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ワイドパルス電気刺激の威力。従来よりも効果的なNMESの設定方法


📖 文献情報 と 抄録和訳

大腿四頭筋のワイドパルス電気刺激により、従来の刺激よりも大きな最大喚起可能トルクが得られる

📕Espeit, Loïc, et al. "Wide-pulse electrical stimulation of the quadriceps allows greater maximal evocable torque than conventional stimulation." European Journal of Applied Physiology (2023): 1-6. https://doi.org/10.1007/s00421-023-05145-z
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✅ 前提知識:神経筋電気刺激(neuromuscular electrical stimulation, NMES)の主な設定数値
・刺激の調節についてはさまざまなパラメーターが調整要素となり得る(📕緒方, 2017 >>> doi.).
・GlavianoらはNMES介入研究の刺激パターンを比較し,一般的な刺激として400~600μ秒の刺激幅,30~50Hzの刺激頻度を推奨している(📕Glaviano, 2016 >>> doi.).

[背景・目的] 神経筋電気刺激(neuromuscular electrical stimulation, NMES)プログラムの有効性は最大誘発トルク(maximal evocable torque, MET)に比例することが示されているが、これは持続時間や周波数などのパルス特性に影響される可能性がある。本研究の目的は、2つの異なる周波数における従来のNMESとワイドパルスNMESのMETを比較することである。

[方法] 71名の健常人を対象に、MET(最大随意収縮(MVC)トルクの百分率で表される)と最大耐容電流強度を定量化した。右大腿四頭筋を、異なるパルス時間/周波数の組み合わせによる3つのNMESプロトコルで刺激した:従来のNMES(0.2ms/50Hz;CONV)、50HzのワイドパルスNMES(1ms/50Hz;WP50)、100HzのワイドパルスNMES(1ms/100Hz;WP100)。また、最大耐容電流強度に達する前に最大刺激装置出力(100mA)に達した被験者の割合も定量化した。

[結果] 最大刺激出力に達した被験者の割合は、WP50およびWP100よりもCONVの方が高かった(p < 0.001)。どのプロトコルでも最大刺激出力を達成しなかった被験者では、METはCONVよりもWP50とWP100の両方で高かった(p < 0.001)。最大耐容電流強度は、CONVよりもWP50とWP100の両方で低く、WP50よりもWP100で低かった(p<0.001)。

[結論] 従来のNMESと比較すると、ワイドパルスプロトコルはMETが大きく、最大耐容電流強度が低かった。全体として、このことはNMESトレーニング/リハビリテーションの有効性を高め、刺激装置の最大出力制限に関連する実用上の問題を軽減することにつながる可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

文明の利器というのは、とても便利だ。
何も考えなくても、その利便性のみを享受できる。
例えば、僕たちは携帯電話の仕組みをほとんど知らないし、ましてや作れなどしない。
だけれども、電話やメール、アプリ機能を使いこなし、利便性のみを享受ているのだ。
冷蔵庫、電子レンジ、最近の電子機器のほとんどすべてが、この例に当てはまるだろう。

だからこそ!
そこには、仕組みの欠落というブラックボックスが常にある。
臨床現場におけるNMESも、本来はそうあるべきではないが、その側面は大きいのではないだろうか。
初期設定から、仕組みや効果を加味して、根拠をもってオリジナルの設定に変える、という理学療法士がどのくらいいるだろうか?

その中で、今回のような「デフォルトとなりつつある設定を改めて考えてみようよ!」という研究は貴重だと思うし、好きだ。
ワイドパルス電気刺激の効果を実証してみせた。
次にNMESを実施する機会があれば、検討してみよう。
そのときに実習生がついていたら、どやろう。

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