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セルフ指圧の威力。変形性膝関節症者の関節症状 & 機能を改善

📖 文献情報 と 抄録和訳

変形性関節症患者に対する自己管理による指圧と運動。無作為化比較試験

Guo, Donghui, et al. "Self-administered acupressure and exercise for patients with osteoarthritis: A randomized controlled trial." Clinical Rehabilitation (2021): 02692155211049155.

🔗 DOI, PubMed, Google Scholar

[背景・目的] 変形性膝関節症は、中高年者の運動能力に大きな影響を及ぼす、一般的な関節変性疾患である。指圧は、血液循環と筋肉活動を促進する伝統的な非薬物療法である。指圧と運動は、変形性膝関節症に対する潜在的な治療法である。

[方法] デザインは、変形性膝関節症の自己治療に関する無作為化比較試験である。設定滄州病院介入方法変形性膝関節症の患者221人を集め、無作為に4つのグループに分けた:対照グループ(n=55)、運動グループ(n=56)、指圧グループ(n=55)、運動&指圧グループ(n=55)。最初の8週間は、異なるグループの患者に対応するトレーニングコースが提供された。患者は16週間、各自に対応する介入を行うよう求められた。16週目に患者の状態を評価した。主な評価項目試験開始8週目と16週目に、変形性膝関節症患者のWestern Ontario and McMaster Universities Global Scoreを評価した。

✅ 具体的な指圧の場所
ST34:膝頭の外側と骨盤骨の間に引いた線上で、膝頭の上方2cunのところ。
ST35:膝頭のすぐ下、膝頭の下の腱の外側にある。
ST36:膝下、ST35より3cun下、指一本分外側で下腿骨の前部。
EX-LE2:膝頭のすぐ上の中央部。
EX-LE4:膝頭のすぐ下、膝頭の下の腱の内側にある。
GB34:膝の外側、腓骨の頭から1つ下。
SP9:下腿の内側で、膝関節線のすぐ下。
SPIO:膝頭の上2cun、筋肉の内側。
※ cun=3.3cm。

[結果] 変形性膝関節症患者において、指圧と運動による自己管理は、他の介入と比較して16週目に視覚的アナログスケール(3.75 ± 1.89 vs 2.93 ± 1.73, p < 0.05) 、痛み(7.6 ± 2.8 vs 4.8 ± 2.7, p < 0.05) 、硬さ( 3.75 ± 1.89 vs 2.93 ± 1.73, p < 0.05 )が著しく低下しました( p < 0.05 )。指圧と運動の組み合わせは、変形性膝関節症患者の可動域(114.4 ± 11.5 vs 120.4 ± 11.9, p < 0.05) と歩行速度(1.48 ± 0.48 vs 1.76 ± 0.50, p < 0.05) も改善した(p < 0.05) 。

[結論] セルフ運動と指圧は、関節症状(腫れ、痛み、関節機能障害、関節変形)を緩和し、関節機能を改善することから、変形性関節症の臨床管理における活用の可能性が支持された。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

入院中患者について考えよう。セラピストと患者は1日に数度、対峙する。
その時間、多くて3時間。
起床時間が12時間あるとして、残り9時間、その時間の方が圧倒的にメジャーだ。
だが、そのメジャーな時間の使い方の指導に一生懸命になっているか。
自信はない。

今回の研究は、その部分のデザインを考える上で大変参考になる。
セルフマッサージの指導はすることはあるが、はて、どこまで具体的だろう。
今回の研究では、8ヶ所、明確な場所と時間が指導されている。
疾患別に、セルフマッサージの指圧場所や指圧時間が明確に記されたテンプレが作成できれば、入院中患者の指導、退院支援にも大いに役立つ。

これは、即実践案件だ。
早速、検討していくとしよう!

必要なことは、実際に行うことである。
それは、ビジョンや態度を変えるよりはやさしいはずである。

ドラッガー

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