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[小説]魂の審査

「あ、ワシ死んだ。」
自分もとうとう年老いて寿命で死んでしまった。すると体から魂が抜けて天へと昇っていた。

「ここはどこなんだろうか?」
自分は気が付くとなんか変な工場らしきところに連れてこられていた。いつの間にこんなところに来たのだろうか?そして自分と同じような魂達が列を作って並んでいた。

「お前!列に並べ!お前だよお前!」
自分は係員らしき人に列に並ぶように言われた。なので他の魂と同様に自分も列に並ぶ。

自分は気になったことがあったので、係員らしき人に疑問を投げ掛けた。
「あの、この工場みたいなところ って何なんですか?」
係員らしき人に聞いた。

「お前知らないのか。まあなんだ、ここは徳が低いと下界に送られて修行という名目で再び生物として生きることにするかどうか決めるところだ。もっと簡単に言うと、ここの工場は死ぬまでに現世でどのような行いをしたかを審査するところっちゅう訳よ。」

「あの、下界とはどんなところですか?」
自分は話を聞いて訳が分からなかったので聞いてみた。

「下界というのはお前がついさっきまでいたところだ。現世だよ現世!」

「なるほど。」
自分はあまり頭の良い方ではなかった。

「お前も下界には戻りたくはないだろう?下界は怖いこと苦しいこと辛いこと痛いことがいっぱいあっただろうよ。下界で生きていたお前には分かるだろ? 下界に送られるってことは地獄の世界にまた送られるって事だよ。」
係員は丁寧に説明をしてくれた。

「じゃあもし、徳が高いと判断されたらどうなるんですか?」
自分は係員の人に聞いてみた。

「徳が高かったら次のステージに上がれるんだよ。簡単に言うとものすごく良い世界に行けるってことさ。」
係員が丁寧に説明してくれた。

「なるほど。」

「その審査で下界に行くかもっといい世界に行くか決められるからな。覚悟しとけよ。」

「はい…」
何かあまり現世の行いに自信がもてなかった。

「先頭ののやつを見てみろ。今まさに審査されているところだ。」

先頭での会話…
「お前は現世の行いが悪かったらしいのでまた下界に行ってもらう!」

「ひえー!」
先頭の魂が怯えていた。

「どんな生物に生まれ変わるかは着いてからのお楽しみだぞ!今度はちゃんと下界で修行してちゃんと徳を積むんだぞ!」
審査員がそう言うと、魂がダンボールに詰め込まれて下界へと落とされていった。

「はい次!」

次の魂がやってきた。
「僕はちゃんと現世の行いよかったです。たくさんのことで苦しんできました。」

「あーそうか。たしかにお前はバカが付くほど真面目だったようだな。でもなぁ、お前は自殺したな?それは自ら修行を投げたということだ。なのでまた下界送りだぜ!」

「うわぁー!」
魂がダンボールに詰め込まれて下界に落とされていった。

「はい次!」

「私は何も言うことはありません。」

「そうか、お前はどうやら現世の行いが かなり素晴らしかったらしいな。見ただけで分かる。ランクアップおめでとう!お前は次の世界へ旅立ちだ!」

「ありがとうございます!」
ここに来て魂が次の世界へ昇進したのを初めて見た。

「まあこんな感じな訳だから。こんなこというのは違うかもしれないなけど、お前も頑張れよ。」
係員が自分にそう言ってくれた。

「ありがとうございます!頑張ります!」

「はい次!」
そして自分の出番がやってきた。

「よろしくお願いします。」
ものすごい緊張した。

「うむ、お前はまったくダメダメでだらしないやつだったらしいな。他人の車は乗って擦るわ、ギャンブルのために生活費に手を出すわ。ダメダメだ!」

「あ、終わった。」

「しかし、お前は車で擦った分はちゃんと弁償してるし、ギャンブルで手をつけた分も自ら更に働いて補っている。」

「え?」

「それにお前は無償で他人のためにボランティアなんかもしていた。随分と立派なことじゃないか。お前の葬式では遠くから駆けつけた孫までもが泣いておったらしいぞ。人を泣かすことが出来る何てお前は紛れもなく素晴らしいやつだったってことだよ。」

「ありがとうございます!」
ちょっと素っ気なかった孫が泣いていたなんて意外だった。自分はとてつもなく嬉しかった。

「おめでとう。お前は次への世界にランクアップだ!」
審査員は拍手していた。

「あの、待ってください!」
咄嗟に口から出てしまった。

「どうした?」

「あの、出来ればもう1度人間に生まれ変わらせてもらえませんか?」

「それは構わないが。本当に良いのか?次の世界にランクアップ出来るんだぞ?」

「これで良いんです。自分はもう1度人間が良いんです。」
チャンスを捨てたかもしれないと分かっているけど、自分は人間になることを選んだ。

「そうか、そこまで言うならお前の意思を汲んでまた人間にしてやる。」

「ありがとうございます。」
そのあと自分はダンボールに詰め込まれた。

「お前に最後に言っておくことがある。現世を楽しんでこい!幸せになれ!素晴らしい人間になってまた死ぬときに人を泣かせてこい!以上!」
そして自分はダンボールに詰められて下界へ落とされた。

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