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下腿周径テープ。年代別の標準値をツール化

📖 文献情報 と 抄録和訳

年齢別の下腿周径の標準値に応じた簡易医療機器の開発:イタリア長寿検診7+(Lookup 7+)プロジェクトの結果

📕Martone, Anna Maria, et al. "A simple medical device development according to normative values of calf circumference across ages: results from the Italian Longevity Check‐up 7+(Lookup 7+) project." Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle (2023). https://doi.org/10.1002/jcsm.13286
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[背景・目的] 背景筋肉量の低下は、障害、罹患率、死亡率など、健康に関連するネガティブな出来事の予測因子であるという考え方については、幅広いコンセンサスが存在する。実際、European Working Group on Sarcopenia in Older People 2は、サルコペニアの診断を確定するための重要な要素として筋肉量を挙げている。しかし、年齢を超えた筋肉量の標準値がないことが、この重要なパラメータの実用的な評価を妨げている。本研究の目的は、Longevity Check-up 7+(Lookup 7+)プロジェクトに登録された地域住民の大規模かつ非選択サンプルを用いて、幅広い年齢にわたる下腿周径(筋肉量の代替推定値)の横断的な百分位値と規範値を作成することである。

[方法] 本研究は、2015年6月に開始され、従来とは異なる環境(展示会、ショッピングモール、健康増進キャンペーンなど)で実施された進行中の研究であるLookup 7+プロジェクトのデータを用いた横断研究である。参加候補者は、45歳以上であり、書面によるインフォームド・コンセントを提供した場合に登録資格があるとみなされた。下腿周径は、膝と足首を直角にし、足を床につけた座位で、伸縮性はないが柔軟性のあるプラスチックテープを使用して測定した。45歳から80歳以上までの下腿周径の標準値が作成された。

[結果] 2015年6月1日から2022年9月30日までに合計11814人の参加者が登録された。解析対象者の平均年齢は61.8歳(標準偏差;10.2歳、範囲:45~98歳)で、6686人(57%)が女性であった。ふくらはぎ周径の標準値は、年齢層別に男女で求めた。そのため、患者が該当する百分率の範囲を色分けした “下腿周径テープ” が作成され、検証された

[結論] 本研究により、ふくらはぎ周径の年齢および性別ごとの百分位基準値が確立された。下腿周径テープは、サルコペニアや栄養不良の患者やその予備軍を早期に発見するために、日常診療で評価を容易に解釈するために使用することができる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

あらゆる評価指標が直面する課題の1つに『So Whatの谷』がある。
どういうことかというと、例えば下腿周径は、まず30cmという客観的な数値が計測値として得られる。
この時点では、30cmという結果は、良いとか悪いとか、多いとか少ないとか、という価値づけはされていない。無色な数値だ。
そして、その後で、各種エビデンスによって明らかになった標準値やアウトカムとの関連などから価値づけがなされる。

つまり、計測と価値づけ(解釈)という二段階が存在していて、その間に谷がある。
その谷があると、解釈されない計測、という評価をする意味が少ない計測値が生まれてしまう。
「30cmですね」で終わる評価。これは望ましくはないだろう。
そんな中で、今回の下腿周径テープは、計測→即解釈という1セットなツールだ。
測った瞬間に、解釈結果が出ている。
すなわち、『So Whatの谷』が存在し得ない。
これの日本人版が欲しい、と切に願う。

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