。

ドライフラワーは枯れているわけではないらしい。
生きた花をわざわざ枯らすと考えたのは誰なのか、
生きていた花はどう思っているのだろうか。



ぼくの店にはドライフラワーを置いてはいない。
置いてあるのは生きた花だけ、
だけど、お客様が来た時にそれはドライフラワーとなる。


カランカラン

「いらっしゃいませ。」
お客様がいらしたみたいだ。


「すみません、ひまわりのドライフラワーをくださいな。」
若い女性が店内に入ってきた。


「かしこまりました。では、
どうしてひまわりなのか理由をお聞かせください。それからのお渡しになります。」


僕の店には決まり事がある、お客様に花が欲しい理由を聞いてから、
僕がその花が相応しいかどうか判断をして、花を差し上げることにしている。


「私はよく"元気がない"、"もっと笑顔"と注意されて、自分では頑張っているんですが、もう自分に自信がなくなってしまい……耐えきれなくて、
もし、毎日ひまわりを見ることができたら、
もっと頑張れることができるのではないかと思って…」


女性はとても疲れている様子で、メイクでなんとか誤魔化しているようだ。
きっとファッション系のお店に勤めているのだろう。
服や身だしなみがきちんとしている。
もしかしたら、気の弱い所を上司のストレスの捌け口にされてしまっているのかもしれない。


「……そうですか。
ひまわりから元気をもらうために。

それはいい理由ですね。ひまわりの花言葉には"情熱"という意味もあるので何かを頑張ろうとしているあなたを応援してくれるかもしれません。」


「では、売ってくださるんですか……?」
と女性が恐る恐る聞いてきた。
きっとこの店について調べた上で来たのだろう。
色々な噂が出回ってるから。


「もちろんです。
それでは、ひまわりのドライフラワーを差し上げます。
お金はいりません。
ですが、人それぞれ相応の対価がございますのでご了承くださいませ。」
僕はそれだけ言って、女性にひまわりのドライフラワーを手渡した。

そして、女性の方は大事そうにひまわりのドライフラワーを抱えて帰っていった。

僕は彼女を見送りながら、

「……生きた花の対価なのだから、その仕事への"情熱"がなくなってもあのヒトはきっと大丈夫だろう。」
と呟いた。


生きた花がドライフラワーになる対価は
その人の"大事にしているもの"
それが"花の命"をもらうということなのですからね。


……今日のお店はこれで閉店かな。
何かお悩みを抱えているお客様がいらっしゃいましたら毎日お待ちしております。
気軽にお立ち寄りください。何か対価をお持ちして。



1日おきに投稿しようと思います。
それでは失礼いたします

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