鈴木凹

来年はがんばろう

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  • ゴミ探訪

    ボーカロイドを中心に音楽の話をします

最近の記事

2023年によく聞いたアルバム

 新譜をほぼ聞いていない。というか、一聴してすばらしいと思ったものでも繰り返し聞くには至っていません。そういうときもある。 UWIK / Findingドイツのバンドらしい。情報がない。淡々としたミニマルなインディーロック。インディーロックにもいろいろあるが、もう最近はポストパンク方面のイメージで固定されてる感じがあり、これもあえていえばそっち方面です。あとちょっとStereolabからBroadcastのラインのポストロックの風味がある。1曲目「Go Now」が際立ってい

    • 「VOCALOIDよれよれ曲リンク」から辿る「VOCALOID以外のよれよれ曲」

      辿りましょう。 1. ニコニコ動画の動画タグについて ニコニコ動画を中心としたボカロ音楽シーンにはニコニコ動画の機能である「動画タグ」を活用した文化があります。ニコニコ動画におけるタグ機能の特徴は、動画タグを動画投稿者だけでなく視聴者も編集できる点にあります。  上記の動画では「VOCALOID」「UTAUオリジナル曲」「ORIGAMI-I」などのタグが動画投稿者のぼくが設定したもので、「ボカイノセンス」「音響系」「UTAUビエント」などのタグは動画の視聴者がつけたもので

      • ディスクレビュー:Dimmer『I Believe You Are A Star』

        Dimmerが2001年にリリースした1stアルバム『I Believe You Are A Star』を聞きました。傑作です。『Kid A』に似た背景とモチベーションから始まって、違うところにたどり着いたアルバムかもしれません。日本語で書かれている文章がネットになかったから、聞いたついでにレビューを書いておきます。 そもそもDimmerとはどんなバンドか。それを説明するにはまずニュージーランドのダニーデンを中心としたインディペンデント・ロックシーンに触れる必要があります。

        • YOASOBI『アイドル』のラップのよさをどう擁護するか?

          YOASOBI『アイドル』のラップのよさを擁護しようとして失敗している人が多く見られたので、次は成功してほしいという思いを込めて文章を書きま す。好きなものは上手に擁護できたほうが気持ちがいい。 前置きSagishiさんの書いた『アイドル』への批評を読みました。いっぱい文章を書いていて偉いですね。捨てアカで突撃して短文の罵倒を投げつけていく人はインターネットから離れて家族や友人とおいしいものを食べてください。 まずSagishiさんの『アイドル』批評に対する感想です。ラッ

        2023年によく聞いたアルバム

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          9本

        記事

          ニール・ヤング『Live At Massey Hall 1971』を聞こうよ

          自分語りから入ります。読み飛ばしてくれ。流行りに乗って「好きな42枚のアルバムを見せびらかす」というのをやりました。こうなりました。 あまり悩まずに「このアルバムはよく聞いたな~」感で選んだところ、デッキ構築を間違っていて、キュアーの『Disintegration』がない。それから、たぶん一番よく聞いたニール・ヤングのアルバムを入れていません。『Live At Massey Hall 1971』です。 ニール・ヤングをぜんぜん知らない人向けにかいつまんで説明します。ニール

          ニール・ヤング『Live At Massey Hall 1971』を聞こうよ

          アルバム「言葉には戻れない」をリリースしました

          出た。よかった。マスタリングはkamorecoさん。いつもお世話になっております。 今回はリズムとベースを少しまじめにやろうと思って作った。特にベースで引っ張る曲が多い。シンセベースをいじるのが面白くてそういう感じになった。リズムに関してはキック、ハット、スネアの標準的な編成から外れるようにした部分が大きい。歌詞では「言葉」をモチーフにした曲を「言葉には戻れない」「リファレンス・エンジン」「paradox」と三曲続けて作って全体に統一感を出そうとしてみた。まとまったかはわか

          アルバム「言葉には戻れない」をリリースしました

          ボカロレビュー:フェザーミーム『Kurderia』押韻が歌詞に与える説得力

          みなさん、歌を聞きながら歌詞を追うほうですか? ぼくはね、あんまりです。だって無理ですよ。難しい。音楽って、たくさんの音が鳴ってて、それがこっちの理解と関係なくものすごい速度で流れていきます。ボーカルを聞き取り、意味や響きを判断して「いい詞だなあ」みたいに考える余裕はないのです。ぼくはたいていの音楽で固有の時間の流れについていけていない。これはぼくの能力的な問題です。リズムに乗ってごちゃごちゃ言ってるのを聞き取るのは難しい。リズムに乗ってなくても難しい。そういうわけで、ぼく

          ボカロレビュー:フェザーミーム『Kurderia』押韻が歌詞に与える説得力

          「ミニマルな音楽」とはどういうものか

          ミニマルな音楽が好きです。ミニマルというのは「最小限の」くらいの意味で、そのままミニマル・ミュージックと呼ばれるジャンルもあります。しかし、それ以外の文脈でも、音楽についての文章で「ミニマル」という言葉を目にすることがあります。コードやメロディ、リズムの展開に乏しかったり、極端に切り詰めた楽曲の形式をしていたり、音の数が少なかったり、そういった音楽に対して、わたしたちはしばしば「ミニマルな」という形容を使います。この文章では「ミニマルな音楽」とはどういうものか、どんな特徴があ

          「ミニマルな音楽」とはどういうものか

          いままでに作った/参加した音源のまとめ

          7年くらいボカロPみたいなことしてると、自分のアルバム以外にも知り合いの企画したコンピレーションアルバムとかに参加する機会があり、そうした音源のまとめです。 Jake/鈴木O/鈴木凹のアルバムほとんどの曲はここにあります。 抹殺レコーズkamorecoさん主催の殺意に満ちたレーベル。コンピには全部参加してるけど、名前がしょっちゅう変わっているのでよくわかりませんね。 絶滅レコーズkamorecoさん主催のゴミを広く扱うレーベル。全部になにかの曲で参加しているし、ときどき

          いままでに作った/参加した音源のまとめ

          2021年によく聞いたアルバム

          2021年のアルバムではない。そもそも今年はあまり音楽を聴かなかった。音楽を聴きたい気分でいることが少なかったから。それでも音楽を聴くときは、音楽を聴きたい気分でないときに聴ける音楽ばかり聴いた。文字を書く元気がない。でも短くとも書いておくと、あとあと自分が助かったりするので、メモ書き程度でも残しておく。 Ray Barbee Meets the Mattson 2 / Ray Barbee Meets the Mattson 2Tommy Guerrero周辺のスケーター

          2021年によく聞いたアルバム

          『SWAN SONG』感想

           エロゲ、というかゲーム全般あまりやらないのですが、500円と安かったのでDLsiteで『SWAN SONG』を購入しました。面白かったです。せっかくなので、どう面白かったかをざっと書いておこうと思います。ゲームをやらないため評価の基準がよくわかりませんが、いままでに読んだ小説とかアニメと比較して見ていきます。  大枠としては、異常な状況にいろんな個性を持った人間を放り込んでどうなるか見ていく、シミュレーションっぽい話でした。『無限のリヴァイアス』やその元ネタの『蠅の王』な

          『SWAN SONG』感想

          ディスクレビュー:David Sylvianの『Manafon』

          ManafonはJapanの元フロントマンDavid Sylvianが2009年に発表したアルバムです。JapanとDavid Sylvianについては「JAPAN 1974-1984 光と影のバンド全史」「JAPAN 1983-1991 瓦解の美学」の二冊に詳しく、ぼくがあらためて付け加えることはほとんどありません。しかし本のタイトルを見てもらえばわかるように、その内容はニ十世紀の終わりまでしかカバーしておらず、二十一世紀になってシルヴィアンが発表した傑作、Blemishや

          ディスクレビュー:David Sylvianの『Manafon』

          日記:最近聞いたもの

          こんな感じでした

          日記:最近聞いたもの

          新しいアルバム「表面」をリリースしました

          アルバム作ったので聞いてくださいという宣伝です。マスタリングはkamorecoさんに頼みました。いつもお世話になっております。 宣伝でした。以下、日記。 アルバムのタイトルとアートワークについて表面、surface。使ってるPCがSurfaceなのでそういうタイトルにした、とかだとそれっぽい気がする。違うけど。大事なものをタイトルにした。芸術の表面をよく見るようにしたい。表面を無視した深読みは身勝手な妄想でしかないので。表面(ひょうめん)だけど、表面(おもてめん)とも読め

          新しいアルバム「表面」をリリースしました

          音楽の本で特にオススメのやつ

          たまに本を読むのですが、一部には音楽について書かれた本もあり、なかには面白かったものもあります。紹介します。絶版で古書の価格が高騰しているものもあるので、その場合図書館で探すなどしてください。 特定のジャンルやシーンについて書かれた本楽器やテクノロジーにまつわる本インタビューとか対談まとめたようなやつ心理学とか音楽についての本ではないけど音楽の批評にも大事そうな本いま思いつくのはこんなもんでした。なにかオススメあったら気軽に教えてください。終わります。

          音楽の本で特にオススメのやつ

          コラージュ0:灰色のサンプラデリア

          むかしtumblrに書いた自作「コラージュ0」の解説を再掲します。「コラージュ0」は2016年12月にリリースしたアルバムで、ボカロのボーカルを含めすべて既存の曲のサンプリングのみで作られています。素材はほぼボカロ曲、一部にパブリックドメインのクラシックを利用しています。以下、その解説になります。 ――――――――― バンドがインタビューで新譜のコンセプトを語っていたりするのを割合面白く読んでしまうほうです。音楽家なんだから音楽で語れよみたいな言い方もできますが、そういう

          コラージュ0:灰色のサンプラデリア