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三角関係

中学の頃
T ちゃんと交換日記をしていた。


Tちゃんと私は、同じバスケ部で、中3で同じクラス。
背格好も似ていて、一番仲良くしていた友達。

部活の練習ではペアも組んでいて、
周りから、仲良しなことは認知はされていた。


私たちは、ベタベタする仲をあまり好まず、
寄り添う感じの付き合いで、
お互いに、穏やかな空気が心地よかった。

仲の良さを目立たせる訳でもなく、
ふんわりと一緒にいて、仲を深めて。


私たちは、周りに気づかれないように、
二人の秘密のように、交換日記を始めた。

好きな人の話や悩み事を書いたり、
他の人にはあまり話さない心の内を
交換日記で話していた。


Tちゃんと私は、1、2年の頃は違うクラス。
それぞれにそれぞれの友達もいるので、
ずっとTちゃんと一緒にいるというわけではない。

だけど、なんだか気が合って、
心を打ち明け合う仲になって。

3年で同じクラスになれた時には、
二人で喜んだ。

やったね!って♪




ある時、Tちゃんから相談を受けた。

実は、Mちゃんから交換日記をしたいと言われて……
ゆうゆうと交換日記をしていることがバレちゃって……

と、申し訳無さそうな顔で話し始めた。
TちゃんとMちゃんは同じ塾に通っていて、
塾でそう言われたようだ。

ゆうゆうだけずるい!
私もTちゃんと交換日記したい!

と言われて、断れなくて……
だから、両方することになっちゃった……

と、打ち明けてきた。


Mちゃんは、違うクラスで同じ部活の仲間。
Tちゃんのことをとても気に入っていることは知っていた。

見えるように仲良くしたがる、そんなタイプ。

何となく、私は気づいていた。

時々、Tちゃんと一緒にいると、
Mちゃんから嫉妬されるような視線も感じていて。


申し訳なさそうに、正直に伝えてくれたTちゃん。


その時の私は、Mちゃんが、
Tちゃんと交換日記をしたいと思う気持ちも理解できたし、

Tちゃんが、誰と交換日記をしようと
Tちゃんが決めることで、
私が何かを言えるものではないとも思えていた。


理解の早さは自分の良さであるけれど、

どこか、ほんのり
仲良しのTちゃんを取られたような気持ちも感じた。

Tちゃんが決めることだからと、
頭と心で、理解していて、

だから、返事もすぐに、心良い言葉を送れた。


そうなんだ。うん、わかったよ。
いいよ。

私は大丈夫。


自分の理解の早さに、可愛げ無さも感じつつ、
物分かりがいい自分をどこかで、眺めていた。


Tちゃんは、

本当は断りたいんだけど、しつこく言われて……
仕方なくて……ごめんね……

と、申し訳なく感じているようだった。


表向き、Mちゃんと交換日記をしている
という体にしないとならないことも伝えられ、

それでも、私との交換日記は続けたいからと、
Mちゃんには内緒で、続けてくれた。


私は、何だか大変そうだな〜と思いながら、
私へ気を遣ってくれているんだな♪ と感じた。

他の人から見れば、Mちゃんは、
どっちへもいい顔しているようにも見える行動だけれど、

どちらも傷つけたくない気持ちがあるんだろうな
と、そう受け取った。


自分がTちゃんだったら、どうするかな?

私もTちゃんと同じようにするかもしれないよなぁ。

Mちゃんの駄々をこねるような思いもわかるし、
自分だけと仲良くしてほしいという気持ちも
わからなくもない。


Tちゃんと交換日記をする仲なのは、
今までと変わらない。

それが表だろうが裏だろうが、
Tちゃんとの仲は何も変わらない。

誰を気にいっても、誰を選んでも
それはその人の自由だからと納得もしていた。


中学生のあの頃、
私はそんな風に、考えていた。





それから、Tちゃんは、
Mちゃんと私と両方と交換日記をした。

両方と日記をやるのは大変だったのだろう。
遅れる日があったり、両立の難しさが見えていた。

Tちゃんの様子を見ていて、そのように感じていたので、
遅れることを理解できたし、嫌に思うこともなかった。


日記書けてなくてごめんね……
Mちゃん、遅れると怒るから……
そっちの方を書かなきゃいけなくて……


そうなんだ……
大変だね……

私の方はいつでも大丈夫だよ。


そんなボヤきを聞きながら、
お人好しにも、また、わかってあげてしまう。

少しだけ、私に甘えてるなと感じつつ、
まぁ、仕方ないか、しゃーないよな!
って、思えてしまう……

良いのか悪いのか、
自分でもよくわからなくなる部分だったり。




少ししてから、
Tちゃんが、また相談してきた。


ごめん……
Mちゃんに、内緒で交換日記をしていることがバレちゃった……

私とだけ、交換日記して!
と……言われて……

Mちゃんが怒っちゃってて……

だから……ごめん……
交換日記やめなきゃいけなくなっちゃったの……

機嫌悪くなってしまって、
だから、できなくなちゃった……ごめんね……


と、困った様子で、
私に申し訳なさそうにしながら謝ってきた。


そしてまた、私はすぐに、理解してしまい、


あぁ…Mちゃんは、そうなるよなぁ……
そういうことも言うよなぁ……
想像つくなぁ…


と、思いながら、
申し訳無さそうに、困っているTちゃんを見て、


あ〜、そうなんだ……
大変なんだね……

いいよ。
私は大丈夫。


と、またさらっと、答えてしまう。


側から見れば、

仲良くしているのに、私の方を切られたようにも見えるし、
Tちゃんが八方美人に、
どちらにもいい顔をしているようにも見える。

私が、酷い扱いを受けているように見えるだろう。


実際には、水面下でより親密な付き合いをしていたので、
そんな風に見る人もいないのだが、

もし、他の人が同じ立場であったなら、
そのように感じてしまう人もきっといるのだろうな……

なんてことも
その時に考えたりしていて。


水面下で親密にしていたのは、
お互いに、親密を目立たせることが
あまり好まなく、そこが互いに同じで居心地が良かった。

目立つ仲の良さは、何かあった時も
周りに目立つ。
周りから、やんや言われるのも面倒くさい。

誰かにいろいろ言われることなく、
二人がわかっていればよくて、

穏やかに、寄り添えている感じが心地よいからだ。


いつもべったり ということじゃなく、
それぞれに自由な友達関係があって、

だけど、お互いが心を開けて、
親密な関係を穏やかに作っていける

ほどよい距離で、でも気持ち的に近くにある
そんな付き合いをしていた。


なんというか、尊重し合えている関係のような。


確かに、交換日記をやめてしまうのは
ちょっと悲しい気持ちもあったけど、

同じクラスで、一緒にいられているし、
交換日記をやらないからって、

Tちゃんとの関係が、何か変わる訳でもない。


交換日記があろうとなかろうと
Tちゃんとのつながりには、何も変わらないのだから、


Tちゃんと仲良くしていた時間が
Tちゃんとの心のつながりを感じさせてくれていた。


だからまた、
すんなりと理解して、受け入れた。


そしてまた、
物分かりがいい自分を感じつつも……




いろいろな気持ちを想像して、
理解もできて、
いつも、受け入れてしまう……

だから、いつもなんとなく
譲っている形に。

いつも譲っているように感じもするから、


理解できるって、損だな……


と、そんな風に、時々感じることもあった。


気づかなければ、
もう少し、自分の主張ができるだろうに。
例えば、Mちゃんのように……

駄々をこねたり、
わがままを言えるって、

自分の思うようにさせることができていて、

気づかないって、
少し羨ましいって思ったりして。


理解が早くて、
自分の気持ちを言えなくなってしまうことが多く、

自分の気持ちを考える前に、
なんだか物事が見えてしまうような感じがあった。


考え方を変換できたり、
調整をするようにできていたのかもしれないけれど、

それでも、そういう時というのは、

お互いへの尊重がなければ、納得はいかなかっただろう。


そんな、中学の頃の三角関係のような
友達との想い出。

これだけ覚えているということは、

理解はできていたけれど、
きっと

心に何かしらの悲しさを感じていたからかもね……




Tちゃんと、交換日記をやめてから
その後、

TちゃんとMちゃんの交換日記はそれほど続かなかった。

Mちゃんと交換日記が終わったTちゃんは、
また、交換日記しない?と私を誘ってくれた。

Tちゃんが、誘ってくれて、とても嬉しかった。
私たちは、また、

二人だけの秘密の交換日記を始めた。


中学の最後の時間を
共に心を打ち明け、支え合い、

親友として

卒業まで、交換日記を続け……


心に残る 青春の想い出となった♡




Tちゃんは、心を通わせた
大切なともだち

卒業後も仲良くしていた


あの頃を懐かしみながら、
エピソードに浸ってみた♪





・・お読みいただきありがとうございます・・



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