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something good.何かよいこと

空っぽな両手を見つめては
何かを掴まなくちゃいけないと、
いつも焦っていたような気がする。
ああ、人生なんて有限。
この手で作って形にして残して。
そうして自分が透明になった後でも
誰かが見つけてくれるようにと、
祈るように残したがっていた。

ただ、それは簡単なことじゃない。
失敗したり傷ついたりして諦めて、
少し離れてみたこともあった。
それでもまたそこへ帰ってきてしまうのは、
やっぱり好きだから。
ただ楽しくて好きだと思う瞬間があることで、
誰かに届かなくても続けてこられたから、
それは人生に彩りを添える
美しいものになっているのだろう。


鼻もちならない青春があったり、
人の気持ちに思いがまわらなかったり、
思い返すのも恥ずかしいおこないなんて
佃煮にしてしまえるほどある。
(ぐつぐつ煮込んでも美味しくはなさそうだ)

そんなことばかり
懲りずに繰り返してしまっても、
少しも進歩がないように感じても、
時には天のカミサマが見ていてくれたんだ、
と思うような恩寵を受け取ることもあるのは
なぜだろう。
それまでの自分が決して
間違いばかりではなかった、
ということなのだと思いたい。


『Something good 』
 何かよいこと。

Perhaps I had a wicked childhood
Perhaps I had a miserable youth
But somewhere in my wicked, miserable past
There must have been a moment of truth
For here you are, standing there, loving me
Whether or not you should
So somewhere in my youth or childhood
I must have done something good

Nothing comes from nothing
Nothing ever could
So somewhere in my youth or childhood
I must have done something good

For here you are, standing there, loving me
Whether or not you should
So somewhere in my youth or childhood
I must have done something good
Nothing comes from nothing
Nothing ever could
So somewhere in my youth
Or childhood
I must have done something
something good

訳:
幼い頃 私は悪い子だった
救いようのない娘だった
でもそんなひどい少女時代にも
いつか真実の時があったはず
だからこうして今
あなたが愛してくれるんでしょうね
愛することが務めだからというのではなく
これはきっと 私が子供の頃に
何かよいことをしたからなんだわ

無から生まれるものなど
この世にひとつもない
だからこれはきっと 私が子供の頃に
何かよいことをしたからなんだわ

映画『サウンドオブミュージック』
サントラ盤より『Something good』

映画サウンドオブミュージックの中の、
とてもロマンチックな場面で歌われるこの曲が
私は好きだ。

無からは何も生まれない。
今の嬉しい出来事は
過去の自分が何かよいことしてきたから、
という、昔のハチャメチャな自分さえ認め、
慈しむ気持ちにじんとしてしまう。
今の幸せがあるのは
過去が悪いことばかりじゃないからなのだ。
そう思えば昔の自分を愛おしく感じることも
できる筈だ。


今あなたが幸せを感じる瞬間があるならば
something good
あなたもきっと
何かよいことをしてきたのでしょう。
無からは何も生まれないのだから。

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