語りつくされた左利きあるあるを語る春

私は左利きだ。
幼少期はクラスメイトからよく「左利きなんだね!」と言われていた。
子どもは珍しいものに対して反応する生き物だから。

大人になった今ではほとんど言われなくなったけど、先日何年ぶりかに「左利きなんだ!」と言われた。

懐かしいと同時に、珍しがられることへの優越感以外、左利きにメリットなんて全くないんだ、という気持ちが久しぶりに蘇った。

①書道はへたくそ
書道の筆は右手で書けるような仕組みになっているから不便だ。というか文字自体が右利き仕様にできているから、左利きの多くは書道が苦手だ。

普通のペンで書く文字は結構綺麗だが、書道になると一転下手になる。この状況を受け入れることができなかった。上手に書きたいのに学校の書き初め大会では1度も表彰されることなく、毎年嫌な思いをしていた。

学校でも1時間近くの書道の授業で、慣れない右手で力を入れながら筆を使い続け、授業が終わったら手が痛くなってしまっていた。

しんどそうにしている私を見てクラスメイトは「左手で書けばいいのに」と言ってきた。でも冒頭で言ったように、書道の筆は右手で書けるような仕組みになっているし、マナー的に右で書こうよ…という風潮が(多分今でも)あるので、左手で書いたことはなかった。

悔しくて書道教室に通ったけど、やはり右利きの人に勝つことはできない。正直普通のペンで書く文字が上手くないクラスメイトよりも下手だった。

そんな出来事も今では遠い思い出。右手を使っていた書道は、左手でペンを持つ私の生活に今、何の役にも立っていない。

逆に、かつて通っていたペン習字教室での教えは大変役立っている。履歴書の文字が綺麗で好感を持たれたし、見やすい文字だと褒められる経験は社会人になった今でも多々ある。

元々文字が綺麗なこともあるが、さらに体系立った文字の書き方を学ぶことで、一層美しい文字を書くことができると痛感するのだった。

②スポーツは結局才能
左利きの人はスポーツができると言われがちだ。
でも、それは真っ赤な嘘、皆目見当違いだろう。

その証拠に私は小学生の頃、短距離走のタイムはクラスで下から数えた方が圧倒的に早かったし、ほぼ泳げなかったし、遠投もまさかの2mだった。

努力して毎日逆上がりの練習をしていたけど結局できずじまいだったし、なぜか参加していた一輪車の大会(誰でも出られる)は毎日の練習の甲斐なくワースト3位だった。

無責任に先入観だけでスポーツができると言わないでほしい。
そもそも左利きがスポーツができると言われているのは、球技やラケット競技で左手を使う人に、右利きの人が慣れていないから。

生まれつき運動神経がいいアスリートが、プラスアルファで左利きだと尚いいという意味だと、今後は盛大に突っ込みを入れていこうと思う。

③ダヴインチじゃないし、アインシュタインでもない。
悲しいことに、絵も下手くそだ。某バラエティでやっている「絵心ない」のコーナーは共感しかないし、私はあの方々より下手な自信がある。

それに頭脳面でも天才ではない。何だかんだでそこらの小石より小粒だと自覚している。

④よく見るよね、3大"左利きって不便なんです"
・改札でICカードを当てにくい
・急須でお茶を注ぎにくい
・自販機でお金を入れにくい

全て「知らんがな」と突っ込みを入れたくなる。
確かに左手でICカードを持ち、クロスする形で改札を通るが、それが不便だと思ったことは1度もない。急須や自販機も同様。

右手でICカードを持ち改札を通るのと時差何秒もないと思う。それに最近は腕に巻いたウェアラブル端末で改札を通る人もおり、大半の右利きの人は左手に端末を巻いているから、その方々の方が不便なのではないか。

そのうちICカードやウェアラブル端末がなくても改札を通れる仕組みができるのではないかと睨んでいる。そのころに生きているかわからないが。

一方、同系列のあるあるでいうと「はさみ」の例もよく出てくる。
はさみは右手で切れる仕組みになっている。

左利き用のはさみもあるが、何だか使いにくい。
商品化の前に左利きの人を実験台に実証実験をしているのだろうが、それでも使いにくい理由は、はさみの設計者自身が左利きであるケースは稀だからだと勝手に推測している(違ったらすみません)。

人類のうち左利きはどの地域でも1割程度であり、その中で設計ができる人はさらに少ない。だから設計者自身が左利きであるケースは稀という意見だ(違ったらすみません・2回目)。

左利きの中には右手を一定程度使える人が多いと左利き当人も肌感覚で思っているが、そんな私は悲しいことに生粋の左利きなので、はさみを右で使いこなすなんて器用なことができない。でもそんなこと言ってられないので、右手でぎこちなくはさみを使っている。書道の筆と同じ。

そして、左手でペンを持ったまま、誤字は右手で持った消しゴムで消すなんて真似も当然できない(よく聞かれるので載せてみた)。イメージとしては右利きの皆さんが右手しか使えないのと同じ。

ここまで書いてふと、左利きのメリットが1つだけ思い浮かんだ。
左利きでもPCのマウスだけは殆どの人が右手で使用している気がする。

だから右手でマウスを使用しながら左手でメモをすることができる人は多いはずだ。これで仕事の能率化が図れる!(が他のところでロスをするのがポンコツ社会人の私の悲しいところ)

なんだかんだで「左利き」は永遠に語れる最大のテーマであるように思える。そんな或る週末の夜であった。

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