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Knee Gripのような、家庭用モバイルNMES

📖 文献情報 と 抄録和訳

膝の変形性関節症の管理のための新しいモバイルアプリベースの神経筋電気刺激療法。多施設共同無作為化二重盲検シャム対照試験の延長試験結果

📕Dasa, Vinod, et al. "A Novel Mobile App-based Neuromuscular Electrical Stimulation Therapy for the Management of Knee Osteoarthritis: Results From an Extension Study of a Randomized, Double-blind, Sham-controlled, Multicenter Trial." JAAOS Global Research & Reviews 6.9 (2022): e22. https://doi.org/10.5435/JAAOSGlobal-D-22-00115
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※ Connected Papersとは? >>> note.

✅ モバイルアプリを用いた神経筋電気刺激とは?
・システム名:Cymedica Orthopedics e-vive System IFU
・CyMedica NMESシステム(CyMedica Orthopedics)は、コントローラ(波形パルス発生器)、ドッキングレセプタクル、2つの可動域センサ、および3つの電極を内蔵した膝導電性衣服で構成されている(図)。
・電極は、大腿四頭筋の内側広筋と大腿直筋に装着するよう設計されている。
・また、実際に適用したNMES療法を遠隔地の構造化照会言語および医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律に準拠したデータベースに報告することを容易にするデジタルヘルス機能が含まれていた。
・以下、YouTubeにおける説明動画

[背景・目的] モバイルアプリを用いた神経筋電気刺激(Neuromuscular Electrical Stimulation, NMES)は、12週間の無作為化二重盲検・偽薬対照多施設試験(親試験)で既に実証されているように、変形性膝関節症の有望な治療法である。

[方法] 12週間の親試験を終了した変形性膝関節症患者253名のうち64名を14週間の延長試験に登録し、引き続き、オリジナルの装置(「アクティブNMES」)または低電圧版(「偽NMES」)を用いた二重盲検在宅NMES(20分×2回、5日/週)を受けてもらった。延長試験に登録したすべての被験者をintent-to-treat集団とし、少なくとも2,800分(14週間のデバイス使用)NMESを適用(モバイルアプリとリモートポータルでコンプライアンスをモニター)した被験者をper-protocol therapyコンプライアンス集団としました。

[結果] プロトコール治療適合集団において、アクティブNMES群(n = 21)は、偽NMES群(n = 8)に比べて、Visual Analog Scale Nominated Activity(活動時の痛み)の減少(64.7%対24.3%、P = 0.020)、Visual Analog Scale Nominated Activityの50%以上の改善(76.2%対12.5%、P = 0.002)と高い効果があった。治療意図のある集団では、両群間に顕著な差はなかった。

[考察] NMES療法をさらに14週間(合計26週間)適用することにより、患者がNMESを完全に遵守した場合、顕著かつ臨床的に意味のある疼痛緩和が得られた。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

NMES治療における、重要点とは何だろう。
大きな1つとして、『電極貼付箇所』があると思う。
ターゲット筋におけるモーターポイントの近傍にしっかりと貼付される必要がある。

✅ モーターポイントとは?
・モーターポイント(motor point, MP)は,神経が筋腹に侵入する部位および体表からの電気刺激で最も筋収縮が起こりやすい部位と定義されている。
・そのため,神経筋電気刺激療法では,MP上に電極を配置することにより効率的に筋収縮を得ることができるとされ,MPは治療ターゲットとされる。

🌍 参考サイト >>> site.

その中で、今回のデバイスは膝蓋骨をランドマークとしたKnee Grip様の装着スタイルとすることで、ズレを最小限に防いでいる様に感じた。
確かに、それならば位置はずれにくいだろう。
それがこのデバイスの出す効果の大きさの一因だと思われる。

今後は、ぜひ『個人差』に対応してほしいと思う。
モーターポイントは、個人差が大きいことが知られている(📕緒方, 2017 >>> doi.)。
例えば、携帯電話の強みとして、出力のみではなく入力と分析が可能、という点がある。
その強みを生かして、このデバイスにEMG的な機能を搭載し、モーターポイントの特定、そしてその部分に自動的に電気刺激を与えるシステム。
理想的だ。
というか、これができた場合、セラピストによるモーターポイントの特定より秀逸になる可能性が高い。
今後の発展を、注視していきたい。

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