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大腿骨近位部骨折後の時期別の快適歩行速度


📖 文献情報 と 抄録和訳

大腿骨近位部骨折後の可動性回復の評価:ランダム化比較研究のスコーピングレビュー

📕Taraldsen, K., et al. "Evaluation of mobility recovery after hip fracture: a scoping review of randomized controlled studies." Osteoporosis International (2023): 1-13. https://doi.org/10.1007/s00198-023-06922-4
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[背景・目的] 大腿骨近位部骨折後に骨折前の運動能力を取り戻す高齢者はほとんどいない。歩行への影響を評価する介入研究では、一般的に短い臨床テストや実験室内でのパラメータが用いられ、歩行速度のみに限定されることが多い。日常生活環境における運動能力の測定は存在し、現在よりももっと考慮されるべきである。大腿骨近位部骨折患者の半数以下しか、骨折前の運動能力を回復していません。運動能力の回復は健康状態やQOLと密接な関係があるが、大腿骨近位部骨折患者を対象とした介入研究において、歩行がどのように評価されてきたかについての包括的な概要はない。目的は、大腿骨近位部骨折後の高齢者の運動能力回復に対する介入効果を評価するための無作為化比較試験において、どのような歩行パラメータが用いられてきたかを明らかにすることである。

[方法] このスコーピングレビューは、11のデータベースから関連する査読済み文献およびグレー文献を特定した二次論文である。抄録と全文スクリーニングの結果、オリジナルのレビューから24報、最新の検索と手動スクリーニングから8報の論文が対象となった。大腿骨近位部骨折患者を対象としたRCTにおいて、歩行パラメータを含む記録があれば適格とした。

[結果] 29の試験から32の論文(2754人のユニーク参加者)を対象とした。歩行パラメータは、6つの研究においてのみ主要評価項目であった。歩行は主に短距離歩行として評価され、歩行速度が最も頻繁に研究された。ウェアラブルセンサーによる歩行パラメータを報告した研究は5件のみであった。

■ 大腿骨近位部骨折後の快適歩行速度 (時期別)

・大腿骨近位部骨折後の急性期(1~2週目)、亜急性期(3~6週目)、急性期後(12~24週目)、慢性期(53週目以降)に報告された快適な歩行速度の範囲
急性期の歩行速度は極めて低く(0.3m/s未満)、回復期を通じて着実に増加するようである。
慢性期(大腿骨近位部骨折後53週以上)に実施された研究では、歩行速度は高齢者の標準データに近いレベルを示している。

[結論] 大腿骨近位部骨折患者への介入後の移動性改善に関するエビデンスは、管理された環境で評価された歩行速度にほぼ限定されている。大腿骨近位部骨折後のモビリティ回復に対する介入の効果を、患者の生活のあらゆる側面においてより細かく評価し、最適なケアパスを定義できるようにするためには、従来の臨床およびラボ内評価からラボ外評価への移行が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

歩行速度というと、一様の定規で見てしまいがちだ。
つまり、発症からの時期別、という視点が後ろに置いていかれてしまう場合が多いのではないだろうか。
今回の抄読研究は、その視点の重要性を思い出させてくれた。

骨折後の急性期、亜急性期、急性期後、慢性期という4つの時期別の歩行速度が図示されていた。
これを見ると、入院中の歩行速度については、低下している状態であり、各時期別に合格ラインというものは変わってきそうだと思われた。
時期別のアウトカムの検討が必要、その視点を大事にしていきたい。

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