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股関節の関節包。メカノレセプターの密度

📖 文献情報 と 抄録和訳

ヒト股関節包の前方、内側、外側の神経支配に関する微細構造解析: 神経力学的寄与に関する予備的証拠

📕Tomlinson, Joanna CL, et al. "Microstructural analysis on the innervation of the anterior, medial, and lateral human hip capsule: Preliminary evidence on its neuromechanical contribution." Osteoarthritis and Cartilage 31.11 (2023): 1469-1480. https://doi.org/10.1016/j.joca.2023.07.009
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[背景・目的] 被膜修復術は、人工股関節全置換術(THA)後の股関節の関節包の損傷とその後の脱臼リスクを最小限に抑えることを目的としている。その成功については、無傷の関節包に由来する神経筋フィードバックループなど、数多くの説明が提唱されている。本研究では、関節包のメカノレセプター密度を解析することにより、関節包が股関節の安定性に寄与しているという仮説を検討する。

[方法] 29名(解剖体)の関節包の正中部の前方、内側、および外側から採取した29サンプルを、修正Freeman and Wyke分類に従って、包埋されたメカノレセプター(機械受容器)を同定するために立体学的および免疫組織化学的に調査し、合計11,745切片を得た。関節包内のメカノレセプターを決定するために連続スライスを観察した。

✅ この研究で調査したメカノレセプター

[結果] 関節包の小領域およびその周辺組織には、調査したコホート全体を通して、機械受容器はほとんどみられなかった。関節包の小領域およびその周辺組織には、調査したコホート全体を通して、メカノレセプターはほとんどみられなかった。調査した領域のうち、メカノレセプターの密度に有意な領域差はみられなかった。

メカノレセプター密度には、左右差(左10.2×10-4/mm3、4.0×10-4〜19.0×10-4/mm3;右12.9×10-4/mm3、5.0×10-4〜22.0×10-4/mm3;平均値、95%信頼区間)男女差(女性10. 4×10-4/mm3、4.0×10-4~18.0×10-4/mm3;男性11.6×10-4/mm3、5.0×10-4~20.0×10-4/mm3;平均値、95%信頼区間)、年齢層との相関はなかった。有髄神経は関節包内を様々な方向に一貫して走行していた。

[結論] メカノレセプターの密度がまばらであることから、関節包が股関節の安定化に寄与する程度は限定的であることが示唆される。関節包の神経終末は、関節の能動的・受動的要素と連動して関節の安定性を媒介するために、関連筋との神経筋フィードバックループに寄与する可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

関節の位置がどうなっているか・・・。
これは、特に脳卒中者のリハビリテーションにおいて強く感じるところなのだが、とても重要な機能である。
これがなければ、歩行の振り出しがうまく出せず、そもそもしっかり立つこともおぼつかない。
そこに足があるつもりで体重をかけた時に、足がそこになければ転倒の危険性も非常に高い。
このように、深部感覚の重要性は常に感じている。

そして、今回の研究はその受容器であるメカノレセプターが股関節の関節包にどのように配置されているか、を調査した。
その結果、『全般的に数が少ない』ということが明らかとなり、傾向はあるものの領域差も認めなかった。
少なくとも股関節においては、関節位置覚や運動覚は筋に依存するところも大きそうだ。
ミクロな漸進を続けたい。

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