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踵接地の威力


📖 文献情報 と 抄録和訳

歩行時に特徴的な踵からつま先へのローリングパターンから外れた場合の運動パターンの変化

📕Mesquita, Raphael M., et al. "Modification of the locomotor pattern when deviating from the characteristic heel-to-toe rolling pattern during walking." European Journal of Applied Physiology (2023): 1-13. https://doi.org/10.1007/s00421-023-05169-5
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[背景・目的] ヒトは、最初に踵を踏み、次に母指球とつま先で転がる数少ない動物である。この踵からつま先へのローリングパターンは歩行時にエネルギー的に有利であることが示されているが、成人の歩行における神経筋制御に及ぼす異なるフットコンタクト戦略の影響についてはあまり注目されてこなかった。我々は、踵からつま先へのローリングパターンからの逸脱が、脊髄運動活動の修正とともに、歩行におけるエネルギー伝達、体重受容、再推進の段階に影響を及ぼすという仮説を立てた。

[方法] 10名の被験者を対象に、トレッドミルの上を普通に歩いた後、一歩ごとに足を平らに地面につけ、最後に足の甲で歩かせた。結果その結果、被験者が踵からつま先へのローリングパターン戦略から逸脱した場合、主に立脚後期の推進力不足に関連して、機械的仕事量が平均85%増加することが示された(F = 15.5; p < 0.001)

この機械的仕事量の変化は、腰椎および仙骨セグメントの活性化の関与の差に関連している。特に、活性化の主要なバースト間の遅延は、通常の歩行と比較して平均65%小さい(F = 43.2; p < 0.001)。

[結論] 同様の結果は、蹠行性動物の歩行でも観察できるが、踵からつま先へのローリングパターンがまだ確立していない幼児の自立歩行の開始時にも観察できる。これらのことから、ヒトの運動における足のローリングは、二足歩行姿勢の進化による選択圧を受けて、歩行を最適化するために進化してきたと考えられる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「歩くときは、踵からつくことを意識しましょう」

これは、理学療法の臨床場面、とくに歩行練習において最も使用される声かけの1つではないだろうか。
だが、その威力を明確に認識して声かけや説明をしている理学療法士は、少ないだろう。

今回の文献は、その違いの一端を教えてくれている。
踵接地は、歩行時の仕事量を減少させてくれる。
その内訳は、腰椎-仙椎レベルの仕事が減少するらしい。

そして、驚くことにそのパターンは幼児から観察され、人の運動においてかなり原始的なパターンであることが伺える。
踵接地は、大事だ。

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