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【書評】ヤバい集中力(著:鈴木祐)

最近集中力が昔ほどもたないと考え手に取った本。集中力の正体やTipsがわかり改善につながった良本。

評価点

4点 / 5点中

おすすめな人

やると決めたことを実行できない人、途中で妥協してしまう人

要約

集中力の仕組みを獣と調教師にわけ、獣=パワーを持つ本能、調教師=本能をコントロールする理性、に見立てて、集中力や行動の習慣化の考え方・やり方を具体的な例を挙げて解説する。
その肝はいかに獣の特性にしたがって無理がなくなすべきことに向けるかであり、研究の結果などを事例として多くの使えそうなフレームワークを紹介している。
そんな自分もここ数年、明日できることは明日しようと先送りにすることが習慣化していたが、本作で紹介された方法を試しながら運動や勉強などが習慣化できつつある。

学びと共感

本能は厄介ですが単純でパワフルであり、その力の使い方のコツさえつかめば本能をいい方向へとハッキングできるのが本書の根底の考え方です。
その特性を①難しいものを嫌う、②あらゆる刺激に反応する、③パワーが強いと定義し、この3つに沿って目的に集中させることが重要と説きます。
その中でも自分のアイデンティティを目標達成に沿うものに作り上げるTipsや諦めそうになったら5のつく数字で我慢する方法はすぐ効果を感じられるものとして有益でした。
概要に全体像は記載していますが、本書を通じて具体例を交えて理解すれば自分にあう集中力Upの方法が発見できると思います。

概要(ネタばれあり)

  • 獣=本能、調教師=理性

    1.  獣の特性は、①難しいものを嫌う、②あらゆる刺激に反応する、③パワーが強い

    2. 人類史の96.7%の時間において人は獣の支配下にあり生きるための本能にはかなわない

    3. 調教師の特性は、①論理性を武器に使う、②エネルギー消費量が多い、③パワーが弱い

    4. これをしたらどうなる、と直列処理するのが特徴であり論理的だが遅い

    5. 教訓は3つ、①調教師は獣には勝てない、②集中が得意な人など存在しない、③獣を導けば莫大なパワーが得られる

    6. 情報量が膨大な現代社会では獣は情報の波に溺れており、コントロールできたものが価値を発揮する

  • まずは食生活から土台作りをしよう

    1. 食事の記録、により食生活改善を促す

  • 本能を「報酬の予感」という餌によりハックする

    1. 基本戦略は、①役に立つ「報酬の予感」を増やす、②役に立たない「報酬の予感」を減らす

    2. 作業効率を落とすのは、①不毛タスク、②難易度エラー。やる意味がありなんとか達成できる難易度が重要

    3. 目標は抽象的から具体的へ。「すべての患者に最高の処置を行う」から「あの病院は最高だったとすべての患者が友人に言いたくなるような処置を行う」へ

    4. 専門用語や数字は使わない。体重を10kg落とすより、20代で買ったジーンズをはけるように、が良い

    5. 目標達成までのサブゴール(マイルストーン)を3~4つ定義

    6. 最も期日が近いサブゴールを達成する毎日行うデイリータスクに分解

    7. デイリータスクを阻害する障害を洗い出し、獣にゴールを書き出しただけでは終わりでないことを認識させる

    8. 障害に対する対策も用意し獣の機嫌を損ねない準備をする

    9. 最後に、デイリータスクを質問型アクションに置き換える。
      2kmランニングをするなら、「(本人名)は午後7時にジムで2kmランニングをするか」

    10. そこにいたるまでのステップも明確にイメージすることが集中力を高める

  • マイ儀式で集中力をUpさせる

    1. 反復による儀式が集中力を高める

    2. 条件は2つ。「この動作をしたら大事な作業に取り組む」と決めておく、②決めた手順を何度も繰り返す

    3. 効果が高いのは朝に1日のタスクを書き出し簡単なタスクをリスト先頭にまとめその順に取り組むこと
      達成がドーパミンを放出することで集中力と達成感につながる

    4. 記録で習慣化する。ただし行動を変えたいときは行動を、結果を出したいときは結果の過程だけ記録すること

    5. 耐えられる不快が心を強くする。「5のルール」で心を鍛える
      (例)休憩したくなったらあと5分だけ続ける、腹筋をやめたくなったらあと5回続ける、起きれないとき5秒数えて起きる

    6. 儀式を週4回×2週間続けて定着させる

  • 物語を編み目標達成にベストなアイデンティティを定義する

    1. 自分を頑張ればできると定義するより「読書家」と定義すると読書効率がより上がる。本能は自己イメージを守る方向に働く

    2. 「ジョブスのようなプレゼンができる人間に」とステレオタイピングは物語に彩りを与える

    3. 自分を持ち上げずセルフトーク(ひとりごと)を使って獣を補正する

    4. SMARTで計画する

    5. 生産性の10%以上は隣に座る人の質で決まる
      熱心に勉強する人たちが集うカフェ、同じ目標を持つ人がしのぎを削るコミュニティ参加、など付き合う人を変える

  • 自分を客観的にみつめる

    1. 感情の波を観察し続け、神経伝達物質の影響が和らぐまでやり過ごせば本来の作業に復帰できる

    2. マインドフルネスは対象にすべてを集中することだが、デタッチドマインドフルネスは思考や感情から距離を起き観察に徹する行為

    3. スマホで集中力が切れるのは2.8秒。デジタルを管理する

    4. 外向的な人は音楽で集中。ただし歌詞付きはNG。作業と作業の間の聞き慣れた音楽は集中力を高める

  • 諦めて休む

    1. 自責の念は灰白質(感情をコントロールする機能の一部)を減らし脳を小さくさせるため自分を受け入れることが重要

    2. セルフイメージングとして、失敗を悩む自分に対し、友人が思いやりを持ってアドバイスするシーンを想像
      その友人がどんな言葉をかけたかを細かく思い描き、紙に書き出す

    3. 友人への思いやりを自分に向けることが可能

    4. 息抜きとしてタスクの合間に簡単なタスクを差し込むタスクブレイクや、運動を挟むアクティブレストも有効

    5. エアロバイクで15分スプリントをすれば認知タスクが大幅改善。ハイパーアクティブブレイクも必要に応じて行う

※引用:ヤバい集中力(著:鈴木祐)より


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