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【小説】宝くじ4億円が当たった(1352文字)

 突然だが、宝くじ4億円が当たった。

「え、嘘…でしょ…?」

 番号を何回も確認する。2度見、3度見どころではないぐらい見た。

「本当に宝くじが当たってるじゃん…。え、やばいどうしよう…。嘘、やったー! 信じられない!」

 自分は喜びのあまりにテンション高く ぴょんぴょんと飛び跳ねた。

「これって本当に夢じゃないよね? 夢だったら神様を恨むんだからね!」

 自分はほっぺたをつねる。その瞬間に世界がぐにゃりとしてあやふやになる。

「あれれ? なんだろう? この感覚は…。なんか、どんどん意識が薄れていくようなそんな感じが…。」

 自分は目を覚ました。すべて夢だった。自分は激しく後悔した。呆然と立ち尽くす。

「なんであの時ほっぺたをつねったんだろう。正直夢だったら覚めなければよかったのに!」

 宝くじに当たる夢なんて最高に気分の良い瞬間なのにすぐに目が覚めてしまった。
 本当だったらそこからもっとお金を使って色々と楽しむ予定だったのにそれすらしないまま自分は目を覚ましてしまった。
 何であの時にほっぺたをつねてしまったのだろう。
 よくアニメとかでそういう表現があるけどそんなの教えるなよと思う。
 そのおかげで自分は今、天国から地獄に突き落とされたような感覚だった。
 自分の今の所持金はたった100円だ。この前、漫画を買ってしまったのでもうお金は残っていない。
 宝くじ4億円があったら今頃たくさんの大好きな漫画を買えただろう。
 本当に ショックが大きすぎて頭を全力で壁に打ち付けたい。

「うわあああああ!!! んーーー、うわああああああ!!!」

 自分はなぜか絶叫していた。

「ちょっとあんた! 今何時だと思ってるのよ! うるさいわよ!」
「だって 宝くじ4億円がー! 4億円がー!」
「あんた 頭でも売ったのぉ? 病院行く?そもそも宝くじ 4億円なんて当たるわけないないじゃないのよ! バカなこと言ってないであんたはまず勉強を頑張りなさいよ!」
「んぐっ…」
「この前だって通信簿があんまり良くなかったんだから! 早く寝なさい!」
 お母さんが出ていく。やっぱり現実は非情なのだ。
 あんな幸せな夢なら覚めなければよかったんだ。
 私には欲しいものがたくさんあるのに…。おしゃれだってしたいし、新しいゲームも欲しいし、みんなでいろんなところ行きたいし、もうお金があったら何だってできたのに!
 どうしてなのよ! 夢ならばどれほど よかったでしょうじゃないのよ! 現実ならどれほどよかったでしょうなのよ!
 なんでこういうことが現実に起きないのよ! こんなの絶対おかしいよ!

「んのー! あんべろんべんべんべん!!ー」

 枕に顔を埋もれさせて絶叫をした。自分は現実を直視出来ないので現実逃避をすることにした。

「いやこれはきっと正夢になるに違いないんだ! これは未来に宝くじが当たるという予言なんだ! 絶対そう! んふー!」

 そこから自分は満面の笑みになって ニコニコとし始める。

「よし、私は宝くじ4億円が当たるのは確定したよ!」

 あの夢を見てから毎週宝くじを買うことにしている。しかし一向に当たる気配はない。

「あんな夢を見なければそもそも宝くじなんて買わなかったのに! 今頃宝くじを買ってたお金でいろいろ楽しいことできたじゃん!」

 自分は後悔に後悔を重ねた。

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