寒いよーー!(外国のお人No.5)

今日って、もしかして…日本人のお客さんより、外国人のお客さんの方が多かった?!
なんて日が稀にある。

宝くじがお好きな外国人の常連さん達。
常夏の国から来たある女性客は、日本の冬がツライと嘆く。
『ワタシ、フユハイツモ、ゲンキナイダカラネ、フユ、キライ、カエリタクナルヨ』
話しを聞くと、冬の期間は少し鬱っぽくなってしまうらしい。
なんとな〜く元気のない彼女の背中に
『あったかくして、風邪ひかないようにしてね〜!』こんなことしか言ってあげられない。

観光客らしき人達がますます増えている。
インバウンド。グループ客。
まぁ、賑やかだこと。9割がスクラッチを買う。
その場で削れば、すぐに当たりハズレがわかり、当たれば換金できる。
外国人老若男女グループがやって来ては、歓声をあげながら、お手軽ギャンブルに興じている。

選んで、買って、削って…
狭いカウンターを長尺で占領されてしまうと、後ろに並んでるお客さんのお顔がだんだんと険しくなってくる。
苛立ちを隠そうともしない不愉快面。
『なんとかしろよ』アイコンタクトで私に訴えてくる。
(了解!ちょいとお待ち!)外国人グループに、はじに寄ってくれるよう、カタコト英語とジェスチャーで促す。

インドネシア語かマレー語(とても似ている)を操る若い女の子グループ。6人。
私は、短期間インドネシアに住んでいたので、少し言葉が分かる。

『どれにする?』『どれがいい?』『これいくらなの?』なんて言っているのが分かった。北風ピューピューな日。
1人の女の子は、スクラッチよりも寒さに耐えきれないようで、『寒い寒い、早く行こうよ』と言っているが、多勢に無勢。無視されていた。

1人1人順番に買っていく。
この子は2枚買うんだな。この子は1枚ね。この子は2種類1枚ずつかぁ。言葉が分かるので、聞いていて楽しくなってくる。

1人1人順番に、削ったスクラッチを渡してくる。
受け取って機械にかけるが、1〜2枚ではなかなか、末当すら当たらない。
『こちらは、残念ながらお返ししますね』決まりきったいつものセリフ。
ん? 私が『残念ながら…』と言ったあとに、グループの1人が『ザンネンナガラ、ザンネンナガラ』と小声で言っているのに気がついた。
『ザンネンナガラって何?面白いね』と言っている。

何が面白いのかな?語感?言葉の響きみたいなものかなぁ?

『ザンネンナガラ〜♬ザンネンナガラ〜♬』小さな声で鼻歌のように連呼している。

末当が当たった子もいたが、皆んなほぼハズレ。
その度に、私が言う『残念ながら…』の後に、1人の子が『ザンネンナガラ〜♬』と言っては、数人がケラケラ笑っていた。

私のイタズラ心が湧き上がってくる(笑)
残念ながら…をやめにして、
『ハズレでした。お返ししますね〜』と言ってみた。

どーよ?!

『ハ、ハズレ?』12個の目玉が一斉に私を見つめる。
一瞬の沈黙。彼女らの瞳に映っているのは、無意味に勝ち誇った笑を浮かべる店員。年長者が放つ余裕の微笑み。ふふっ。

どーよ?!私の勝ち〜!!

勝ちって??……なにに??



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