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プレ認知課題で持久力運動のパフォーマンスをアップ!


📖 文献情報 と 抄録和訳

事前の脳持久力トレーニングが持久力運動のパフォーマンスを向上させる

📕Dallaway, Neil, et al. "Prior brain endurance training improves endurance exercise performance." European Journal of Sport Science 23.7 (2023): 1269-1278. https://doi.org/10.1080/17461391.2022.2153231
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🔑 Key points
🔹本研究は、脳持久力トレーニング(Brain endurance training, BET)がマッチさせたフィジカルトレーニングよりもパフォーマンスを向上させるというさらなる証拠を提供する。
🔹プレ認知課題(すなわち、フィジカルトレーニングの前にメンタル的に負荷の高い認知課題に取り組むこと)は、疲労回復力を高めるための別の選択肢を提供し、同時BETが現実的でないような、より多くのスポーツや潜在的に強度の高いトレーニングへのBETの利用を拡大する。
🔹プレ認知課題の利点は、少なくとも部分的には、前頭前野の酸素化の改善によって説明できるかもしれない。

[背景・目的] 脳持久力トレーニング(BET)は、MFに対する回復力を構築し、持久力パフォーマンスを向上させるためにデザインされた、精神的に疲労する認知課題を系統的に反復することを説明する。これまでのエビデンスによると、身体トレーニング中にメンタルプラクティスを行うことで、トレーニング後の運動パフォーマンスが向上することが示されているが、このような同時並行的なBETアプローチは、すべての場面で実用的であるとは限らない。そこで本研究では、フィジカルトレーニング前のメンタルトレーニング(プレ認知課題)が運動パフォーマンスに及ぼす影響を評価した。

[方法] 無作為化対照試験デザイン:プレテスト、トレーニング(介入群、対照群)、ポストテスト。テスト前とテスト後のセッションで、参加者は、できるだけ大きな力を発生させることが要求される5分間のリズミカルなハンドグリップ課題、20分間の2バックワーキングメモリー課題、さらに5分間のリズミカルなハンドグリップ課題を行った。参加者は、介入群(n=12)と対照群(n=12)に無作為に割り付けられた。両群とも5週間(週4回)、同じサブマキシマムリズミックハンドグリップトレーニングを行った。介入群では、各最大下運動トレーニングセッションの前に、20分間の認知トレーニング(2バックワーキングメモリー課題、不一致色単語ストループ課題)も行った。

[結果] 持久力パフォーマンスは、対照群(12%)よりも介入群(24%)の方が向上した(p<0.05)。

対照群と比較して、介入群はテスト後の運動課題中に高い前頭前野酸素化を示した(p < 0.05)。

両群とも、労作、モチベーション、心拍数、心拍変動は同じであった。

[結論] プレ認知課題は、フィジカルトレーニング単独よりも持久的パフォーマンスを向上させる。プレ認知課題の効果は、少なくとも部分的には、前頭前野の酸素化の改善によって説明できるかもしれない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

自転車を漕いでいるとき、アイデアを思いつくことが多い。
軽運動は、脳を活性化させ、認知パフォーマンスを向上させるわけだ。
今回の研究は、その真逆の効果があることを示した。
すなわち、認知課題を事前に行うことで、続く身体パフォーマンスがアップする。

これを臨床応用するとどうなるだろうか。
①患者さんにリハ前にナンプレなど認知課題をやってもらう
②PTの前にSTを入れて、認知課題をこなしてもらう

などが考えられた。
現実的に、これらに取り組めれば、PT介入中の身体パフォーマンスはアップし、結果的に介入効果増大につながることだろうと思う。
介入の種類とその順番、そこにも科学がある。

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