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読書感想文 ジャイルズ・ミルトン スパイス戦争

 古きを温ねた。

 この本を読んだのはスパイスカレーにハマっているから。スパイスカレーは自分で作っても意外と難しくなく美味しく出来たのだが、お店の味も食べてみようと行ったお店のカウンターの壁側に立てかけてあったのがこの本。カレーがめちゃめちゃ好みで美味しかったので、このお店にある本なら読んでみたいと思って即、アマゾンで注文した。

 1500年代後半から1600年代の大航海時代にヨーロッパからスパイスを求めて航路を見い出し、利益を上げるべくした東インド会社を背景とする西洋人たちの冒険と戦いの歴史の、イギリス目線からのお話し。この本を読むとたくさんの匂いを感じられる。数々のスパイスから放たれる刺激的かつ魅力的な香りはもちろんのこと、甘い果物の匂い、熱帯のもわっとする熱気、心躍る潮の香り。極寒の海に旅立った船の湿った木の匂い、長い航海から生じる腐った肉や虫の湧いた水の匂い、病人の匂い。原住民が首に巻く生肉の生臭い匂い。地下牢のじめじめしたカビ臭さ、牢の天井から注ぐ糞尿の臭い、数々の火薬の匂い、そして血生臭さと人間のきな臭さ。

 この本ではカタカナの固有名詞が多くて今イギリスの話かオランダ話か、この人はイギリス人かオランダ人か、だいぶ迷子になった。終盤にはイギリス目線だったことが分かってきて腑に落ちていった。
 月並みな感想ではあるが、今私達がスパイスを楽しめているのは先人達の並々ならぬ努力と犠牲の上に成り立っていると思うと感慨深いものがある。無駄にすることなく「いただきます」に感謝を込めて、美味しくスパイスを頂きたいと思います。

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