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関節リウマチ。なぜ朝にこわばる?


📖 文献情報 と 抄録和訳

関節リウマチにおける概日時計の検出と利用

📕Wilantri, Siska, et al. "Detecting and exploiting the circadian clock in rheumatoid arthritis." Acta Physiologica 239.2 (2023): e14028. https://doi.org/10.1111/apha.14028
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[レビュー概要] 過去40年にわたり、24時間リズムに関する研究は多くの驚くべき発見をもたらし、免疫や様々な疾患に対するその遺伝的、分子的、生理学的意義を明らかにしてきた。このように、概日リズムは哺乳類にとって基本的に重要であり、その乱れやズレは多くの疾患や多くの生理的プロセスの機能異常と関連している。本稿では、24時間リズムの分子制御、免疫におけるその重要性、ズレによる悪影響、そのような病的リズムと関節リウマチの関連性、そして関節リウマチを例として、炎症性自己免疫疾患のクロノセラピーにおけるクロノバイオロジカルリズムの活用の可能性について簡単に概説する。

✅関節リウマチの症状が時間帯によって異なる理由
■ IL-6とTNFのレベルの上昇
・RAにおける臨床症状の日内変動は、主に重要な炎症性サイトカインであるIL-6とTNFのレベルの上昇に起因している
・そのほとんどは臨床症状の重症度が増す前にピークに達する(📕Perry, 2009 >>> doi.)

■ 血清コルチゾールレベル上昇の遅れ
・血清コルチゾール濃度は、夜間に低下し、朝方に上昇する。
・コルチゾールの強力な抗炎症作用にもかかわらず、早朝にコルチゾールが上昇しても、なぜかRAの症状の発現を防ぐことができない。
・これはおそらく、炎症性メッセンジャーであるIL-6のピークがコルチゾールのピークよりも早く起こるためであろう。

■ 日内リズムの調節におけるメラトニンの寄与の可能性
・メラトニンはIFN-γを含むいくつかのサイトカインの産生を増強することが報告されている。
・メラトニンは、関節リウマチ患者では対照群よりも有意に高く、北ヨーロッパ出身のRA患者では、南ヨーロッパ出身の患者よりも高い(📕Cutolo, 2005 >>> doi.)。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

素朴な疑問。
「いや、当たり前だから・・・」と、その明らかな理由を考えもしないこと。
例えば、ウォーミングアップすると、身体は動きやすくなるのか?
例えば、なぜ起き抜け、動き出しは動きにくいのか?
例えば、寒いと動きにくいのはなぜか?

経験則的に、鉄則とも思われることは、「それは、そうだから」と理由が顧みられないことがある。
今回の抄読文献が示してくれている、関節リウマチ患者の朝方の症状重症化、もその1つではないだろうか。

「朝方はやっぱり大変ね・・・」
「関節リウマチの典型的な症状の1つですからね・・・」

これでは、何の理解にも、解決にもつながりにくい。

「朝方はやっぱり大変ね・・・」
「朝は炎症細胞レベルが上昇し、それを抑えるコルチゾールがまだ上がりきってないですからね。早寝をして、よく眠ることができれば、朝方のコルチゾールレベルを上げて、メラトニンレベルを下げることができるかもしれないので、そうすると少し症状が楽になるかもしれませんね」

とか。もう1次元下の病態的メカニズムまでを理解すると、何か光が見える気がする。
これは、尊い論文に出会った。

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