Woman vs Woman

同世代女性が来た。
『すみません、ちょっといいですか〜?』
『なんでしょうか?』
『あの〜、こちらは○○社さんの宝くじ屋さんですよねぇ?』
『そうです…』
近々この会社の面接を受けるという女性は、聞きたいことがあると言う。
『分からないことがあるのでしたら、会社の方に直接問い合わせれば…』
『あの〜、私、現場の方の話を聞きたいんです!』
(現場の方の話し?)
『ネットに口コミとか出てますよ〜』
『ええ。知ってます。ネットは全部チェックしましたから。実際に働いてる方の意見、生の声みたいなものを聞いておきたくて…』
そう言うと、彼女は立て続けにいろんな質問をしてきた。
お客さんが来ると横に退き、また質問を続けてくる。かれこれ15分ほど経っていた。
これから面接。働くか、働かないかも決まっていない状態で、働く!を前提に質問をしてくるこの女性。働くにあたり、予備知識を入れておきたいのだろう。とても真面目な人なのだと察しはつくが…(うっとうしい。)

面接日、通された部屋に入ると、10人程の同世代女性達がいた。
スーツ姿の女性が数名。うぅっ。
スーツ?スーツで来るべきだったの?おばちゃん達が、箱の中に座って、楽そうに働いている仕事!それが宝くじ売り場の仕事でしょ?
そうだよねぇ?あら?そうじゃないの?なんか思ってたのと違うなぁ…

女性が数名集まると、仕切り屋さんが現れる。
面接の場にもそんな人がいた。にわかリーダー。素人MCが場を回す。
『どちらからいらしたの〜?』周りの人に質問を投げかけてみたり、『緊張しますよね〜!』などと、明るく皆に声をかけていた。
すごいなぁ。初対面同士の中で、臆せず、皆に声をかける。こんな人が1人いると場が和む。こういう人が、リーダー気質ってやつなのかな?

そんな中、目を引く人がいた。にわかリーダーに対して冷たい視線を投げかけた後、腕を組んで俯き、目をつむっている。
話しかけないでね!オーラを纏っていた。
ですよね。静かに待ちたい人だっているもんね。余計なお喋りをしたくない人もいる。
適当な相槌と、ヘラヘラ愛想笑いをしていた自分。面接日のことを、急に思い出した。

『現場の人の声と言っても…働いてみれば、嫌なこと、良いことが出てくるじゃないですかぁ。それって、人によって違うし…働いてみないとわからないんじゃないですかね〜』
彼女との長い会話にうんざりしてきた。
(そうだ!!)『私たち販売員て、セールスレディなんですよ!買ってもらうために、セールスするのも仕事なんです!』実際そうなのだが、私はセールスをほとんどしない。
買い物先で、店員さんにあれこれ勧められるのは苦手だし、性格的にも、人にグイグイ勧めることができない。
(やってみちゃおっかな〜、グフフッ。)
話の途切れたタイミングで
『あの〜、よろしければ、このクジ、いかがですかぁ?』言ってみた。
『ぇえっ?!あ、あー、じゃあ1枚買います』女性はたちまち迷惑顔になった。
(こ〜んなに長々、あなたの話しに付き合ってあげたのに、200円1枚だけ?おぬし、、なかなかの……)
『ありがとうございます!このスクラッチは今日から発売なんですよ〜、どうですか〜?』
『うーーん、じゃあそれも1枚』つっけんどんにそう言った。(だけ?こんなに相手してあげたのに?私との会話は400円?なんだかなぁ)
『ありがとうございます、面接頑張ってきて下さい。』
一緒に働きたくないタイプかも。(笑)

販売員に販売を仕掛けてくる強者が時々やって来る。

今どき濃すぎるメイクのお姉さん。
『あらぁ、二重さんだけど、瞼って、年齢とともに下がってくるのね、マスカラ使ってますぅ?今、いいのいっぱいあるけど、マツエクって、楽よ〜、目元で印象がパッと変わるから!ご興味ありますぅ?』
(売り場で逆セールスされている私)
『マツエクは興味ないんで…すみません。』
初回割引きの付いたティッシュを置いていってくれた。

保険のセールスレディ。
ロトを買うついでにセールスを怠らない仕事人間。パンフレットを広げだして、
『今ね、60歳までの方にお勧めなのが、年金タイプのね……私もこれ入ってるけど、とてもいいプランなの。老後が安心ですよ!でね…』説明が長くなってきた。
『残念だわぁ、私60歳越えてるんです。保険の安心と宝くじの当選で、ね、さらに安心できるといいですよね〜!当たりますように〜』ニコッ
『えっ?失礼ですが60歳以上なんですか?』
『そうですよ〜!そちらは、明日の抽選となってますので、ありがとうございました〜』ニコッ

たま〜に繰り広げられることのある、静かな、平静な、女同士の戦い… (笑)
to be continued.…


この記事が参加している募集

スキしてみて

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?