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「あなたは、すでに買っている」~行動経済学から買わされる理由を学ぶ~

自分の部屋にモノが増えるのは、自分がモノを買っている、あるいはもらっているからである。とにかく、モノが自然に増えることはない。自分がモノを増やす行為をどこかでしている。つまり、原因は自分にある。

というのが、今までの考え方。

1.モノを買う原因は自分以外にもある

しかし、これからは、モノが増える原因は自分にだけあるのではない、というのが正しい。

阿部誠さんの「サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学」によると、むしろ、人にモノを買わせる技術がすごく発達しており、私たちは気づいたら買ってしまっている。

そして、それを繰り返すことで、部屋がモノであふれてしまうのである。

この「買わせる技術」をまず知ることが、大事だと思い紹介するが、結論から言うと、あまりに「買わせる技術」が巧みすぎて、これを避けることは難しい。私たちにできることは、その被害(?)を最小限にすること。

2.思い出しやすいものを買う

私たちは「よく見かけるモノ」「インパクトが強いモノ」など記憶に残り、思い出しやすいものを買う。値段や品質をじっくり考えることなく、直感的に買ってしまう。

なじみのあるものを選択する意思決定プロセスを「利用可能性ヒューリスティック」と呼びます。

行動経済学P38

これを利用して、企業はテレビ、ラジオ、インターネットや電車などにインパクトの強い広告を繰り返し出すことによって、私たちの記憶に商品を残し、思い出しやすくすることで、モノを買わせているのである。

3.値段設定の工夫~1,980円で売り上げ増~

次は、値段設定。2,000円と1,980円だと20円しか違わないのに、すごく安く感じて買ってしまう。年末年始のバーゲンセールという先入観もあり、ますます安く感じる。このような、

安いと感じさせるキリの悪い価格は、「端数価格」と呼ばれます。

行動経済学P114

数字を上の桁から読んでいくので千円台の方が二千円台よりも安く見える。

4.テレフォンショッピングの工夫

テレフォンショッピングでは、明るく、とても分かりやすく商品を紹介してくれる。映像で使用例を確認できるし、家まで届けてくれるから便利なので、ついつい買ってしまう。

値段も商品を紹介している途中にどんどん下がっていく。いきなり最終の値段を提示せずに、定価から2~3段階に分けて下がっていく。このように、

最初に提示された情報がのちの判断に影響を与えることを「アンカリング効果」という。

行動経済学P65

値段がお得で、商品が魅力的であれば、買うのが当然と言ってもよいかもしれない。

5.まとめ

上記のように、私たちは普通に生活しているだけでも、行動経済学に基づいた、さまざまな「企業努力」により、いい方は悪いかもしれないが「買わされている」のである。

欲しいものであれば、もちろん買ってかまわない。壊れたモノを処分して、新しいモノを買うのであれば、モノが増えたことにはならない。モノの購入が経済を回復させる効果もある。モノを購入することが良い面ももちろんある。

ここでは、部屋にモノを増やさないという観点で、お伝えしたことを誤解のないように付け加える。

「メディアを完全に遮断すれば良いのでは」という意見もある。しかし、そのような生活は現実的だろうか…

モノが増えたのは、あなただけのせいではない。「買わせる技術」に負けていた面もある。大事なのは、これからは、負けないこと。そして、減らすこと。

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