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障害者施設の食材費過大徴収問題について

最近ちょっと話題になっていますので、業界の人っぽく語ってみようと思います。

以前こちらの記事で、グループホームでの利用者さんの食費について書いています。

この問題は、返金するべきなのに返金せずにいた・・・というただただそれだけの話です。
なので行政は、施設を運営する事業者に対して、徴収記録の義務化をする・・・との事なのですが、むしろ今まで何やってたんだって話ですよね(笑)

義務化なんかされなくても、本来は返金するもんです。だって余ったんだから。
それを、ただただ面倒だったりちょっとでもお金が欲しいからとなぁなぁにしてた・・・という訳です。
今回、こうやって表面化して困る事業所はさっさと潰れたらいいんですけど、問題は抜け道を知ってる所なんですよね。

例えばです。
福祉施設の食事メニューを考えたり、近くのスーパーに買い物に行って食材や生活消耗品を施設まで運ぶ会社、A社があるとします。

私のホームが、その会社と契約をしたとします。

食費として一人3万円、消耗品費として5千円徴収しているとします。
私のホームには、利用者さんが12人いらっしゃるとしましょう。
3万5千円×12人で42万円です。

つまり、ホームとしては毎月42万円をA社に支払う訳です。

A社にとっては、残金が純利益です。
週に2回、みんなでラーメンを食べる日!みたいなイベントを企画し、インスタントの袋麵のみの日を作ったりしましょうか。
宅食の会社と契約して、1カ月いくらって固定費にしてしまうのもいいですね。
色々工夫をして、1人1万円浮かせることに成功したとします。
(ちなみに以前の私のホームでは、クリスマスなどのイベントが無い月で、多い時は1人9000円くらい返金してましたので、切り詰めたらもっと出来ます)
すると、A社としては12万円の純利益を作る事が出来ます。

この場合、今回義務化される徴収記録には、A社との契約で支払っている明細のみが記録される訳です。
毎日の食事メニューは別の記録用紙に書きますが、食材が何円だったのか、は書く必要がなくなります。

A社に42万円支払いました。
利用者の方からは計42万円徴収しました。

こうなる訳です。

・・・気付いた方もいらっしゃると思いますが、A社も自分で運営したら、どうでしょうか?

そうなんです。買い物だって、記録上はA社が行く事になりますが、ホームのスタッフが買いに行けばいいんです。
そのスタッフをA社で雇う必要もありません。
そのスタッフはホームの仕事と思ってする訳です。
実質、A社は記録の為だけのトンネルです。

でも、記録上は完璧です。
食事の配膳サービスとはA社名義で契約するんですから。
買い物だって、A社として領収書をもらって経費計上するんですから。

そう、今回問題となった施設は、これすら気付く事なくヘマした施設なんです。
徴収記録を義務化しようが、このやり方をすれば利用者さんへ返金されるはずのお金は返金される事は無いんですよ。

でも、行政はこの事にタッチは出来ません。
だって、A社のようなサービスを受けるのはダメです。って言えないですから。
結局、今回の「義務化」によって行政には「仕事した気にさせた」だけで、問題は何も解決されません。

今回はあえて悪意があるように書きましたが、本当にA社のようなサービスがあったとして、そこを利用するのはダメな事でしょうか?

お弁当屋さんが運営するグループホームだってありますよ?
そこそこ有名な和食のお店が運営しているグループホームだってあります。
そこでは食事の豪華さをウリにしてます。

結局行政等が見れるのは「ルール」に則ってるかどうかというだけで「悪意」があるかどうかでは無いんです。
このやり方で毎月5万円徴収しながら、実際は2万円程しか食費等にかかってない・・・みたいなホームだってあるでしょう。

今回問題になった障害者施設は、ただただお馬鹿さんなだけです。
どれだけの施設が正直にやってるでしょうか。
どれだけの施設が抜け目なくやってるでしょうか。

「ルール上」問題ないなら、非難するのは間違っています。
でももしそこに「悪意」があるなら、非難したいですよね。

最後に。
A社の「経費」として、社長宅の食材・日用品を購入したとして、行政や税務署にバレるでしょうか・・・?

そう、結局、モラルの問題なんですよね。
有料で教えてるコンサルもいるだろうなーという事を書いてみました(笑)


二人の障害児の父
すけじろう

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