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結婚ってなんだ?【異類婚姻譚】本谷有希子

 
「いや俺は自分の顔が妻の顔と似ていると思ったことはないな。」

と、のっけから同意できなかったが、共感できるところも多かった。

 

サンちゃんは、本当はぜんぶ分かってるんじゃないの。どうして自分が俺と結婚したのか。どうして俺が、サンちゃんと結婚したのか。

異類婚姻譚

なんと的確で恐ろしい言葉なんだ(笑)

妻と結婚した理由は、ツラが良いからでもなく、働き者だからでもなく、

一緒にいて楽だから。

たぶん、妻も分かっているだろうし、妻の理由も何となく分かる。

それを言っちゃお終いだろ感がスゴすぎて、言うことはないだろう。

所詮、夫婦なんてそんなもんだ。 

 

この四年で、サンちゃんが一度でも自分から働きに出たいって言い出したことあった?

異類婚姻譚

「少しでもバイトとかしてくれたら楽になるのに。」

「もうちょっと、ちゃんと掃除してよ。」

とか、心の中でいつも文句を垂れているけど、

同時に気づいてもいる。

 

子供どころか結婚すら興味がなかった俺が、

「この世界でこんなにも可愛い存在があるのだろうか?」

と感情を抱かせてくれただけで、十分なんじゃないか?と。

娘を抱かせてくれただけで十分なんじゃないかと。

もう、今後直面するであろう苦労とかに見合うものを

既にもらっているんじゃないかと。

既に人生の辻褄が合っているんじゃないかと。

  

喜多川泰さんの言葉、

むしろよかったんじゃないか。

運転者

現実的には、結局ここに行き着くなあ。

モヤモヤしたときには、この言葉を心の中で唱えている。


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