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「見事な芸術ですね」
「はい。アール・ヌーヴォーでございます」
「そしてこの位置、屋敷の中で階段として存在させるには不思議な位置ですね」
「…そうでございますね」
「なんと言うか、単純に下のフロアーから上のフロアーに昇る、という目的だけで造られてはいないような」
「…そう、かもしれません」

「それにしても、こうして、一段一段、昇りながらも、手摺りの装飾に、気を、取られて、しまいます、が……おお!知らぬ間に随分と高いところに来ている?!いや、そんな筈はない。おかしいな目の錯覚ですか?下を覗くと吸い込まれてしまいそうではないですか!」
「あまり覗き込まれていらっしゃると…堕ちますよ。お気を付けなさい」
「堕ちるって貴方!この吸い込まれそうな螺旋の下には何が在るのですか!」
「…一階」

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